思いついた暇つぶし
「レイ?なにそれ」
見慣れないおもちゃの数々に、エルノアが興味を示す。
今は三人だから、トランプで遊んでみようか。なんて考え、トランプのカードを取り出してシャッフルする。
「エルノア、ミズキ。遊ぼ」
「遊ぶだぁ?」
「うん、暇つぶししよって言ってるの。景色見るのも飽きちゃったし」
そう言って、先ずはババ抜きのルールから、二人に教え込んでいく。
カードを三人分に分けて、揃っているカードだけ捨てさせる。
「このゲームは相手の表情を読み取る訓練になるんだよ」
そう言って、私はエルノアの手札からカードを引く。
揃ったので、一組捨てる。
「カードを揃えて、一番最初にカードが無くなれば勝ちなんだよね?」
「うん、ジョーカーは一枚しかないから、それを最後まで持ってた人の負け」
エルノアはふぅんと納得しながらミズキの手札からカードを引く。
最初はとんとん拍子に揃うので、エルノアもカードを一組捨てる。
ミズキは面倒くさそうに私の手札からカードを引いた。
十分後。
私は二人の鉄壁に近い表情筋を読み切れず、惨敗していた。
ミズキは眉を寄せた不機嫌顔から、一切表情を変えないし、エルノアは終始にこにこしていて全く読めない。
結果、私はエルノアからジョーカーを引いてしまった。
ミズキは私の顔を見て、ジョーカーでない方を簡単に引き当ててしまうし。
「うそ。二人とも初めてだよね?」
「勿論。俺勝ったけど、何かご褒美くれるの?」
考えていなかった。
「う…もう一回」
「いいよ。どうせ暇つぶしだし。負ける気しないけど」
「そうだな。割と楽しめそうだ」
エルノアとミズキが頷き二回戦が始まった。
十分後。
「…また負けた…」
今回はミズキの勝ちだ。
これは私には向いてない。
ゲームの種類を変えようと提案し、ジジ抜きに切り替える。
これなら、どれが揃わないカードなのか分からないので、顔には出ない。
こちらは、エルノアもミズキも結構苦戦し、私は何とか一勝できた。
二戦目はミズキの勝利。
再度ゲームを変えて、神経衰弱を始める。
このゲームは完全に私に有利だ。
完全記憶がある私が、カードを揃えていくのを、エルノアとミズキは面白くなさそうに見ていた。
このゲームは二回とも私の勝ち。
このゲームは、流石に大人げなさすぎた。
次、大富豪。
ルールを教えると、二人は割と真剣にゲームにのめり込んでいるようだった。
私もカードゲームを一緒にするような仲のいい神は居なかったので、知識があるだけでゲームをするのは初めてだ。
三人なので、革命は簡単に起きる。
弱カードが強カードに切り替わり、ミズキが舌打ちする。
革命が起きやすい環境なら、革命返しも起きる。
8でカードを切ったエルノアが革命返しでカードの強弱を元に戻し、一勝目はエルノアだった。
ここにサクヤが加われば、もっと面白くなるんだろうけど。
流石に飛んでいるサクヤが大富豪に混ざるのは不可能だ。
「…エルノアてめぇ、いい加減にしやがれ」
「なにが?ルールは守ってるはずだけど?」
ミズキが出すカードを、エルノアが悉く斬り捨てている。
私は順番にカードを出して、最後に革命を起こしてから最弱カードで上がった。
なにこれ思ってたより楽しい。
次はポーカーだ。
かなり運要素の強いゲーム。
「フルハウス」
「フォーカード」
出された五枚のカードに愕然としてしまう。
基本ルールを教えただけで、あっという間に学習してしまう神獣達は、私が一生懸命揃えたフラッシュを簡単に凌駕してしまった。
フルハウスがエルノア、フォーカードがミズキだ。
運はミズキの方が強いらしく、ポーカーはミズキの二連勝。
現在一位はミズキだ。二番が私。最下位がエルノア。
次はダウト。
相手の嘘を見抜く能力を鍛えられるゲームだ。
「ダウト」
「…っち」
ミズキの嘘を見破ったのはエルノアだ。
ミズキが、積みあがっていたカードをしぶしぶ手札に加える。
私が嘘のカードを出したとき、エルノアがまた笑みを深めた。
「ダウト」
私は仕方なく、カードを全部引き取る。
ミズキはエルノアの嘘を見破れないらしく、歯噛みしている。
間違ってダウトと言ってしまえばまたさらに手札が増えるのだ。
確信が持てなければ、なかなか言い出せない。
さらっとエルノアが手札を出し切り、上がってしまった。
嘘が吐けないのは、まぁ元々なのだけれど、エルノアが異常に強い。
ああ、もしかしたら空狐だから耳が良いのかもしれない。
心音で嘘を見破っているのだとしたら。
人という種族は嘘を吐くときに心音が乱れる。
これは擬人化している神獣にも当てはまるのだ。
勝てるわけがない。
2回目もエルノアがしれっと上がり、最下位は私になった。




