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甘いお仕置き

翌朝。

決まった時間に起きるようになっている身体で目を開くと、エルノアの美貌が間近にあった。

金色の少し癖のある髪をなんともなしに梳いていると、意識が戻ったのか、緑色の瞳が私を映す。


「おはよ、レイ」


「エルノア。今日からロイヤルミルクティーは作ってあげない。あと、ご飯のおかわりも禁止」


突然の私のお仕置き発言に、きょとんと眼を瞬かせたエルノアは、すぐさま情けない表情を作って、許しを乞うてきた。


「ごめんなさい。もう絶対使わないから…」


目を潤ませて上目遣いで私を見るエルノアの可愛らしさに胸がきゅんと高鳴るが、私は怒った表情を作って、顔をつんと背ける。

これでもまだ甘いお仕置きなのだ。

けれど、私に触れるの禁止にすれば、エルノアはもっとショックを受けるだろう。

彼に対しての愛情が大きくなってしまっている今、私もそこまで強くは言えない。

それこそ、触れられるのが不快なぐらい、嫌いにならなければ、無理だ。


「…今、まだ神格が残ってるのが不思議なぐらいなんだから。私が神格失ったら、神獣も幻獣もみんな消えちゃうかもしれないんだよ?分かってるの?」


「…ごめんなさい。わかった。いつまで我慢すればいい?」


しゅんとしおらしくなったエルノアは、子犬みたいに小さくなっている。

いつもの飄々とした態度は嘘のように形を顰めている。

反省はしている様なので、1週間だけにしてあげることにした。


「1週間。その間は…「レイ、ホントにごめん。嫌いになった?」」


目を潤ませているエルノアは、私が嫌いと言えば本当に泣き出してしまいそうだった。


「…ならないよ。もう絶対使わないでね」


「うん。約束する」


ふぅっと息を吐きだして、エルノアの髪を梳く。

くせっ毛が少し跳ねているのを、整えていると、エルノアが私にしがみつく様に抱き着いてきた。


「エルノア。もう怒ってないから」


恐る恐る私を見上げたエルノアは、そっと触れるだけの口づけをしてきた。

ちゅっとリップ音がして、唇が離れる。

未だ不安そうなエルノアの頭を宥めるように撫でると、またぎゅうっと抱きしめられた。


「…レイ、やっぱり優しい。俺、もう触らないでって言われるかと思った」


こんなことを口にするということは、多分私が気絶した後、自分で過ちを認めていたのだろう。

私だって昨晩なんて完全に快楽に溺れて、絶頂することしかできなかったのに、何処に理性が残っていたのか、問いたい。

誰に聞けばいいのかは分からないけれど。


「1週間触らないでって言ったらどうするの?」


「…やだ…ごめんなさい…」


エルノアは泣きそうな顔を私の胸に埋めて、呟いた。

胸の下に隠れるようにして、小さくなるエルノアを、私は再度ぽんぽんと撫でた。


「いいよ。許してあげる。今回だけだからね?」


「うん。もうしない」


「じゃあ残ってる媚薬、全部お店に返しに行って来て」


エルノアの事だ。

多分これ一本だけなんてことはないだろうと思い、口にする。


「…ミズキが半分持ってる…」


それを聞いて、あの時姿を消していた理由が判明した。


「ミズキ、ちょっと来て」


私の呼びかけに、面倒くさそうな声が返ってくる。


「んだよ」


「媚薬、持ってるの全部出して」


「あー…エルノア、マジで使ったのか。お前馬鹿だろ」


くつくつと笑いながら、ミズキが空間ボックスから媚薬の入った瓶を5本取り出す。


「じゃ、エルノア。これお店に返してきなさい」


ミズキから媚薬の瓶を受け取り、エルノアに手渡すと、素直にこくりと頷いた。



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