謎な幻獣の生態
「お風呂入るんでしょ?」
エルノアの声に、少し身体がびくっと反応してしまう。
後片付けは洗浄魔術ですぐに終わる。
「うん」
「なら早く入ってきなよ」
乱入するつもりは無いらしい。
意外と我慢強いのか。
それとも、お風呂では都合が悪いのか。
分からないが、取り敢えずバスタブを取り出して、お湯を張り、身体を沈めた。
…何されるんだろうか。
お風呂から上がるのが億劫だ。
時間を止めても意味は無い。
八方塞がり。
彼らは何故あんなにも私を求めるのだろう。
一度快楽を知ってしまったとはいえ、毎日のように私に触れるのは、内に秘めた愛情故なのだろうか。
まぁ、考えてみれば、食欲も睡眠欲もない神獣達にとって、性欲は三大欲求で残された最後の一つだ。
普通の人族より性欲が強くても不思議ではないけれど。
いや、そもそも種の存続をする必要が無い召喚獣に性欲があることがすごく不思議なんだけど。
いや、幻獣って繁殖行為するのかな。
本来ない物じゃないの?
愛情を抱えるが故の欠陥?
よく、わからない。
召喚しているのは私のはずなのに、召喚獣達の生態を、私はよく知らない。
神魔召喚なんてユニークスキル、過去にも例が無いみたいだし、魔力さえあればほぼ無限に召喚できる幻獣の事も、魔力で形を保った他より強い生物、ぐらいにしか理解していない。
本の知識を理解すれば、体現できるユニークスキルは持っているけれど、逆に言えば、過去に例のないことは分からないままという欠陥もある。
幻獣達に聞いてみようか。
そう思って、全幻獣と念話リンクを繋げる。
神獣達には聞かれないように、リンクを切って。
―貴方達、性欲ってあるの?
―せいよく?こうびのこと?
―するよー!楽しいよね。
―あ、ご主人様、子供生まれたら、どうしたらいい?今俺の番が妊娠してるの。
―…子供は好きに生きさせればいいわ。私に取り持つ必要もない。とにかくありがとう。切るね。
ーはーい。
―またなんでも命令してね!
「…はぁ…」
幻獣に、性欲があった。
まぁ、それは良いんだけど、それって神獣達の性欲は、食欲と睡眠欲が無い分普通より遥かに大きいということで。
…受け止めきれる自信が無い。
三人は一応順番を決めているのか、一度に襲い掛かってこないのがまだ救いだけれど。
…考えても仕方ない。
取り敢えず上がろう。
お湯から上がって乾燥魔術で身体を乾かし、ネグリジェに着替える。
ベッドを取り出すと、当然のようにエルノアが現れ、ベッドに腰かけて私を手招きした。
一見甘い顔立ち。
金色の髪は、男性らしく短く揃えらえている。
緑色の綺麗な瞳は、今は嬉しそうに輝いていた。
私がすとんとベッドに腰を下ろすと、エルノアはそっと私に触れる。
「俺が怖いの?」
「…泣かされるって分かってて、怖くないわけないでしょ?」
「大丈夫。酷い事はしないから。俺だって、レイに嫌われるのは怖いし」
そんな言葉を少し苦し気な表情で零して、私の唇に口づけた。
甘い口づけ。
夜が長いことを分かっているのか、焦った様子は見られない。
熱い舌が口の中を探る様に動き回り、舌を絡めて、唾液を交換する。
口に溜まった唾液を呑み込むと、エルノアが嬉しそうに微笑んだ。
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