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大量の貢物

今日はサクヤが擬人化を解くらしく、神々しい鳳凰がその巨躯を乗りやすいように地面に付けた。

ミズキが先に上がって、私を引き上げてくれる。

エルノアも軽々と飛び乗って、ばさっと羽音を立てて空へと浮かび上がった。

亜音速のスピードで、五時間ほど空を駆ける。

何をしているわけでもない、ただ高速で流れている景色を目で追っているだけだったが、流石に五時間もぶっ通しで飛ぶと、背に乗っているだけでも身体が固まる。

この階層は広いようなので、適当な場所を燃やして開けた場所を作って貰って、地面に降りる。

因みに魔術は範囲が指定できるので、山火事になったりはしない。


マジックコンロを取り出して、何を作ろうか悩む。

幻獣達と通じている共有の空間ボックスを開くと、またどっさりと肉が詰め込まれていた。

前に見たものも殆ど使っていないし、これ以上は要らなさそうだ。

少なく見積もっても、十年分ぐらい賄えそうな肉の量を見て、私は幻獣達に肉の供給をストップするように声を掛けておいた。

ジャイアントディア―の肉を使って、ローストを作ってみようかな。

神界では魔獣の肉など食べられなかったので、私にとっては未知の食材だ。

創ろうと思えば創れたけど、魔獣を食べるのは冒険者と平民ぐらいなので、あまり気にしていなかった。

いや、ジャイアントディア―なんて高ランクの魔獣は貴族の食卓にもたまに上ることがある。

魔獣肉を忌避する貴族が多いが、味は普通の動物の肉より美味しいと一部の貴族は好んで食べる。

公爵家ではお目に掛からなかったけれど。

まぁいいや。

取り敢えず、大きめのジャイアントディア―のロース部分を取り出して、塩胡椒を振って全体に馴染ませる。

強火で熱したフライパンにオリーブオイルを入れて、ジャイアントディア―の肉の表面に焼き色を付ける。

アルミホイルで包んで、170度のオーブンで10分焼く分だけ時間加速魔術を掛け、余熱で30分放置するのをまた時間加速で飛ばす。

フライパンにバター、赤ワイン、バルサミコ酢、しょうゆ、はちみつを入れて中火で熱し、汁気が三分の一ぐらいになるまで煮詰めて火から下ろす。

ローストを程よい厚さに切り分けて、ソースを絡めて完成。

肉だけだけど、量が多いし多分問題ないだろうと、お皿に盛りつけて、手渡していく。

お肉が好きなミズキは躊躇わず口に運んで、美味しさに唸り声をあげている。

サクヤとエルノアも一枚口に入れて、目を見開いた。


「同じ肉料理ですが、前のステーキとは違った味わいですね。しっとりしていて柔らかい。これは何という料理ですか?」


「ジャイアントディア―のローストだよ。オーブンで焼くから、マジックコンロだけの時は出来なかったの」


「成程。こういうものが作れるようになるなら、あの買い物も安い物だと思えますね」


頷きつつ、食べる手は止めないサクヤは、納得しながらもくもくと口を動かした。

私も一枚口に運ぶ。

あの狂暴そうな巨大な鹿の肉がこんなに美味しくなるとは思ってなかった。

多分前世で食べた普通の鹿肉より美味しい。

一部の貴族で流行るわけだ。


「うん、美味しいね。俺もこれは好きかな」


エルノアも珍しく感想を口にしながらもくもくと食べ進める。


「おかわり」


ミズキが一番に食べ終わり、大皿を私に差し出した。

そのお皿にまた山盛りにローストを盛りつけて、渡す。


「私もください」


「俺も」


サクヤもエルノアもあっという間に完食して、二皿目を口に運んでいる。

ローゼンとシルビアにも転送すると、巨大な肉塊はあっという間に無くなった。

デザートは夕食後でいいよね。

毎食後デザート出すと流石の神獣達でも太るかもしれないし。

あの綺麗に割れた腹筋と胸筋の肉体美が、私のせいで崩れるのは見たくない。

洗浄魔術で汚れた食器や料理器具の汚れをさっと落としてから、マジックコンロとベッドを空間ボックスに収納する。


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