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ダンジョンの出張窓口

ダンジョンの入り口には、この国も長い列が出来ていた。

飲食関係の露店や、マジックアイテム、保存用の干し肉や、干した果物が大量に並んでいる。

サクヤが冒険者出張窓口があることに気付いて、そちらに向かって歩き出した。


「この国には出張窓口があるようですね。ハイトロネリアでは見ませんでしたが」


「何をするの?」


思わずその背を追って問いかけると、さらりと長い赤い髪が掻き上げられる。

金色の瞳が流し目気味にこちらに向いた。

無駄に女を引き寄せないよう抑え込まれた色気でさえ、神々しいオーラを纏っている。


「ダンジョンに入る人間を記録する窓口です。滞在日数や、パーティ編成によって、最適な狩りが出来る階層を教えてくれる場所でもあります。登録の強制はありませんが、滞在日数を大幅に超過すると、捜索隊が組まれたりするため、安全性を考慮して、ギルドでは登録を推奨しています」


「へぇ。踏破目的なのに登録しておくの?」


「そうですね。一応現在の最高到達階層を聞いておこうと思いまして」


なるほどと頷いて、サクヤの後ろで登録手続きを見守る。

こういう実践的な知識は本記載してないことが多い。

私よりも長い事冒険者をしているサクヤに任せる。


「いらっしゃいませ、ダンジョンへの入場ですか?」


「はい」


「滞在日数をお伺いしても?」


受付のお姉さんがサクヤの美貌に顔を赤くしながらも、忠実に業務を遂行する。


「踏破目的なので正確には分かりませんね」


「ええっと…はい、食料は何日分お持ちですか?見たところ軽装のようですが」


「空間魔術を扱えますので、食料は十分ありますよ」


淡々と質問に返事をしていくサクヤは、顔の赤い女性を見て、小さくため息を溢したように見えた。

自分の容姿にあからさまに好意を示す女性は嫌いなのだろうか。

不思議な性癖だ。

嫌がる女性の方が好みだったりするのかな?

いや、サクヤの性格上それはなさそうだけど。


「そ、そうですか。では、捜索隊の希望は無しということで問題ありませんか?」


「ええ」


「では、何か聞きたいことでも?」


「現在の最高到達階数と現在ダンジョンに潜っている冒険者の到達階数を教えてもらえますか?」


「はい。現在の最高到達階数記録は26階です。現在探索中の冒険者で最深到達階数は恐らく24階かと思われます」


「そうですか。ありがとうございました」


さらりと女性達から集まる熱視線を無視したサクヤは、後ろで勉強していた私の手を取って歩き出す。

あまりに自然な行動だったので、目を瞬かせながらも大人しく手を引かれて歩き出す。

シルビアが大人しく列に並んで待っていたようだが、一人でいると勘違いされて、男性冒険者に絡まれていた。


「うざいですよ。いい加減にしてください」


「良いじゃねぇか。俺らとダンジョン潜ろうぜ?中で何があっても誰も助けちゃくれねぇがな」


「はぁ…連れが居ると言っているでしょう!」


「どこに居んだよ。女一人でダンジョンは流石に舐め過ぎじゃねぇのか?」


シルビアが強がっていると勘違いしているらしい。

まぁ、あれだけの美少女が一人でいて、何も起きないわけもない。

私は認識阻害を掛けてローブを羽織っているけれど、シルビアは素顔を晒している。

にやにやと嫌らしい笑みを浮かべ、シルビアの細腕に手を伸ばす冒険者。

それを少し遠くから見守っているサクヤは、止めに入ろうとはしなかった。

黙って様子を見守っている。

彼女がどう動くか、試しているようにも見えた。

冒険者の手がシルビアの腕に触れた瞬間、シルビアは目にも止まらぬ身のこなしでその腕を捩じり上げ、捻り上げた。


「いい加減にしろと言っているでしょう?殺されたいんですか?」


周囲に気付かれないように、僅かに殺気を放つと、その殺気を感じ取り、腕力でも敵わないと悟った冒険者達が、ひっと悲鳴を上げて退散していく。


「見事です、シルビア。ちゃんと手加減を覚えましたね」


冒険者を追い払ったシルビアを見て、サクヤが笑顔で合流する。


「サクヤ、試しましたね?私だって学習しますよ。前みたいに腕を砕いたり、鎧ごと殴り飛ばしたりはしませんってば」


ああ、成程。

聖獣時代のの攻撃力でも、そこらの冒険者、シルビアでもワンパンだろう。

ただ攻撃力と俊敏性に任せて拳を振るえば、Sランクパーティですら、壊滅する。

過去にそういう事例があったからこそ、サクヤはシルビアの成長を確かめたのだ。

精神的に余裕が出来たということなのだろう。

私はシルビアの頭をよしよしと撫でた。

嬉しそうに頬を染めるシルビアは、子犬のように擦り寄ってくる。

シルビアをもふもふしていると、エルノアが私達を見つけて合流した。


「ごめん。遅くなった?」


「良いけど、何を買いに行ってたの?」


「ふふ、秘密」


エルノアは意味深に微笑み、ミズキは知らぬ存ぜぬを貫き通す。

まぁ、別に何を買ってたって怒ったりなんかしないんだけど。


「まぁ良いけど」


追及を諦め、ダンジョンに並ぶ列に戻る。


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