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査定結果

「では、倉庫に移動して他の物も見せていただけますかな?」


「はい。こっちのドロップ品はどうしますか?」


床に並べたSランクのボスのドロップ品を指さすと、老紳士は申し訳なさそうに頷いた。


「一度仕舞っていただけるとありがたいですな」


「わかりました」


手を翳してバジリスク、ジャイアントスコーピオン、ミルメコレオのドロップ品を空間ボックスに仕舞い、応接室を出る。

一階の解体所兼倉庫に案内され、広い作業机の上に、皮やら牙やらを取り出して山にする。

作業員達が一つ一つ鑑定していくが、時間が掛かりそうだ。

そうしている間に商業ギルドからお偉いさんが出張買取に来てくれたらしく、再度最上階の応接室に戻った。

かなり急いできたらしく、小太りの商人は汗だくだった。

ハンカチを取り出して汗をぬぐい、一息ついたところで、私達に自己紹介をしてくれる。


「お初にお目にかかります、私商人ギルド副会長のトローデと申します。ダンジョン産の宝石が多数見つかったと聞き飛んで参った次第です」


にこにこと営業スマイルを浮かべ、ソファーに座ったトローデは、宝石を再度並べると、驚きに目を見開いて口を開いた。


「ほう、これは珍しい!ブルーダイヤモンドではありませんか。しかもこの大きさ。金貨3000枚は下らない代物ですぞ!」


興奮気味でブルーダイヤモンドを隅々まで鑑定する商人ギルド副会長。

舐めるようにブルーダイヤモンドを鑑定した後、他の宝石も一つずつ鑑定していく。


「おお。おおお…素晴らしいですぞ、この大粒のダイヤモンド!これだけの透明度はダンジョンでしかお目に掛かれない…」


ぶつぶつと独り言をつぶやきながら、ゆっくり宝石の鑑定は進んだ。

エルノアもミズキも暇そうだ。

シルビアも、手持無沙汰なのか、クッキーをもくもくと口に運んでいる。

サクヤは今までリーダーを務めてきただけあって、ひとり落ち着いて、優雅に紅茶を飲んでいる。


三十分ほど経過して。

一通り鑑定を済ませた商人は、査定金額を口にし始めた。


「ブルーダイヤモンド大粒は金貨3500枚、ダイヤモンド大粒は金貨2500枚、ペリドット中粒は一つ金貨800枚、サファイア中粒は金貨900枚、ルビー中粒は金貨850枚、アメジスト小粒は一つ金貨400枚、アクアマリン小粒は金貨350枚程で総額金貨10900枚で如何でしょうか」


ふむ。一つの宝箱からごろっと出てきた宝石の割には言い値が付いている。

まぁ、ブルーダイヤモンドなんかは加工して、ネックレスにでもすれば、金貨7000枚は下らないだろうし、大粒のダンジョン産ダイヤモンドも加工すれば金貨5000枚程度の値が付き、貴族達が大喜びで買っていくだろう。

公爵家の伝手を利用すれば、倍以上の利益が出るだろうが…今はまだ12歳の子供設定。

事業を起こすには早すぎるし、そもそもそんなつもりもない。


「ええ。ではそれでお願いします」


金貨一万枚越えなら、十分な収入だろう。

というか、サクヤ達は今まで何を売って数十万もの金貨を入手したのだろうか。

神級アーティファクトでも売ったのかな、なんて考えつつ、トローデを見遣る。


「流石に一万枚もの金貨は持ってきておりませんので、後ほど商人ギルドに立ち寄っていただくことは出来ますでしょうか?勿論宝石と引き換えに代金はお支払いいたしますので」


「わかりました」


頷くと、ではまた後程、と頭を下げて、商人が退出していく。

入れ替わりでギルドマスターが戻ってきて、こちらも買取金額を提示し始めた。


「ミノタウロスの毛皮58枚は金貨1400枚、オーガの角が30本が金貨890枚、トロールの毛皮が49枚が金貨1500枚、サイクロプスの甲皮が31枚が、金貨2400枚、オルトロスの牙が29枚が金貨1600枚、ヘルハウンドの牙と爪が38本が金貨3700枚、ブラッディウルフの毛皮が20枚が金貨1900枚、ケルベロスの爪と牙、毛皮が金貨1400枚、バジリスクの邪眼が金貨3900枚、ジャイアントスコーピオンの鋏が金貨3000枚、尾が金貨3500枚、ミルメコレオの毛皮が金貨4800枚。〆て金貨29990枚で買取させて頂けませんでしょうか」


何処からそんな金貨が出てきたのだろうと、ぼんやり考える。

ダンジョン都市とはいえ、たかだかギルド支部がぽんと出せる金額じゃないような気がするのだが。

金貨100枚も出せば、高級レストランが貸し切りにできる世の中だ。

金貨1000枚も出せば、新しい事業を軌道に乗せることさえ出来るだろう。

そんな世界で、約30000枚の金貨を、ギルド支店ごときがどうやって捻出しているのか非常に疑問だった。


「はい、問題ありません」


私の代わりにサクヤが頷き、白金貨と大金貨で取引が行われる。

白金貨は金貨100枚分、大金貨は金貨10枚分の価値のある貨幣だ。

大きな商談などでしかお目に掛かれない。

貴族でさえ、普段使うのは金貨だ。


「ではこちらを」


白金貨299枚と、大金貨9枚。

締めて金貨29990枚分のお金を、サクヤは一応ざっと確認して枚数があっているか数えた後、共用の空間ボックスに仕舞い込んだ。

因みにこの場合の共用は、私、エルノア、サクヤ、ミズキ、シルビアのパーティ用のボックスだ。

幻獣達と繋がっている空間ボックスはまた別にある。


「それでは、今後も御贔屓に」


とギルドマスターが一礼して、私達を見送り、応接室を出た。

転移魔方陣で1階へ降り、商業ギルドへと足を運ぶ。

大通りのかなり目立つ位置に3階建ての建物があった。

商人たちが馬車ごと商品を売りつけたり買い付けたりするため、かなり大きな建物だ。


「獄炎蝶です」


とサクヤが受付に話すと、先ほど宝石を鑑定してくれたトローデが駆け足でやってきた。


「応接室にご案内します」


流石にこんな場所で白金貨や大金貨でやり取りは出来ない。

人目につけば、悪いことをたくらむ輩も居るからだ。

Sランクの冒険者パーティに手を出すような馬鹿はまぁ殆ど居ないだろうけれど。


案内された応接室で、豪華な装飾が付いたソファーに座り、一旦仕舞っておいた宝石を取り出す。

万が一にも宝石に傷がつかないように、口かなジュエリーケースが用意されていたので、そこに一つずつ宝石を並べていく。


「はい、確認できました。お支払いは白金貨で問題ありませんか?」


「ええ、問題ありません」


「では」


そう前置きして、白金貨が109枚、テーブルの上に置かれる。

数えやすいように10枚ずつ重ねられた白金貨が10列と端数の9枚。


「はい、確認しました」


サクヤが頷いて、皮袋に白金貨を仕舞い、パーティ共用空間ボックスへと放り込む。

それを見て一瞬羨ましそうな顔をしたトローデは、すぐに顔を引き締めてにっこりと笑みを作った。

正直、太ったおじさんがニコニコ笑っても、寒気しか感じないのだが、私の美的感覚は大分神獣達に感化され始めているようだ。


「では、失礼しますね」


そう告げて、応接室から退出すると、ミズキがぐいっと腕を伸ばして体を解し、シルビアも解放感からにこにこ笑顔だ。


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