真なる神獣
「ん…?」
朝日を瞼の裏に感じて目を覚ます。
昨日のことは、後半は意識が朦朧としていて覚えていない。
身体を起こそうとすると、がっしりと抱きしめられていて動けないことに気付いた。
「ミズキ、ミズキ!」
「んぁ…起きたのか」
まだ眠そうなミズキの腕から抜け出そうとするが、がっちり掴まれて放してもらえない。
昨夜あんなことを頼んだ手前、邪険にするわけにもいかず、大人しく筋肉質な胸板に顔を埋めた。
「ミズキ、早く起きてよ」
「…もうちょっと寝かせろ」
ぶっきらぼうに返ってくる言葉に、ため息を吐いて、二度寝しようかと目を閉じる。
その時後ろから腕が伸びてきて、ミズキの腕の中から、引っ張り出される。
仰向けに転がって目を瞬いていると、私の上に馬乗りになったエルノアがごく自然に口づけしてきた。
「んっふぅ」
くちゅくちゅと舌を絡めとられ、なかなか解放しようとしないエルノアに、ただ流されている私。
というか、昨日の今日でなかなか心に区切りがつかずにいる私の隙を、エルノアはよく見ている。
でもやっぱり口づけだけで感じるのは淫紋が浮いている時だけみたいだ。
ただ、あまりにも甘い口づけで、頭がふわふわするような不思議な心地になる。
長い口づけから解放されて、ぷはっと大きく息を吸う。
名残惜しそうに離れていくエルノアと私の間に銀色の糸が繋がっていた。
「はぁ…レイ、可愛い」
「もう、エルノア。何してるの?」
「だって名残惜しいんだもん。今日は感じてくれないんだ?」
普通の女なら発狂でもするのではと思わせるほどの色気を振りまいてまた口づけしようとするエルノア。
昨日行為が終わってそのまま寝たからか、下着すら付けていない。
筋トレなんてしてないはずのエルノアは、ミズキと比べても遜色ない程綺麗な肉体美を体現している。
妖狐らしく整った容姿に妖艶な色気を纏ってぐいぐい来るエルノアを拒絶する言葉が思いつかず、されるがままになっていた私を、サクヤが救出してくれた。
「あ、サクヤ。何するのさ」
「淫紋も出ていないご主人に貴方が何をしているんですか。いくらレイ様が優しいからと言って、その隙に付け込むなど、妖狐はやっぱり妖狐ですね」
私を抱き上げてベッドから脱出し、床にそっと降ろしてくれるサクヤ。
だが、自分で立とうとした瞬間がくんと膝を付いてしまう。
「あーあ。昨日あれだけシたのに、普通に立てるわけないじゃん」
「申し訳ありません、配慮が足りませんでした」
サクヤが私の身体を神聖術で回復させてくれる。
立ち上がると、腰の痛みは消えていた。
見ると、彼もまた、一糸纏わぬ姿でその鍛え上げられた胸板が目に眩しい。
昨日隅々まで見られた自覚はあるため、今更自分が裸なことに赤面するつもりもないが、そろそろ服を着て欲しい。
私は脱ぎ散らかされた下着を拾い、身体を隠した。
「そういえばシルビアは?」
「…見ていませんね。そろそろ帰ってもいいころですが」
昨夜も自分の服を拾って、身に付けながら首を傾げる。
というか、サクヤってこんなに神力強かったっけ。
なんて思って鑑定してみる。
【 名 前 】 サクヤ
【 年 齢 】 9
【 種 族 】 鳳凰(真なる神獣)
【 レベル 】 146
【 体 力 】 27849
【 魔 力 】 28904
【 神聖力 】 38909
【 神 力 】 27894
【 攻撃力 】 28490
【 防御力 】 27489
【 知 力 】 34890
【 敏捷性 】 27849
【 ユニークスキル 】
軍師
不滅なる者
【 エクストラスキル 】
煉獄魔術
狂嵐魔術
魔術攻撃半減
状態異常無効
鳳凰の息吹
鳳凰の涙
不老不死
治癒促進波動
【 スキル 】
経験値倍加
経験値共有化
剣術上級
盾術上級
聖剣術上級
索敵
気配察知
危機察知
サクヤのステータスを見て、私は咳き込んだ。
いつの間にか真なる神獣になっている。
魂の回廊が今までよりより強固に接続されている。
「どうしましたか、レイ様」
「…サクヤ、いつの間にランクアップしたの?」
「ああ、これですか。レイ様と一つになった時にランクアップしましたね」
にっこりと妖艶な笑みを浮かべるサクヤ。
となると、エルノアとミズキもランクアップしているのだろうかと、鑑定眼を使う。
【 名 前 】 ミズキ
【 年 齢 】 9
【 種 族 】 闇龍王(真なる聖獣)
【 レベル 】 148
【 体 力 】 32789
【 魔 力 】 27890
【 神聖力 】 27894
【 神 力 】 27568
【 攻撃力 】 39847
【 防御力 】 37465
【 知 力 】 27940
【 敏捷性 】 27849
【 ユニークスキル 】
狂暴化
龍王の威厳
【 エクストラスキル 】
暗黒魔術
地核魔術
龍王の息吹
龍王の咆哮
龍王のオーラ
状態異常無効
物理攻撃半減
魔術攻撃半減
【 スキル 】
経験値倍加
経験値共有化
短剣術上級
格闘術上級
魔闘術上級
気配察知
危機感知
【 名 前 】 エルノア
【 年 齢 】 9
【 種 族 】 空狐(真なる神獣)
【 レベル 】 168
【 体 力 】 28904
【 魔 力 】 38948
【 神聖力 】 28940
【 神 力 】 28940
【 攻撃力 】 38947
【 防御力 】 27849
【 知 力 】 36378
【 敏捷性 】 36489
【 ユニークスキル 】
暗殺者
天道を歩む者
【 エクストラスキル 】
幻想魔術
超能魔術
誘惑術
魅了誘引
神通力
神聖結界
物理攻撃半減
魔術攻撃半減
状態異常無効
【 スキル 】
経験値倍加
経験値共有化
多重分身
暗器術上級
短剣術上級
影移動
危機察知
気配察知
ミズキとエルノアも、ステータスが恐ろしいことになっていた。
魔力と神聖力神力、知力だけはまだ私の方が上だが、他のステータスは足元にも及ばない。
この調子だとまだ彼らの速度に合わせて走ることなど当分先だななんて思いつつ、シルビアに念話を送る。
―シルビア。今何処?
―あ、ご主人様。解呪は出来たんですね!なら、すぐに戻ります!
―ええ、待ってるわ。
―はい!
何処に居るとは答えなかったシルビア。
まぁ、問題ないなら好きにして構わないから突っ込んだりしない。
すぐに転移魔術でシルビアが室内に戻ってきた。




