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ローレライの愛情表現

暫くして、顔色が元に戻った神獣達は、また擬人化を解いて大空を舞った。

眼下には、行けど暮らせど広大な草原が広がっている。


「サクヤ、あとどのぐらい?」


大体3時間ほど飛んだところでサクヤに問いかける。


―そうですね、あと半日も飛べば、ボスのいる場所に辿り着くかと。


神獣にランクアップしたサクヤの飛行速度は、以前の比ではない。

亜音速並みのスピードだ。

それでも後一日かかるということは、普通の冒険者が歩いて目的地まで行くとなるとどの程度なのだろう。

今出ている速度とから、飛行距離を計算し、普通の冒険者の歩く速度に計算しなおすと…うん、1年は掛かる。

この草原を歩いて踏破しようとするなら、そのぐらいかかるだろう。

現実的な数字ではない。

一年分の食料を持ち込むことさえ空間ボックスが無ければ不可能だ。

まぁ、このダンジョンが未だ最高到達階数が26階層までなのも納得がいく。

恐らく26階層の密林地帯を突破できずに撤退したのだろうから。

このダンジョンを、通常の方法で攻略するのは不可能に近い。

そもそも、ダンジョンに1年以上も潜り続けて踏破したいと考える人間が居るのだろうか。

そんなことをつらつらと考えているうちに、食事の時間になったのか、サクヤが地面に降り立った。


さて、何を作ろうかな。

創造魔術があるから、作ろうと思えばぶっちゃけなんでも出来る。

人目につかないから自重する必要もない。

昨日お米を創ったし、丼ものにしようかな。

親子丼だ。

お米を炊く準備をして、火にかける。

その間に、鶏肉と玉ねぎを切って、鍋で炒めて、醤油、味醂、砂糖で味付けする。

最後に卵を入れて、ふわふわの半熟の状態で時間加速魔術でふっくら炊けたお米の上に乗せる。

どんぶりなんて持っていないので、創造魔術で人数分創った。

まぁ、この程度の魔力なら、すぐ回復するし、問題ない。


―調理中級を獲得しました。

いつの間にか、調理スキルがレベルアップしたらしい。


「はい。できたよ」


全員にどんぶりを手渡すと、料理をじっと見つめる神獣達。

美味しそうな匂いだけは分かるのか、ごくりと唾を呑み込む音が聞こえる。


「…どうやって食うんだ?」


「スプーンで、下にあるご飯と一緒に食べるといいよ」


ミズキの問いに答えると、私の言葉に従って、お米と卵を一緒に救い上げ、口に入れる。


「!」


一口食べて、何を感じたのか、ミズキはがつがつ食べ始める。

サクヤは幸せそうにため息を吐き、エルノアも気に入ったのか、食べる手を止めない。

シルビアも嬉しそうに親子丼を口に運んでいる。


「まだあるか?」


「私もください」


「俺も」


あっという間に一杯目を食べ終わったミズキ、サクヤ、エルノアが、二杯目をもくもくと食べ進める。

まぁ、幻獣から進化した神獣に、食レポはあまり期待してはいない。

今まで食べる必要が無かったのだから、他と比べてどれだけ優れているかなど分かるはずもない。

けれど、幸せそうに頬を緩めながら食べる様を見るだけで、満足だ。

こんな食事をとるだけで、ランクアップする可能性があるのなら、いくらでも作ってあげようと思う。

全員が食べ終わったのを見計らって、お風呂に入る。

何日かは我慢したけど、やっぱり入らないと落ち着かない。

シルビアも嬉しそうに装備を脱ぐと、ローレライらしい、妖艶な体をバスタオルで隠してお風呂に入ってきた。


「はぁ~…気持ちいいです…疲れが取れます~。私今日は何もしてないですけど…」


若干卑屈になりながら、のほほんとお湯に浸かるシルビアが可愛くて、後ろからぎゅうっと抱きしめる。

突然のことで思い切り動揺したシルビアは、バスタブの中で逃げるわけにもいかず、顔を真っ赤にしながら自分から抱き着いてきた。


「レイ様ぁ…好きです。大好きです~」


同性からの告白をはいはいと言いながら聞き流して、頭を撫でてやる。

スキル、感情感応が発動したらしく、シルビアに対する好感度が上がる。

正面から抱き着いているため、私の胸とシルビアの胸がくっ付いてぎゅうぎゅう潰れている。

女同士のスキンシップってこんな感じなんだろうか。

ちょっと胸のあたりが苦しいけど、何故か幸せそうに顔を蕩けさせるシルビアを引き剥がす気にもなれず、好きにさせておいた。

お風呂から上がって、乾燥魔術で体を乾かし、ネグリジェに着替えてベッドを取り出す。

一緒にお風呂から上がったシルビアが、下着姿でちょこんとベッドの淵に腰かけて、こちらを見遣る。


「起きていても暇なので、一緒に寝てもいいですか?」


「ん?良いけど…神獣って眠れるものなの?」


「はい、睡眠は特に必要ありませんけど、意図して意識を落とすことはできますよ?」


「そうなんだ。ならおいで」


布団を捲って中に入れてやると、一瞬シルビアが勝ち誇ったような表情を男性陣に見せつけた気がした。

機嫌の悪そうなミズキと無表情のエルノアが近づいてきて、ミズキがシルビアの頭を殴り、エルノアが片腕でシルビアを布団から引き摺り出した。


「痛いですよ!何するんですか!」


「あんたはレイに近づくの禁止」


「同姓の特権です~!貴方達みたいにレイ様の裸体をそうっもがっんんんーーーー!!」


エルノアがシルビアの口を塞いだまま、担ぎ上げて去ってゆく。


「…見張ってるから、ゆっくり寝ろ」


ぶっきらぼうにミズキがそう言って、ベッドから離れていった。

結局シルビアは一緒に寝ないのだろうか。

というか、仮にもローレライに進化したシルビアの下着姿を見て顔色一つ変えないエルノアって、どんな人なら好きになるんだろうか。

彼らの恋愛模様の行く末を憂いながら、眠りについたのだった。



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