神獣にランクアップ
翌朝。
目を覚ますと、見渡す限りの草原が。
そういえばダンジョンの中だったななんて寝ぼけ眼を擦りつつ、服を着替える。
朝食は、食パンを創造魔術で創りだし、レタスとハムと卵ときゅうりをケチャップとマヨネーズで味付けした簡単サンドイッチ。
寝起きでもこのくらいの軽食なら食べられる。
「…柔らかいパンですね」
サンドイッチを齧ったサクヤが、好奇心で言葉を紡ぐ。
「うん、こっちの世界のパンは、少し固いものね」
「そうですね。正直、食べたいとも思いません」
頷きながら、サンドイッチを口に運ぶ。
お皿に乗せて渡した一人前はすぐに無くなった。
「まぁ、材料が違うだけで、柔らかいパンは幾らでも出来るから」
そんな話をしながら、サクヤとミズキ、エルノアにお代わりの分を取り分けてやる。
「レイ様が作れば、黒パンじゃなくなるのですか?」
二皿目を口に運びながら、サクヤが首を傾げる。
「黒パンはライ麦を使ってるけど、この白パンは小麦粉を使うの。小麦粉はこちらの世界じゃ手に入りにくいからね」
「成程…」
二皿目もぺろりと平らげたサクヤが、満足そうに息を吐く。
シルビアが洗い物を終えれば、また空の旅が始まる。
今日はサクヤが紅い巨鳥の姿になって空を駆ける。
ボスはまだまだ先の様だ。
昼食の時間になったら、地面に降りて、何を作ろうか考える。
折角だからお米炊こうかな。
ご飯に合うのは…うん、角煮にしよう。
創造魔術で一升分のお米を創り出し、水でといて創った土鍋に時間加速魔術を掛けてからを火にかける。
マジックコンロが一つでは足りないため、同じものをもう一つ創って、オークの肉を切り分け、表面を焼いたら、水と醤油、味醂、酒、砂糖を加えて、時間加速。
お米の方にも時間加速魔術を使って、あっという間にご飯ととろとろの角煮が出来上がる。
「はい、お米と一緒にお肉を食べるといいよ」
そう言って、お茶碗が無かったので創造魔術で人数分創って、ご飯と角煮を手渡した。
最初は戸惑っていた聖獣達も、食べているうちに理解したのか、角煮を口に運んで、白米を食べる。
「…レイ、俺これ好きかも」
エルノアが初めて感想を呟いた。
「そう?お肉のほう?それともご飯?」
「一緒に食べるのがいい」
そう言って、無言でおかわりを要求する。
今まで屋敷で執事として接してきたエルノアは、恐らく猫を被っていたのだろう。
敬称も、敬語も必要なくなった今は以前とは全く違う。
エルノアの性格はツンデレだ。
サクヤは冷静で物腰穏やか。
ミズキは粗暴で面倒くさがり。
シルビアは従順で素直。
聖獣にもいろいろな性格がある。
ミズキとサクヤもおかわりして、皆が食べ終わり、満足げに息を吐いた時。
ぱぁっと聖獣達が光に包まれ、存在が増大していく。
光はすぐに収まって、皆は自分のステータスを覗き込んで驚愕していた。
「神獣になった…?」
「そのようですね」
「こんなに簡単に…?」
「マジかよ」
唖然としている彼らのステータスを鑑定眼で確認する。




