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時短魔術で最速料理

ダンジョン探索は順調だ。

というか、襲ってくるモンスターが弱すぎて、私が魔術を使うまでもなくあっという間に戦闘が終わってしまう。

迷路に出てくるモンスターはミズキの格闘術の前になすすべもなく消滅するし、モンスターハウスに入っても、ミズキ、サクヤ、シルビアの連係プレーで一分もかからずに瞬殺される。

エルノアの遊撃の出番すら無く、三日で二十階層まで駆け抜けてきた。

といっても、私の敏捷は聖獣の彼らにとっては遅すぎるため、何故かサクヤとエルノアに一階層ずつ、交互にお姫様抱っこされている。

ミズキも私を抱き上げたいとごねたが、最前線での露ばらいをしながら私を守るには安全面で難ありとエルノアに却下された。

なぜ誰が私を抱き上げて走るかで揉めているのかは私にはさっぱりわからない。

ともかく、彼らの敏捷値は私の数十倍高いので、私に負担がかからないように配慮までされたうえで、たった三日で此処まで辿り着いた。

疲れ知らずな聖獣達も、食事の時間は楽しみになったようだ。

まぁ、創造魔術で醤油とか味噌とか味醂とか、地球の調味料を作り出して、一通りそろえただけあって、料理のレパートリーは大分増えている。

聖獣達も大体私がお腹を空かせる時間帯が分かってきたのか、私が口に出さなくても、足を止めて結界を張ってくれるようになった。

今回は気分で肉じゃがを作っている。

因みに、この世界の主食とされている野菜類は地球で見たことのあるものばかりだ。

ジャガイモもニンジンもタマネギも牛肉も呼び名すら変わらない。

それが何故なのか考えてみたが、恐らくこの世界を作った創造神が地球の知識を取り入れたのだろうと勝手に納得した。

醤油に砂糖、みりんを入れて、味付けした後、時間加速魔術を使って、煮込み時間を超短縮。

蓋を開ければ、ほくほくに炊けた肉じゃがの完成だ。

調理時間は十分も掛かっていない。

最初は魔力の無駄遣いだと呆れていた聖獣達も、だんだん私の規格外さに慣れてきた。


「はい、できたわよ」


全員分の深皿に肉じゃがを持ってやると、見たことのない料理に興味津々といった様子で食べ始める。

因みに、私の料理が神力の増大に役立つと知ってからは、料理を作るたびに魔族国の王都に居るローゼンの所にも転送魔術で料理を送り続けている。

転送魔術で空の器が戻ってくるので、食べてくれてはいるのだろう。


「うわぁ…ジャガイモがほくほくで凄く美味しいです」


「レイ様、調理スキルがまたレベルアップしたのでは?味付けが素晴らしいですね」


シルビアが感動しながらジャガイモを口に運び、サクヤが私の腕を褒める。

エルノアは当然だとばかりに頷きながらもくもくと食べているし、ミズキはがつがつ食べすぎて咽ている。


「ミズキ、はいお水」


聖水の聖杯を渡すと、ひったくる様に受け取ったミズキがごくごくと喉を鳴らして聖水を呑む。


「サンキュ」


お礼を言いながら聖杯を返すミズキと受け取る私の指先が一瞬触れた。

それだけで、ぎょっとしたように手を引っ込めるミズキは、女が嫌いなのだろうか。

その割には私をお姫様抱っこしたがっていたような。

そんなことを考えている間に食事が終わり、鍋は当然空っぽに。

シルビアがいつものようにささっと洗い物を終えて、またダンジョン攻略へと立ち上がる。


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