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準備のいい聖獣達

「ありがとう。頂くわ。序に、この国じゃない街で食料と香辛料、調味料と、料理する道具を…「揃えてありますよ?」え…?」


「私、いつご主人様がダンジョンに潜ることになってもいいように、肉も魚も野菜も調味料も料理器具も全て揃えておきました」


至極当然のようにシルビアが言う。

サクヤもさも当然のようにこちらを見ているし、ミズキは胡坐を組んでやれやれとため息を吐いている。

私が指示しないと何もできないと思っていた召喚獣は、いつの間にか自分たちで考え、行動し、私に魔力以外の物を還元してくれるまでに成長していたらしい。


「そう、ありがとう。なら、今から出発しましょうか」


自然に沸き上がった喜びが顔に出て、目の前の召喚獣達に微笑んでいた。

シルビアを撫でてやると、顔を真っ赤にしてうつむいている。

サクヤがシルビアに冷たい視線を向け、ミズキは顔を逸らして舌打ちをした。


「では、どこのダンジョンにしましょうか。ダンジョン都市だとご主人様が私たちのパーティに混ざるとかなり目立ってしまうでしょう。私達の顔が知られていない国だと、竜人の国の街、ハイトロネアでしょうか」


サクヤが頭を捻りながら、候補を上げる。

彼らは獣人の国と妖精の国には行ったことがあるようだが、竜人の国にはまだ行っていなかったらしい。


「どこでも構わないわ」


「わかりました」


頷いたサクヤが、大規模転移魔術を発動させる。

転移は転移先の座標が分からなければ発動できないが、ハイトロネアの座標は調べたのだろうか。

聖獣である彼ならば、各地に点在している幻獣に街の座標を聞き出すことなど造作もないことだ。

一人納得し、エルノアに視線を合わせる。

彼は私が言いたいことは理解しているようで、幻魔術で私の精巧な幻影を作り、自らの幻影もその場に置いた。

私は偽装魔術で髪と瞳の色を変え、先ほど献上されたローブを羽織り、アーティファクトを身に着ける。

動きやすいように年齢操作魔術で18歳ぐらいの体に変えて、はたと気付いた。

十二歳の子供用の服では、胸のあたりと足の露出度が不味いことになっていた。

サクヤとエルノアは顔を真っ赤にして視線を逸らしているし、ミズキも慌てて私に背中を向けた。


「…シルビア。何か適当な服持ってない?出来ればワンピースタイプの楽な服が良いんだけど」


「はい、こんなこともあろうかとご主人様用に見繕っていた服がありますよ」


にっこり笑顔で服を並べ始めるシルビア。

その手はいつまでも止まることなく、部屋の中いっぱいに大人用のワンピースがずらりと並んだ。

ゴスロリチックな物から清楚なものまでジャンルが幅広い。

私はその中の銀色の糸で編みこまれた、シンプルなワンピースを手に取った。

着替えてみると、動きやすい。

合わせて、膝上まであるロングブーツ、俊敏性二倍を履き、首元を物理攻撃無効のショールを巻かれる。

上から教皇なんかが来ていそうな罠ダメージ全無効のローブを羽織って、魔方陣を潜った。


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