暇になりました。
それから数日。
私は自室で暇を持て余していた。
この世界の知識はもう全て取り込んだ。
城の図書室にも忍び込んだし、禁書庫にも潜り込んだが、その殆どが、神としての記憶の中にあるものばかりだった。
始めて目にした知識のみが、知力をあげる。
徐に私はステータス画面を開く。
【 名 前 】 レイチェル・フォン・ミドラー
【 年 齢 】 12
【 種 族 】 魔族
【 レベル 】 1
【 体 力 】 98
【 魔 力 】 9999999999(9767885344、消費中)
【 神聖力 】 87999999
【 神 力 】 97584
【 攻撃力 】 67
【 防御力 】 59
【 知 力 】 789999999
【 敏捷性 】 109
【 ユニークスキル 】
神魔召喚
傾国の美女
知識の具現
魔術の深淵
神聖術の真理
神眼
契約者の心臓
【 エクストラスキル 】
先見の明
統率者のカリスマ
完全記憶
速読速記
並列思考
【 スキル 】
経験値倍加
経験値共有化
スキル獲得効率化
感情感応
これ以上は、戦闘を経験し、レベルを上げ、スキルを自分で獲得しないと強くはならない。
因みに魔力は現時点でカンスト値。
これだけの魔力を消費して召喚されている幻獣はその数凡そ一億匹。
この大陸全土を覆って余りある数だ。
知力は唯一情報を収集することで上がるが、その本質の発揮は魔術・神聖術。神術への増幅作用だ。
今まで知力だけを上げてきたが、それもどうやら限界に近い。
「そろそろ、実践にでないとね」
一人呟くと、エルノアが嬉しそうな視線を私に向けた。
恐らく長い使用人生活に退屈していたのだろう。
―サクヤ、ミズキ、シルビア。聞こえる?
―ご主人?なんの御用ですか?
若干驚いたようだが、心の揺らぎが見えない。冷静沈着。
これはルフのサクヤだろう。
―あぁ?主か。今最下層のボス戦中だ。ちょっと待て。
若干の不服を孕んだ状況説明。
これはドラゴンのミズキだ。
―ご主人様!漸く私の出番ですか?!待ちわびておりました…!
早くご命令をと言わんばかりの歓喜の声。
これはセイレーンのシルビアだ。
―今入ってるのはガンチェスダンジョンよね?最下層まで行けたの?
―はい!最下層のボスはキマイラのようです。ミズキが今倒しました。
今終わったらしい。
この三体の聖獣達は、ダンジョン探索の名を下してから、もう既に三つのダンジョンを踏破している。
召喚獣と言うこともあって、魔力供給のみで食事が必要ないため、一度の挑戦で殆どのダンジョンを踏破している。
既に古代魔剣が一本、神級の弓が一本、神級ナックルと短剣、防具や装飾品が多数、入手したと報告を受けているが、使える者は自分達で使って、要らない物は現金化するようにと指示を出していた。
お蔭で、私の亜空間ボックスには、数十万は下らない金貨が詰め込まれている。
一応、自分の召喚獣だけに共通の金庫のようなものを作ってはいるのだけれど、誰も手を付けようとしない。
まぁ、幻獣達も回復力は異常なほどだし、聖獣になればほとんどの攻撃でダメージを受けない。
空腹も感じないのだから、お金なんて使うこともないのかもしれない。
―私も戦闘経験を積みたいから、貴方達に合流したいの。次のダンジョンはどこにするつもり?
―ご主人もダンジョンに?人間の体では食事も必要ですし、色々とご不便をおかけするやもしれませんが。
少し心配そうなサクヤの声。
まぁ、彼らの意見は最もだ。
レベル1の私を護衛しながらのダンジョン探索は、今までごり押しで進んで居た彼らにとって面倒以外の何でもないだろう。
―経験値共有化でもして寝ながらレベル上げる手もあるんじゃねぇのか?なんでわざわざ主がダンジョンに潜るんだよ。
心底面倒くさそうなミズキの声。確かに召喚獣の経験値は主人が一部受け取っても問題はない。
だが、その場合戦闘に関するスキルは一切手に入らない。
―レベル上げがしたいんじゃなくて、戦闘経験が積みたいの。大丈夫よ。そこまで面倒は掛けないわ。何ならエルノアと二人でダンジョンに…
―それは駄目です。
―ご主人様、私がお守りします!
ーっち…しゃあねぇ。一旦戻る。ちょっと待ってろ
一方的に念話が切れたと思ったら、空間転移でサクヤ、ミズキ、シルビアが現れた。
「貴方達、冒険者ギルドに報告とか行かなくていいの?」
ふと疑問に思って聞いてみたのだが、ミズキが鼻を鳴らして答えた。
「あんな狸共になんで一々踏破報告しなきゃならねぇんだよ」
「そもそもあのダンジョンの最高到達階数は28階。踏破までしてしまうと目立ちすぎて動きにくくなります」
元々隠すつもりだったらしいサクヤが、空間ボックスから戦利品を取り出して並べ始める。
「そうですね。私達もう既にSランク冒険者ですし。特に今実績を上げる必要はないんですよ」
サクヤの言葉に同意しながら、シルビアも空間ボックスを開いて色々と取り出し始めた。
「ご主人がダンジョンに潜るなら、これらは必要だと思いました」
無限に聖水が生み出される聖杯、魔術師の魔力を大幅にブーストするロッド、罠からの攻撃を無効化するローブ、全属性耐性の指輪、一日に一度、全てのダメージを肩代わりするネックレス。
これらは全て神級のアーティファクトだ。
今までのダンジョンで手に入れたが、売らずに取っておいたものだろう。
実際、聖水を呑めば体力が全回復するし、世界中探しても見つかりそうにない神玉をはめ込んだロッドなどは私が使えば敵なしだろう。
罠は探知魔術で大体見抜けるが、反応しない罠もある。
完全無効化ローブがあれば一財産どころか、国宝級だ。
全属性耐性の指輪など、一体どこの隠し扉を開ければこんなものが出てくるのやら。
一日に一度、全てのダメージを肩代わりするネックレスは、本来暗殺者に狙われる王族が喉から手が出るほど欲しいアーティファクトだろう。
彼らはいつかこんな日が来るんじゃないかと薄々感づいていたわけだ。




