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お披露目パーティ決定

私は父上に呼び出されて執務室へと向かっていた。

後ろにはエルノアも付いてきている。


「エルノア、何か知ってる?」


「レイチェル様のお披露目パーティのことかと」


淡々と答えるエルノアは常に屋敷の動きを把握している。

屋敷内だけでなく、各有力貴族がどのような動きをしているのかも全て見聞きしていた。


「そう。分かったわ」


私に婚約者探しなどするつもりはないと、父も分かっているだろうに。

もしかしたら、幼いうちから親しい相手を作ることで、恋が芽生えるかもしれないと期待しての事か。

一年と二十二日前、父に話したことがある。

冒険者になりたいと。

そのことは、覚えていてくれているのだろうか。

この国に私の神の力を認めさせるにはまだ時間が必要だ。

神力だけなら順調に戻りつつあるが、神の威光までは顕現できていない。

エルノアが神獣になるにも、最低でも後二年は必要だ。

聖獣から羽化の兆しが見えてはいるが、神力が足りない。


「父上。お呼びでしょうか」


「レイチェル。来たか。今まで見送ってきたが、お前のお披露目パーティをすることになった。お前の実力は誰もが認めている。婚約者になってくれとの声も後を絶たない。だが…それはお前が決めることだ。気に入った男が居れば言え。そうでないなら今まで通り関わらなくても済むよう手配する」


父の言葉を一語一句聞き逃さず理解した私は、ふわりと笑みを浮かべた。

覚えていてくれたのだ。

あの時、我が儘のつもりで言った、あの言葉を。


「はい。ありがとうございます。お父様」


一礼して執務室から出ると、エルノアが待っていた。

聖獣であり、九尾の妖狐である彼の容姿は当然人族の中でもトップクラスだ。

そんな執事が毎日そばで仕えているのに、心ひとつ動かない。

昔からそうだった。

恋愛なんてものは私には無縁。

いくら美男子が寄って来ようが、どんなに甘い言葉を囁かれようが、心臓はとくりとも反応しない。

顔が紅潮するなどあり得ない。

異性を前に動揺など、ただ隙を見せるになんらかわりない。

なのに私の周りに侍りだすものだから、肉体的な関係を想像されて、嫉妬に狂う女神たちに弑された。

私にとって男は厄介事を引き寄せる火種にしかなりえない。

その点、召喚獣は気が楽だ。

彼らと私は唯の主従関係。

それ以上に発展することはあり得ない。

ただ、もし、彼らが望むなら。

私の目的が果たされた後に隷属の契約は解除しても良いとは思っている。

それで私に牙を剥くなら、その程度の知能しか持ち合わせていなかったということに他ならないのだから。



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