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5/7

5.これならいけるかも

ルーカス様と別れた後,私は早速部屋に篭って今日手に入れた本を読むことにした。

 どんな内容なんだろう?

 大まかなストーリーは知ってるけど,違うところってあるのかな?

 期待に胸を膨らませながら,一ページ目を開く。

 

 『遠い昔のこと…——

 とある村に,ソフィアと言う若い女性がいました。

 彼女は心優しく,村中の人から好かれていて,その美貌と性格から「聖女」として崇められることもありました。』

 

 ここまではエマから聞いた内容とほとんど一緒だ。

 聖女様の名前がソフィアだったから,ソフィアって名前は隣国では縁起がいいとされているのよね。

 私のお父様も名前をつれる時に候補として上がってきたと言っていたくらいだし。

 でもイラストも見れたのはラッキーだなぁ。

 エマからは言葉だけでしか聞いてなかったから,こうやって挿絵があるのは有り難い。

 聖女様って,金髪だったんだ。

 なんて記憶と照らし合わせながら読んでいった内容を簡潔にまとめると,聖女様はある日その村の領主に一目惚れされて求婚されるんだけど,病気がちな母の元を離れるのが心配な聖女様はこれを断る。

 だけどこの領主はそれに怒って聖女様のお母様を手に掛けてしまう。

 それを知った聖女様はひどく悲しみ,と同時に身分的に領主に逆らえなかった為,その領主に嫁ぐことになる。

 この辺りは多分エマ省略してたな。

 子供に聞かせる内容じゃないしね,わかるんだけど……。

 まさかこんなに酷い内容だったなんて,思わなかったな。

 エマは一言で『村で酷い仕打ちを受けた聖女様は』って言ってたから。

 でその後,王子様が来て聖女様の癒しの力を発見して……,お城に連れて帰るって流れか。

 お城では王子様の婚約者の人がいたんだけど,まあ一夫多妻制だからね,隣国は。

 この国は違うけど。

 聖女様を側室に迎えることを告げて,それに婚約者が怒って地味な嫌がらせを始める,のか。

 数年後に国が魔物に襲われるっていう危機があり,それを聖女様が収めたことで地位と名声が一気に上がって,婚約者も手出しができなくなり……って感じかな。

 って言っても,婚約者のしてた悪行って大したことないんだよなぁ。

 例えば貴族の文化を知らない聖女様を大勢の前で注意したり,聖女様と王子様の席をわざと離して自分は王子様にベッタリくっ付いてマウント取ったり……。

 とか,やってることは間違ってるとは言えないんだけど,ちょっとやりすぎじゃないかなー?ってくらいのレベル。

 これくらいだったら今の王妃戦争の方がもっと酷いし,王子様もこれくらいで邪険にするのはちょっとなぁって思えるくらい。

 気分は良くないと思うんだけどね?

 でも,元々婚約者に決まってて身分も高いのに,急に平民が連れてこられてその人だけに構うようになったら怒るのもわかるんだよなぁ。

 どっちもどっちって感じ。

 ただエマから聞いた話と違ったのは,婚約者さんの行ってたことがそこまで行きすぎてないってことくらいかな?

 多分童話としてまとめるには完全に悪者にした方が伝えやすかったんだろうけど……。

 これくらいだったらやっても罰せられることないと思うよ……。

 エマの話だと国外追放したとか言ってたよね??

 そしたらその王子様の方が相当やばいよ……?

 普通は悪くて婚約破棄レベルだし。

 盲目すぎないかなぁ。

 周りの目を気にせずにベタベタするのは嫌がられてもしょうがないかもしれないけどさ,流石に一人の女性に入れ込んでたら怒るって。

 ……ん?

 ちょっと待って。

 これ使えないかな??

 そうだよ,どうして今まで思いつかなかったんだろう。

 殿下に嫌われたら良くない?

 そしたら婚約破棄できるよね。

 この婚約者さんがやってたこと真似したら,上手く解消できるんじゃ……?

 今まで浮かんでた案は不貞行為をでっち上げるってものなんだけど,それだと家の名誉まで傷つけちゃうから,誰かに頼んで恋人のふりをしてもらうこともできなかったんだよね。

 婚約破棄を直接お願いすることも,下手したら不敬罪になる可能性があってできなかった。

 でも殿下に嫌われるのは話が別じゃない?

 やってることは婚約者として何も不自然なことじゃないし,不敬罪にはならない!

 それでもって婚約破棄できるなんて,最高すぎる!

 もうこの際,次の婚約は諦めて,領地の運営を手伝うとかもありかも。

 お父様だって,(冗談だとは思うけど)お嫁に出したくないって言ってたし,私が嫁ぐんじゃなくて,婿入りしてもらうって体なら,立候補する人は山ほどいるだろう。

 え,待って。

 これなら本当にいけそう。

 試してみる価値はありそうだしね!

 そうと決まれば,目指せ婚約破棄!!

 

ここまで読んでくださってありがとうございます!

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