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合コンとは

 次の日、朝早くから「合コン」のために俺はジロウと出掛けた。俺はせいぜいおめかししようとしたが、ジロウは「向こうで貸してくれるから必要ない」という。しかもにぎやかな中心地に行くどころか、町の門を出てしまった。その先にはホバーバスが停まっている。何か様子がおかしい。俺はジロウに聞いた。


「こんなに朝早くからするのか?」

「朝早い方がいいに決まっている。さあ、あのホバーバスに乗るぞ。」

「どこに行くんだ?」

「あっ、言っていなかったな。今日は近くのリアナ村だ。」


 ジロウは貸し切りのホバーバスに乗った。俺はその後に続く。中には確かに多数の男女がいたが、若いのから老人まで、しかも子供まで乗っている。どう見ても俺が前世で聞いていた「合コン」をするメンバーには見えない。


「『合コン』だよな?」


 俺はジロウに聞いてみた。


「そうさ。何かおかしいところがあるかい?」


 俺からしたらおかしなところばかりなのだが・・・。俺はさらに尋ねてみた。


「ちょっと聞くが『合コン』ってどんなことをするんだ?」

「何をいまさら・・・。みんなで盛り上がるんだ! リアナ村ならいうことなしだ。」

「美人が多いとかか?」

「何を言っているんだ。コンネのうまいところじゃないか。」

「コンネ?」

「知らないで来たのか? リアナ村はコンネの有名な産地だ。掘り起こしてその根っこのイモを食べると最高だ。いいか。掘りたてじゃないとダメなんだ。だからわざわざホバーバスに乗って行くんだ。」


 それを聞いて俺はポカーンと口を開けた。


(みんなでコンネを食べる。だから合コンか・・・)


 俺は何だかだまされたような気がしていた。合コンと言えば、若い男女の出会いの場、楽しく話をしたり、王様ゲームをしたり、もっと・・・前世ではオタクでそういったものに縁がなかった俺の妄想は広がっていた。だがこの異世界ではみんなでイモを食べることとは・・・。


「ソウタも食べたらつまらない悩みなんか、吹っ飛ぶぞ。なんせそれほどうまいのだから。」


 ジロウはそう言うが、俺のテンションは一気に下がった。だが周囲を見ると、参加している人たちは楽しそうにしている。


「期待はしていないが・・・イモ掘りでもしたら気分が晴れるかもな。」


 俺はそう思い直して今日を楽しむことにした。


 ホバーバスはアナ村に向かって軽快に走っていた。だが山道に入ったところでいきなり急停止した。ガクンと大きな衝撃を受けて、乗客の中には座席から転げ落ちる者もいた。


「なんだ!」


 俺は立ち上がって前を見た。するとホバーバスの前に集団の男たちがいた。彼らが魔法か何かを使ってホバーバスを止めたようだった。

 着物のような物を着て、赤や青の色とりどりの皮膚をした筋肉隆々のでかい体の奴らだった。しかもその頭には2本の角が生えていた。


(こいつらは何者だ?)


 奴らからは激しい憎悪が感じられた。俺らを害そうというのか・・・俺は周囲を見渡した。ホバーバスは山の1本道で止まっている。左右には鬱蒼とした木々が茂っている。後ろにしか逃げられないが、すぐに追いつかれるだろう。


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