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訴え

「ドッカーン!!」


 火花が散り、大爆発が起こって俺もキングウルフも吹っ飛ばされた。俺ままたしても地面に叩きつけられた。かなりの衝撃が俺の体にダメージを与えた。普段ならこれぐらいすぐに回復してしまうのだが、なかなか元に戻らない体を見て俺は愕然とした。


(しまった! 魔法力(マジックポイント)が枯渇したか・・・)


 ラインマスクは俺の頭の中では無敵だ。しかしそれを支えているのは俺に埋め込まれている魔法増幅装置だ。もし俺の中にある魔法力(マジックポイント)がなくなれば、回復どころか変身が解けてしまう。この状態で奴の必殺技をまた受けてしまえば危ない。まずいことになっていた。

 一方、キングウルフは大きなダメージを受けながらも立ち上がった。そしてゆっくりこっちに向かってくる。まだ戦いを続けるのか・・・俺は身構えた。

 キングウルフは俺の近くまで来ると、そばに倒れている警備兵に向かって念を飛ばした。するとその警備兵は操られているかのように立ち上がった。


(なにをするんだ?)


 俺はキングウルフの意図がわからなかった。警備兵にはもちろん意識がない。キングウルフの意のままに動かされているようだ。そしていきなりしゃべりだした。


「貴様は何者だ?」


 キングウルフは自分の言葉を伝えるだけのためにこんなことをしている。そう言えば俺はこいつらには名乗っていなかった。これはこちらの手落ちだ。


「天が知る。地が知る、人が知る。俺は正義の仮面、ラインマスク参上!」


 キングウルフはさして驚こうともしない。警備兵の口を借りて言った。


「ラインマスクとか言ったな。俺と五分に渡り合ったことは誉めてやろう。」


 警備兵はキングウルフの言葉を伝えている。それにしても上から目線だ。狼のくせに・・・などと思いながら俺は尋ねた。


「お前はどうしてこの町を襲うのだ!」

「それはお前たちが俺たちの家族に手を出したからだ!」


 キングウルフはそう答えた。


「お前の家族? 俺にはそんなことがあったのかはわからない。だがこんなことをしなくても解決できるはずだ。」

「人間など信用できるか!」


 キングウルフに操られた警備兵は吐き捨てるようにそう言った。過去に嫌な目に会わされたのか・・・。これでは話し合いで解決はできなそうに思えた。奴はまた襲い掛かってくるかもしれない。俺は用心のために構えを崩さずにいると、さらに奴が言った。


「しかしお前のような勇者には感心した。俺を恐れもせず、真っ向から渡り合うのだからな。」


(いやいや、俺は勇者ではない。勇者ならそこにいる・・・)


 と心の中でツッコミを入れながら俺は黙って聞いていた。


「ここはお前の強さに免じて退いてやろう。しかしまた来る。そして家族を取り戻しに来る。いいな!」


 そう言い終わって警備兵はまた力なく倒れた。キングウルフはそのまま森の方に帰っていった。多数のグレートウルフを引き連れて・・・。


「助かった・・・」


 俺は全身の力が抜けていた。魔法力(マジックポイント)がなくなり、変身が解けて元の姿に戻っていた。もう少しキングウルフが粘っていたらそのまま殺されていただろう。


「ソウタ!」


 ミキがすぐに駆け寄ってきた。俺は力なくそこで倒れてしまった。後のことはわからない。


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