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脱出

 俺と勇者ノブヒコはまたスレーバーの覆面をかぶってハニーレディとともに部屋を出た。ハニーレディの監視兼護衛という体でだ。多くのスレーバーが行き交う中を、階段を降りて堂々とホールの出入口まで行った。


「どこに行く?」


 やはり出入口の警備のスレーバーが鋭い口調で尋ねた。うまくごまかさねばならない。


「ハニーレディは外で発声練習をしたいと言っている。少しの間、外に出す。」

「そんなことは聞いていない。ちょっと待て! 本部に確認する。」


 警備のスレーバーが通信機で連絡しようとした。俺は勇者ノブヒコに目で合図した。そしてすぐに俺たちは声を立てさせないように警備の2体のスレーバーを叩きのめした。これでいい。周囲にはスレーバーはいない。後はずらかるだけだ


「いくぞ!」


 俺たちは走り出した。だが警備のスレーバーが倒されているのはすぐに発見されてしまったようだ。後ろでは警報音が鳴り響いていた。


 ――――――――――――――


 俺たちは知らなかったが、その時、蜂怪女の元にジョーカーの幹部が作戦指示のために訪れていた。その幹部が住民の連れ去りの実際の指揮を執っていたようだ。


「この町の住人を明日にでも秘密基地に連れていけ!」

「わかりました。ただ気になることが・・・」

「なんだ?」

「ラインマスクと名乗る者が妨害を仕掛けました。住人を動員して追っ払いましたが・・・」

「ラインマスク? そういえば我がジョーカーから逃げ出して、我らの作戦を妨害する奴がいると聞いた。今度現れたら、お前の力で葬ってしまえ! よいな!」

「はい。お任せを。」


 2人がそう話しているところに警報が鳴った。


「どうした?」


 するとスレーバーがその部屋に入ってきた。


「ハニーレディが何者かに連れ去られたようです!」

「なに! さては例の奴か! 蜂怪女よ! 早速、お前の出番だ。奴を抹殺してくるのだ!」


 幹部のステッキを突きつけられて、蜂怪女は「ウィース」と敬礼して出て行った。


 ―――――――――


 俺たちはうまく逃げおおせたつもりだった。しかし甘かった。しばらく走ると町の人の一群にぶつかった。目がうつろで操られている人たちだ。


「こっちだ!」


 道を変えたが、そこにも操られた人が待ち構えていた。その人たちはゆっくり迫ってくる。すでに包囲されており、俺たちは広場の一角に追いやられてしまった。ジョーカーは俺がハニーレディを連れ出すと踏んで罠を張っていたのだ。


「ふふふ。ここからは逃げられない。今度こそお前たちを抹殺する!」


 そこに出てきたのは蜂怪女だった。また操っている人々を俺たちにぶつけて抹殺しようとするのだろう。今度は俺一人ではない。勇者ノブヒコもいるし恵子もいる。一人だけ飛んで逃げるわけにいかない。


「まずい! このままでは・・・」


 迫ってくる人たちを見て俺は危機感を募らせていた。こうなったらあの手しかない。後は恵子、いやハニーレディの力に頼るしかない。


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