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敵の罠

 逃げたゴブリンたちを追って俺たちは森の中に入って行った。勇者と魔法使い、そして変身ヒーローのパーティーなんて異色すぎる・・・と思うのだが、これはこれでよかった。

 森の中ではいろんな魔獣が待ち受けている。イノシシに似たもの、アナコンダのような毒蛇、大鷲のような鳥・・・あのまま一人で突っ込んでいたら深い森に引きずり込まれて、見たこともないこれらの魔獣を一人で相手をしなければならない。そうなるとさすがの俺も消耗して危なかっただろう。

 その点、勇者ノブヒコやミキはそれらの魔獣の対処に慣れていた。2人にはそのままでそこそこ戦闘力があるから、出てくる魔獣をすべて撃退してくれた。

 変身前の俺は少し強いだけの人間に過ぎない。そのたびに変身しておられないから・・・。パーティーを組んでいて大いに助かった。


 しばらくして俺たちはゴブリンのたまり場を見つけた。多くのゴブリンがまるでそこで眠ったように座り込んで動かないでいる。勇者ノブヒコが確信したように言った。



「やはりそうか。」

「やはりとは?」

「普段のゴブリンの行動ではない。何者かに操られている。魔法をかけられているのかもしれない。」


 その時、辺りから声が聞こえた。低い不気味な声だ。


「ふふふ。よくぞここまで来たな。」

「誰だ! 姿を現せ!」


 俺たちは周囲を見渡した。だがそれらしい姿も気配もない。完全にその存在を消し去っている。


「お前はジョーカーだな!」

「だったらどうする?」

「お前を叩き潰すだけだ!」


 俺はそう声を上げた。


「ふふふ。そんなことができるかな? お前たちはゴブリンたちの餌食になるのだ! 行け!」


 その声がゴブリンに命ずると、すべてのゴブリンがすっくと立ちあがりこっちに向かってきた。とてもすべてを相手にはできない。


「まずいわ。一旦、逃げましょう。」

「ああ、そうした方がいいな。」


 ゴブリンの群れを見て俺はビビッてミキの提案に賛成した。しかし来た道を逃げようとしたが、そこにもゴブリンが待ち構えていた。俺たちは罠にはまり、囲まれてしまったのだ。


「こうなったら力づくでも!」


 勇者ノブヒコは背中の剣を抜いた。さすがは勇者だ。こんな状況でもめげない。俺も見習わねば・・・。ミキも魔法の杖を出して臨戦態勢である。だがこれだけのゴブリンを相手に無事でいられるかどうか・・・ラインマスクの戦闘力でも・・・。


「ちょっと待て! 操っている奴を倒した方がいい。ミキ! 何とか探れないか?」


 俺はミキの魔法で・・・と期待したが、


「ダメだわ。私の魔法じゃ・・・」


 と悲観的だ。こうなったらラインマスクの能力に賭けるしかない。


「援護してくれ!」


 俺はそう言って変身ポーズを取った。ゴブリンは容赦なくこん棒で向かってくる。だがミキが魔法で結界を作り、そこから這い出てきたゴブリンを勇者ノブヒコ撃退してくれた。時間を稼いでいてくれている。パーティーとしての仲間の息が合っているのだ。


「ラインマスク! 変身! トォーッ!」


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