訪問者
「ソウタ!・・・じゃない。」
それはソウタではなかった。爆発現場にいた若い男だった。彼はおやっさんとゴウを見てニヤリと笑った。
「やあ、やはりここにいましたね。」
「お前、どうしてここに?」
ゴウは立ち上がってそう言うと、その男の前に立った。ゴウには不審で危険な男に思えたのだ。
「いや、何かわかったかと思いましてね?」
「まあ、いろいろわかったが・・・。ところでお前は何者だ?」
「俺? そう言えば名乗っていませんでしたね。俺はハリマ・ヤマト。フリーの記者さ。」
「どうしてあそこにいたんだ?」
「え? そりゃ、記者だからね。事件があるところにいるさ。あなたはシミズ・ゴウ。それにおやっさん。それにシゲさんにジロウ、ロコもいるな。」
「俺たちのことを・・・」
「ええ、知っていますよ。すべてね。」
ゴウは絶句した。ヤマトと名乗る男は何もかも知っているような口ぶりだった。この大胆不敵で謎多い男は一体、何者であろうか・・・ゴウはさらに問いかけようとした。
その時、ヤマトはテーブルの上の箱の中に緑色の塊があるのを見た。それは知らぬうちに微細な棘を飛び出ていた。ヤマトはぐっと目を見開きながら、それを指さして聞いた。
「それは?」
「届け物だが、何か?」
ヤマトの問いにおやっさんが答えた。するとヤマトはさっとテーブルに近づき、その箱を取り上げた。
「何をするんだ!」
おやっさんが声を上げるが、ヤマトはそれに答えずにすぐに箱をもって外に出た。
「ちょっと待て! 何をする気だ!」
ゴウがヤマトを追いかけた。おやっさんも不思議に思いながらその後に続いて外に出た。ヤマトはその箱を誰もいない原っぱまでもって走ると、いきなり遠くに放り投げた。
「伏せて!」
ヤマトの言葉におやっさんとゴウは地面に身を伏せて頭を低くした。するとその箱は、
「ドッカーン!」
と爆発を起こした。それは爆弾だったのだ。ヤマトはじっと立ったまま、それを鋭い目で見ていた。起き上がったおやっさんは彼のそばに行って尋ねた。
「もしかして爆弾事故の原因はあれなのか? 爆発現場に落ちていた緑色の破片の正体はあの箱の中身だったのか?」
「ええ、そうです。多分、届け物として送り、爆発させたのでしょう。だがどこから来たのかはわからない。」
ヤマトは悔しそうに言った。だがおやっさんはあることを思い出した。
「そういえば箱に珍しいカレシアの葉がついていた。この近くじゃ、イル平原にしかない。」
「イル平原・・・そうか!」
ヤマトはそれを聞いてすぐにアキバレーシングの店に戻ると、ホバーバイクにまたがって走っていった。
「おい、待てよ!」
ゴウとおやっさんがヤマトを追いかけて声を上げたが、すでに彼のホバーバイクは走り去っていた。
「おやっさん。どうします?」
「ううむ。奴が心配だ。ジョーカーが絡んでいるようだからな。儂たちも行こう。」
「ええ。今から行けば夜明けには着きます。」
おやっさんとゴウもホバーバイクに乗って、イル平原に向けて出発した。




