お届け物
アキバレーシングではシゲさんやジロウがアキバスペシャル2号にかかりきりになっていた。もうすぐ大きなレースがあるのにソウタはいない。だからマシーンをゴウに合わせる必要があった。だがいつもならマシーンの調整に余念がないおやっさんが、それを放り出してゴウと出かけている。ジロウが不安になってシゲさんに聞いた。
「おやっさんたち。どうしたんでしょう?」
「さあな。最近あの2人はやたら事件に首を突っ込みたがるよ。」
「間に合うんですかね?」
「俺とお前でやるしかない。」
シゲさんは黙々と作業を続けた。ジロウはため息をつきながらそれを手伝った。その時、小さな箱を持った男が店に入ってきた。
「お届け物です。」
「ありがとう。そこに置いておいて。」
男はテーブルの上に箱を置いてそそくさと帰っていった。それはあの雑貨店に届けられた箱と同じだった。2人はその箱を手に取ることもなく、マシーンの調整作業を続けた。箱はずっとテーブルの上に置かれたままになっていた。
夕刻になってやっとおやっさんとゴウが帰ってきた。彼らは爆発現場を回ってきたのだ。いずれの場所でもあの緑色の破片が落ちていた。それも学者に調べてもらったが、植物みたいなものとしかわからなかった。だが爆発物質の燃えカスが付着していることがわかった。それでおやっさんとゴウはこれが爆発物に関係するとか確信した。
「ただいま。」
「おやっさん。どこに行っていたんですか。ゴウも。」
「いや、すまん。すまん。ちょっと気になることがあってな。」
「もうすぐレースですよ。マシーンの大まかな調整はしましたが、後はゴウに合わせるための設定が残っていますよ。」
「わかった。明日にでもしよう。」
おやっさんはソファに腰を下ろした。するとあの小さな箱が目に入った。
「ジロウ。この箱は?」
「昼に届けてくれたんです。何でしょう?」
「受取人は・・・知らない人だな。ん? 」
箱を持ち上げると小さな葉が落ちてきた。箱にくっついてきたようだ。
「カレシアの葉か。珍しいな。そんな季節か。」
おやっさんはそう言いながら箱を開けた。すると中には緑色の塊があった。おやっさんがのぞき込みながら首を傾げた。
「何だ、こりゃ?」
「もしかしたらサボテンかもしれませんよ。遠い国では流行っているって。部屋のインテリアにおしゃれでいいにおいがするって。」
お茶を持ってきたロコが言った。だがおやっさんが鼻を近づけてかいでみたが、いいにおいはしない。その箱をテーブルの上に置いてロコに言った。
「変なにおいがするだけだけどな。」
「それよりマシーンのことで・・・」
シゲさんが仕事の話をしようとした。すると店の前で聞き覚えのあるホバーバイクの停まる音がした。
「ん? あの音はもしかして・・・」
「ソウタか!」
おやっさんとゴウは店の扉の方を見た。しばらく顔を見せなかったソウタが戻って来たのかと・・・。足音がして扉がぱっと開いた。そして人が入ってきた。




