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司令室

 ここはライムの町近くのジョーカーの基地。地下に作られて日が差さぬ暗い内部は、薄暗い電灯が陰鬱に照らしていた。その司令室には様々な機器の前にスレーバーが座り、指揮を執る幹部のサウロン伯爵のそばに1体の怪人が進み出ていた。それは目も鼻も口もはっきりしないが人型には作られており、緑色でごつごつした体に無数の棘が生えていた。ジョーカーがこの異世界での珍しい植物であるサボテンをモチーフにして完成させた怪人なのだ。

 2人は先ほどからずっと待っていた。彼らの前には大きな柱が立っており、そこには黒手掌の紋章が飾られていた。しばらくして紋章に2つの目が急に光った。


「ウィース!」


 サウロン伯爵をはじめ怪人やスレーバーが立ち上がって敬礼をする。すると地獄の底から響くような不気味な声が聞こえてきた。


「サボテン怪人よ。作戦はどうなっておる?」


 それは首領の声だった。この組織では絶対的な存在だが、誰もその姿を見たことがなく、多くの謎に包まれていた。その首領の問いにサウロン伯爵が敬礼して答えた。


「はっ! 試作品はすでに完成しております。サボテンに似せた緑色の円盤状の爆弾です。箱を開けると棘は生え、それに触れると爆発するようにしております。」

「そうか。どれほどの爆発力がある?」

「サボテン爆弾をあちこちにばらまいて反応を見ております。小さな爆弾1個で家一軒を吹っ飛ばせる威力があります。」

「うむ。それはすごい。」

「このサボテン爆弾を大量にライムの町にばらまきます。すると町のいたるところで爆発が起きて、住人はパニックになって必ず町が混乱します。その機に乗じて攻めれば簡単に侵略が可能です。」


 ジョーカーはライムの町に爆弾攻撃をかけようとしていたのだ。


「では成功を期待しておるぞ。」


 そこで黒手掌の目に光が消えた。首領からの通信が終わったのだ。サウロン伯爵はほっとして軽く息を吐くと、サボテン怪人に問うた。


「作戦開始はいつごろだ?」

「あと1週間ぐらいかと。現在、イル平原の工場で大量生産を行っています。1週間以内には想定数をそろえられると思います。」

「それは結構。首領もお喜びになるだろう。」


 サウロン伯爵は満足げにうなずいた。その時、スレーバーが司令室に急に入ってきてサボテン怪人に耳打ちした。


「なんだと!」


 サボテン怪人は思わず声を上げた。その様子を見ていたサウロン将軍が眉間にしわを寄せて尋ねた。


「どうかしたのか?」

「爆発現場を調べている者がいるようです。」

「何者だ?」

「どうもアキバレーシングという店の者だそうです。放っておいても問題ないかと。」

「いや、サボテン爆弾の秘密に近づこうとする者は抹殺せねばならぬ。爆発の原因を知られてはならぬ。」


 サウロン将軍が厳しい口調でそう言った。するとサボテン怪人は、


「わかりました。秘密裏に抹殺いたします。お任せを。」


 頭を下げて司令室を出て行った。



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