怪しい男
ライムの町では爆発事件が頻発していた。調査官が調べたが原因はよくわからず、事故として処理されていた。この異世界では魔法でも物でもふいに爆発するものがあるのだから・・・。
おやっさんとゴウは爆発した雑貨店の建っていた場所に来ていた。そこは爆発によって建物は吹っ飛ばされて、火災によって地面が焼き焦げていた。おやっさんがその現場を見るなりボソリと言った。
「ひどいな。」
「ええ。こんなに大きな被害が出ているなんて・・・。普通ではありえない。事故じゃありませんよ。」
「やはりジョーカーか。」
「そう思います。」
ゴウはその現場に入るとかがんで地面を調べ始めた。それを見て、おやっさんも同じように地面を見て回った。だが爆発物の残骸はなく、爆発魔法を使った後もない。ただ焦げた地面が広がるだけだった。
「おや、何しているんだ?」
ゴウやおやっさんは彼らの先で若い男を見た。その男はかがんで地面を調べ、右手に焦げた土をつかんで念入りに見ていた。彼もこの爆発事故を調べているようだが、調査官のようには見えない。
2人はその男のそばに行った。男はつまんだ土をじっと観察している。ゴウが尋ねた。
「何しているんだ?」
「何って? 爆発事故があった場所を見に来ただけさ。」
男は顔を上げてニヤリと笑った。その様子はおやっさんには何か怪しく感じた。
「その割には熱心だな。」
「そういうあんたたちはどうなんだ?」
逆にそう聞かれておやっさんは返事に窮した。ジョーカーのことを言っても信じてもらえないだろうし、それにこの男のことを何も知らないから、うかつなことは言えない。
「儂たちか? ちょっと見に来ただけだ。」
「何か見つかったかい?」
「いや、何も・・・」
すると男は立ち上がって言った。
「よく見なよ。おかしなものがあるぜ。」
そしてそのままふらりと歩いて行ってしまった。
「ちょっと待てよ!」
ゴウは追いかけようとしたが、おやっさんが止めた。
「ゴウ! ちょっと待て! これを見ろ!」
おやっさんは男がいた足元に何かを見つけて拾い上げた。それは緑色の小さな柔らかい破片だった。それは焦げた土の中に交じっていた。周りをよく見ればそれはあちこちにあった。ゴウもその中の一つを拾い上げてまじまじと見た。
「なんでしょう? 何かの植物でしょうか?」
「わからん。だが爆発と何か関係しているかもしれない。」
「ところであの男、何者でしょう? これに気付いていた。」
「ああ、何かを知っているようだった。また現れるかもしれない。とにかく今はこの緑色の破片だ。どこかで調べてもらうか。」
おやっさんはそう言ってその緑色の破片をポケットに入れた。そしてアキバレーシングの店に戻っていった。
その様子を遠くから覆面をした怪しい男が見ていた。その男は店に戻る2人のあとをじっとつけて行った。




