握手
俺はティラノ怪人と組み合い、押しつ押されつの力比べをしていた。奴は、
「グオゥグオゥグオゥー!」
と吠えながら押してくる。力だけの勝負なら五分と五分。だが俺にはラインマスクの技が頭に詰まっている。
ぱっと体を捻り、ティラノ怪人の横についた。すると奴はどうしようもなく前に突っ込み、俺は奴の背後に回り込むことができた。そうなればこっちのものだ。俺は奴を思いっきり空に投げ上げた。巨体が空を舞う。だがまだ高さが足りない。
「トォーッ!」
俺はジャンプして空中で奴を捕まえてさらに投げ上げた。すると十分な高さまで到達しようとしていた。俺はそのまま落下している。
「トォーッ!」
俺は着地すると、反動をつけてまた飛び上がった。そして奴を上空でがっちりつかまえた。そうなればあの技だ。
「ラインスローシュート!」
俺は奴を地面に向かって投げおろした。奴は吠えながら真っ逆さまに落下していく。そして、
「バーン!」
と地上に激突して大きな穴を受けた。かなりの衝撃だがまだ奴は立ち上がろうとしていた。タフな奴だ。俺は空中で態勢を整え、ドリル状に回転した。そして奴に向かって必殺の
「回転ドリルラインキック!」
を放った。それは風を巻き込みながらティラノ怪人の胴を直撃した。この技は通常のラインキックより破壊力が強い。ティラノ怪人の強靭な体にぶつかってその衝撃はすさまじく、爆発が起こった。俺は爆風に飛ばされてしまったが、なんとか空中で態勢を整えて着地した。
一方、ティラノ怪人の胴はその爆発で大きな穴が開き、火花が飛んでいた。
「グオゥグオゥグオゥー!」
奴は声を上げてそのまま倒れた。「ドッカーン!」と大爆発が起こって砂煙が上がり、やがて静かに消えていった。
「強敵だった。ティラノ怪人・・・」
俺はやっとほっと息をついた。TVのラインマスクもこうした強敵とぶつかることがある。それに再生怪人たちの登場・・・通常ならクールの終了で新たな展開が次回から起こるという。
(やはり俺は北ナショナ地方へ行くべきか。新たな場所で活躍するために・・・)
俺はそう思わざるを得なかった。
「1号!」
そう呼びながら2号が駆け寄ってきた。
「見事な戦いだった。」
「いや、2号こそ。君は一人前のラインマスクだ。」
俺たちはがっしりと握手した。そして俺は2号に言った。
「俺は行かねばならない。ライムの町のことを頼みたい。」
「ああ、いいとも。任せておけ!」
こうして俺は後顧の憂いなく出発できそうだ。俺の頭の中ではあのナレーションが響き渡る。
(・・・装いも新たにラインマスクが活躍する。悪のジョーカーの野望をくじくのだ。行け! ラインマスク!)
俺は知らなかったが、戦いが終わり、去っていくホバーバイクの音を駆けつけてきたおやっさんとゴウが耳にしていた。声をかけようとしていたが、もう姿がみえなくなっていた。
「おやっさん。あれはソウタのホバーバイクの音ですよ!」
「ああ、そうだな。ここに来ているということは・・・」
「多分、ラインマスクが魔法力生成所の危機を救ってくれたでしょう。」
「そうか。それはよかった。」
ジョーカーの魔法力生成所襲撃を心配していた彼らだが、これで安心してライムの町に帰れそうだ。だがジョーカーはライムの町を狙っている。2人にはこれからも危機が迫ろうとしていた。




