あの青年
「待て! 俺も戦うぞ!」
丘の上に響き渡った声があった。それはあの青年だった。俺がアール山の基地から助け出し、ラインマスク2号に変身できた男だ。彼はすぐに変身ポーズをとった。相変わらず左右逆だが・・・。
「へーんしん! トオオオォー!」
彼はジャンプして空中でラインマスク2号に変身した。
「俺は正義の味方。ラインマスク見参!」
力強い姿は様になっている。彼がいれば百人力だ。再生怪人に攻撃を加えながら俺のそばに来た。
「こいつらは引き受けた。1号はあの新怪人を。」
「わかった。」
1号と呼ばれたことはスルーした。本来なら俺は「ラインマスク」であり「1号」ではないのだが、2号ができたからには仕方がない。それよりあの強力なティラノ怪人を何とかしなければならない。ここを2号に任せて、俺はティラノ怪人の方に向かった。
ティラノ怪人は魔法力生成所を破壊しようと手を伸ばしている。俺は背後から奴の尻尾を抱えた。このまま空中に放り投げようとしたのだ。だが・・・。
「バーン!」
その尻尾が暴れて、俺は跳ね飛ばされた。奴の尻尾が強力な武器だということを忘れていた。俺はなんとか立ち上がった。
(ティラノ怪人はかなりの強敵だ! ここは必殺技で決める!)
俺はそう思って「トォーッ!」と大きくジャンプした。ティラノ怪人は巨体だから動きが鈍いはず・・・だから確実に決められると思った。空中で態勢を整えて一回転すると、
「ラインキック!」
を放った。それはティラノ怪人をとらえた。だが・・・
「バーン!」
と跳ね返されてしまった。奴は攻撃力も強いが防御力も相当に強化されていたのだ。俺はまた吹っ飛ばされて地面に叩きつけられた。今度はかなりのダメージですぐに立ち上がれない。
そこにティラノ怪人が駆け寄ってきた。頭を低くして巨大な体を震わせ、尻尾を振り回して足音を響かせている。体当たりをかまそうとしている。俺は何とか立ち上がったものの、身構える前に奴の体当たりを食らってしまった。
「ドーン!」
俺は吹っ飛ばされて地面に叩きつけられた。打撃力がぐっと下がり、防御する力がゼロ近くなる。なんとか魔法力を変換して立て直そうとした。
その間にも奴はまた2度目の体当たりに移った。このままではまた吹っ飛ばされてしまう。次にやられたら打撃力は完全にゼロになって戦闘不能、いややられてしまうかもしれない。俺は無理やりでも立ち上がり、身を低くして構えた。
「フルパワー!」
俺は奴の体当たりを全力で受け止めようと全身に残ったパワーを回した。
「バーン!」
辺りに大きな音が響き渡った。俺は押されたものの何とか奴を受け止めていた。奴はさらにギシギシと押してくるが、俺は踏ん張ってこらえた。




