守備隊
魔法力生成所の建つ丘は不気味に静まり返っていた。やがて正午になり、2つの太陽が頭の上に来た。ちょうどその時、急に風が吹き、辺りが騒がしくなった。それと同時に魔法力生成所の前にジョーカーの怪人が現れた。一体、また一体と・・・10体。そして最後にあのティラノ怪人が姿を現した。そして魔法力生成所の方に向かって行った。
こんな真昼間に襲撃してきたので、守備隊にはすぐに発見された。そしてそれに対処しようとして剣士や魔法使いが怪人たちの前に出てきた。
「止まれ! ここを通すわけにはいかん!」
「ふふふ。貴様らごときで何ができる!」
「なんだと! 我が守備隊の力を思い知れ!」
まず魔法使いが火の矢や雷を落とした。辺りを炎が包み、まぶしいばかりの火花が飛んで煙が立ち込めた。これでかなりの怪人が倒せたはずだと守備隊の者たちは思った。だが煙が晴れてみると怪人たちは何事もないように立っていた。その程度の攻撃にはびくともしない。いつもとは違う様子にリーダーの剣士は驚いた。だがそれにひるむような者ではない。
「今までの奴らとは違うようだ。心してかかれ!」
と大声を上げた。百戦錬磨の剣士たちは怪人に剣を振り上げて向かって行った。それぞれの剣がうなりを上げるが、それは怪人によって受け止められた。スレーバーとは違うのである。剣士たちはさらに斬りつけるが、怪人たちは平気な顔をして逆襲してきた。剣は叩き折られ、剣士たちは次々に倒されていった。守備隊にとっては全く予想外の展開だった。
「一旦、退け!」
形勢不利と見たリーダーが守備隊を後退させた。だが完全に敗れたわけではない。
(あの結界は絶対に破れはしない。奴らがそこで戸惑っているうちに態勢を整えて反撃する!)
リーダーはそう思っていた。負傷者は多いが、まだ戦えるだけの人数はいた。
一方、ティラノ怪人は10体の怪人を前にして悠々と結界の方に進んでいた。その迫力はすべてを圧倒するほどだった。やがて結界にぶつかった。他の怪人たちがしきりに攻撃するが結界はびくともしない。
ティラノ怪人が結界の前に来た。他の怪人はこれから生じる衝撃の巻き添えになるまいと少し離れた。ティラノ怪人は
「グオゥ!」
とひと吠えして大きく体を捻った。するとその巨大な尻尾が結界を痛撃した。火花が飛び、いきなり結界に亀裂が走った。それからティラノ怪人は何度も何度も尻尾を結界にぶつけた。すると結界は破裂するかのとうに粉々に砕け、飛び散っていった。結界は完全に破られたのだ。
ティラノ怪人は誇らしげに
「グオゥグオゥグオゥー!」
雄叫びを上げた。
「そんな馬鹿な!」
守備隊の剣士や魔法使いは唖然としていた。しかしこうなっては魔法力生成所は丸裸同然である。なんとか守らなければライムの町は危ない。
「命に代えても魔法力生成所を守るんだ!」
リーダーの剣士が大声を上げて、守備隊は再び怪人軍団に挑んでいった。だがそれは無謀な試みだった。剣士も魔法使いも次々に怪人によって倒されていく。辺りは阿鼻叫喚の光景が広がっていた。そしてその中をティラノ怪人が魔法力生成所に迫ろうとしていた。




