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ジョーカーの情報

 俺は占領したアール山の基地に戻っていた。勇者ノブヒコがそこで何かを発見したらしく、呼び戻されたのだ。ホバーバイクを降り、早速、基地に入ってその司令室に行った。そこにはミキとアリシアがいた。


「どうしたんだ?」

「ジョーカーの重要な機密文書を発見することができた。これを見てくれ!」


 勇者ノブヒコはモニタを指さした。そこにはジョーカーのこれからの作戦についてまとめられていた。


「奴ら、とんでもないことをしようとしているわ!」


 ミキがその一番上を指さした。そこには「北ナショナ地方制圧作戦」と記されていた。俺はその作戦内容を読んでみた。確かに大掛かりで恐るべき作戦だ。もしこれが成功してしまうとこの異世界は壊滅してしまうかもしれない。


「これは止めなければならない。」


 勇者ノブヒコが言った。俺も同感だった。北ナショナ地方はここからかなり遠い。ホバーバイクで飛ばしても数日はかかるだろう。それにそのジョーカーの作戦を阻止するにはかなりの長期間、そこに滞在しなければならない。そうなるとライムの町としばらくお別れになる。もちろんおやっさんやアキバレーシングの皆ともだ。そう思うと少ししんみりしてきた。

 だが俺は気になることをそのモニタ画面で見た。


(ライムの町が狙われている・・・)


 あの平穏なライムの町をジョーカーが悪の手を伸ばそうとしていたのだ。これまでもそういったことはあったがそれは付随的にそうなっただけで、今後は本格的に町を侵略しようというのだ。

 だが勇者ノブヒコたちは「北ナショナ地方制圧作戦」の方が気になっている。大きいとはいえ町一つと北ナショナ地方では作戦規模が比べ物にならない。勇者ノブヒコは皆の顔を見渡して厳かに言った。


「北ナショナ地方を守れなければ。これは我らの使命だ。」

「そうね。私たちが立ち上がらないといけないわ!」

「私もそう思う。すぐに向かいましょう!」


 アリシアとミキも賛成する。だが俺は・・・ライムの町を放っておいて行くことはできない。


「ソウタはどうなんだ? もちろんこれほどのジョーカーの作戦だ。阻止に動くだろう?」


 勇者ノブヒコにそう聞かれたが、「行かない」とも言えない。せめてもう少し出発を延ばせないものか・・・。


「ええと・・・」


 と考えていると、そばで寝ているペロが目に入った。


(そうだ。ペロはまだ回復していない。それを理由に・・・)


 俺はとっさにそう考えて返事した。


「もちろんだ。しかしペロがまだ動けない。ペロもパーティーの大事な一員だ。置いていくわけにはいかないだろう。だから・・・」

「そうだった。忘れていた。」


 勇者ノブヒコは頭をかいていた。これで出発を引き延ばせると思った。しかしアリシアが言った。


「ああ、ペロならもう大丈夫よ。明後日には元気になれるわ。ねえ、ペロ!」

「ギャン! ギャン!」


 ペロは尻尾を振って答えた。確かにもう大丈夫なようだ。


「よし! 決まった! 明後日に出発!」


 勇者ノブヒコは皆にそう言った。俺はそれ以上、何も言えなかった。ただライムの町が気がかりだった。


 俺は基地のジョーカーの情報からライムの町に関するものを抜き出した。もし今、ライムの町に危機が迫っていたら・・・と心配していたのだ。極秘事項も含まれているために暗号化されている部分もあるのでジョーカーの情報はわかりにくい。だが俺の心配が当たっていた。サウロン伯爵がライムの町の攻略の第1歩として魔法力生成所の破壊をもくろんでいることがわかった。

 魔法力生成所が壊滅すればライムの町を守る結界は消え、あらゆる外敵が侵入してくる。魔獣や魔物、いやジョーカーが真っ先に襲ってくるだろう。そうなればライムの町は壊滅し、人々はジョーカーの奴隷になってしまうだろう。俺はいてもたってもいられなくなった。


「ちょっと行ってくる!」


 俺は急に立ち上がってそばにいたミキに告げた。


「どこに行くのよ! 明後日にはここを出発するのよ!」

「ライムの町だ! 危険が迫っている!」


 俺は飛び出してホバーバイクに飛び乗ると走り出した。


「ソウタ! ソウタ!」


 ミキが追いかけて呼び止めていたが、そんな声は俺の耳に届かなかった。とにかく今はライムの町を救うため、魔法力生成所に向かわねばならない。


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