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襲撃事件

 暗い夜だった。そこはライムの町の近くの施設だった。そこに近づくいくつもの人影があった。彼らは草原をかけ分けて、そこに侵入しようとしていた。


「ビーッ」


 先頭の人影が見えない壁にぶつかって跳ね返された。そこには強力な結界が張られていたのだ。だが彼らは慌てようとしない。持ってきていた爆弾を仕掛けて爆破した。


「ドーン!」


 爆発音がして煙が上がった。これで結界を吹っ飛ばすつもりだった。だが煙が晴れてみたが、結界は無事だった。だが彼らは懲りない。持ってきた様々な装置で結界にビームを当てたり、電撃を加えたり、砲弾をぶつけたりした。だが結界は破れる様子はない。

 その騒ぎにようやく守備隊が現れた。魔法使いや剣士など戦闘に長けた集団だ。魔法使いが辺りを明るくする魔法を使うとその襲撃者があらわになった。それはスレーバーだった。これはジョーカーによる襲撃だったのだ。

 スレーバーはすぐに守備隊に襲い掛かったが、敵うはずもなかった。すべてが倒され、装置のみがそこに残された。ジョーカーの作戦は失敗したのだった。

 だが遠くからその様子を見ていた人影がもう一つあった。


「失敗したか。しかしデータは取れた。後はあの結界を破ることのできる怪人を作るだけだ。それにあの強力な守備隊・・・奴らを排除しなければ・・・」


 そう呟くのはジョーカーの幹部、サウロン伯爵だった。


 ◇


 アキバレーシングではおやっさんが鼻眼鏡をかけて新聞を読んでいた。それは朝の定番の光景だった。そこにロコが熱いコーヒーを運んでくる。


「う~ん。」


 おやっさんが新聞の記事を読んで難しい顔で唸っていた。ロコが気になって尋ねた。


「どうしたのですか?」

「昨日、このライムの町の魔法力生成所が何者かに襲われたそうだ。魔法力を盗もうとしたのだろう。幸い、被害はなかったようだが。」

「魔法力生成所?」


 聞きなれない言葉にロコが首を傾げた。


「知らないのか? このライムの町で使う魔法力を大地から集めているところだ。」

「どこにあるのですか?」

「この町の隣にある。いや、それがあったからこのライムの町ができたというべきか。毎日、膨大な量の魔法力が生み出されている。それがこの町の結界や施設を動かす原動力になっているんだ。」

「へえ~。」


 ロコは感心して聞いていた。そこにゴウが飛び込むように入ってきた。彼はすでにこのアキバレーシングの一員となっていた。


「おやっさん! 聞きましたか? 魔法力生成所のことを!」

「ああ、新聞で読んだところだ。大変な事件らしいな。 魔法力泥棒とは。」

「ええ。でもそんな単純ではないのです。ジョーカーが絡んでいるかもしれないのです!」

「なんだって! ジョーカーが!」


 おやっさんは驚いて眼鏡をはずした。


「これは極秘事項になっていますが、魔法力生成所の警備、防御態勢は極めて厚くなっています。周囲には強力な結界が張られ、腕利きの剣士や魔法使いが守備隊を編成してここに常駐して警備にあたっています。ちっとやそっとで侵入することはできません。」

「そんなになっているのか。」

「ええ。もしここが破壊されたらライムの町の結界は消え、外からの攻撃に無防備状態になります。それに町の機能も失われます。だからここまでの体制が敷かれているのです。」


 ゴウはこの世界を守るエフビーアの一員なのでそんなことも知っていた。


「やつらはどうしてそんなことを? そんなに魔法力が必要なのか?」

「いえ、もしかしたら・・・ジョーカーの狙いはこの町、このライムの町の占領にあるのかもしれません。」


 そのゴウの言葉は衝撃的だった。いよいよジョーカーが本格的にこの町の攻略に乗り出してきたかもしれないと・・・。


「それに各地でジョーカーの動きが活発になっています。仲間からの情報では多くの怪人を作り出されているとか。多分、また襲うつもりです。多くの怪人たちで。」

「まずいな。そうなったら守備隊でも守り切れないかもしれない。なんとかして魔法力生成所を守らないと。」

「今のところ、結界を破ることはできないようです。しかしジョーカーのことだから油断はできません。」

「ソウタがいてくれたらいいが・・・あいつはまだ戻ってこないのか・・・」


 おやっさんとゴウはため息をついていた。


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