一員
しばらくして気を失っていたおやっさんが目を覚ました。起きた途端、いきなり、
「ジョーカーは? 怪人は?」
と大声を上げた。夢の中でもジョーカーと戦っていたのかもしれない。それを見てゴウが笑いながら言った。
「もう終わりましたよ。おやっさん。ラインマスクが助けに来てくれて怪人を倒しました。もう大丈夫です。助け出した人たちももう無事に村にたどり着いたでしょう。」
「そうか。来てくれたのか・・・。そういえばどこに行った? ラインマスクは?」
おやっさんが辺りを見渡した。だがそこにはもういない。ゴウが説明した。
「アール山に戻って行きました。なんでもジョーカーの重要な情報が出たということで。ソウタは『すいませんが、しばらく留守にします。』と伝えてくれと言っていました。」
「そうか・・・。」
おやっさんは複雑な気持ちだったのだろう。助けられたのはいいが、あのレースの日以来、俺と会って話すことはなかったのだから・・・おやっさんはやはりいい人だ。こんな時でも俺のことを気にかけて心配してくれている。
「ソウタが来てくれたのか・・・」
そこまで言っておやっさんははっと気づいた。
「お前! ソウタがラインマスクであることを・・・」
「とっくに知っていますよ。おやっさん。いやだなあ。ははは。」
ゴウは笑った。おやっさんは「はあ。」とため息をついて立ち上がった。
「まあ。帰るとするか。ゴウはどうするんだ?」」
「一緒に帰りますよ。おやっさん。鉱山は仲間がジョーカーから取り戻します。連絡がつきましたから。助けた人も仲間に村で保護されているでしょう。」
「そうか。それはよかった。」
2人は村に向かって草原を歩き出した。その途中、厳しい顔をしていたおやっさんが急に何かを思い出したのか、「ははは」と笑い始めた。ゴウが不思議に思って尋ねた。
「急にどうしたんです?」
「いや、ちょっと気づいてな・・・」
「何をです?」
「ゴウが儂のことを『おやっさん』と呼んでくれたことだ。前は『おやじ』とか、呼んでいたのにな。」
「あっ!そう言えば・・・」
「これでゴウもアキバレーシングチームの一員になったのかと思ってな。ははは。」
「当然ですよ。本当におやっさんのチームに入ったのですから。ははは。」
2人は笑いながら歩いていた。彼らを照らす朝日は明るくまぶしかった。
だが俺が不在のライムの町で事件は起ころうとしていた。ジョーカーの魔の手はライムの町に伸びようとしていた。それは後になってわかることだった。




