脱出
おやっさんとゴウは大部屋のカギを開けた。そっとドアを開けると外にはスレーバーが見張っている。ゴウは後ろから襲い、声を立てさせずにスレーバーを倒した。そして中に引き込むと廊下を観察した。そこにスレーバーの姿はない。ゴウが振り返っておやっさんに合図した。
「みんな、逃げるぞ!」
おやっさんはとらえられている人たちに声をかけた。それで何とか彼らは立ち上がった。音を立てないように人たちを連れて廊下に出た。まだ気づかれていない。だがこの先には巡回するスレーバーがいるからすぐに見つかってしまう。
ゴウを先頭にして音を立てないように廊下を進み、いきなりさっきの筒を床に投げた。するとそこから煙が湧いて、すぐに辺りを白くして視界を奪った。
「行くぞ! はぐれるな!」
彼らは廊下から資料室に入った。ここから外に脱出するのだ。外の廊下は火災と思ったスレーバーたちが右往左往して混乱している。窓から外を見ると、入り口の見張り以外スレーバーの姿はない。そのスレーバーも中の様子に気を取られている。
「急げ!」
ゴウは次々にその窓から人々を外に出していった。そして暗い中をひと固まりになって走り、壊れた塀を越えた。そこはもう鉱山の外だ。だがここからサング山を下りて行かねばならない。ゆっくりしていると逃げたことに気付いたスレーバーが追ってくるだろう。
懸命に山道を下っていき、やっとふもとまでたどり着いた。そこには草原が広がっていた。そこでやっと歩みを止めた。ここまでくれば大丈夫だろうと・・・。全員がしゃがみこみ、ひどく荒い息をしている。ここを抜ければ村があり、救援隊を呼べる。夜は明けて朝日が昇ってきて辺りが明るくなっていた。
「もう少しだ! がんばれ!」
おやっさんが声をかけて、皆が立ち上がろうとした。だがその時、周囲から多くの足音が聞こえた。それは辺りに不気味にこだました。ゴウの顔に緊張が走った。
「逃がしはせぬ!」
正面に現れたのはあの怪人だった。蕾の頭は少し開きかけている。逃げようと周囲を見渡してみると、すでにスレーバーに囲まれていた。人々は恐怖に顔を引きつらせている。
「皆殺しにしてやる! スレーバーども! 行け!」
怪人の命令にスレーバーが駆け寄ってきた。ゴウが一人で立ち向かうが多勢に無勢、すぐに打ちのめされて倒れた。怪人はニヤリと笑った。
「貴様は俺様がとどめを刺してやる!」
怪人がゆっくりとゴウに近づいていった。
「やめろ!」
おやっさんが無謀にも怪人に立ち向かっていった。だがすぐに片手ではねのけられて地面に転がった。その衝撃で気を失っている。
「おやっさん!」
ゴウは声を上げた。そして彼は力を振り絞って何とか立ち上がろうとしていた。
「お前なんかにやられるものか!」
だがダメージを受けてゴウは立ち上がれず、地面をのたうち回るだけだった。
「死ね!」
怪人が大きくその腕を振り上げた。渾身のパンチでゴウの体をつぶすために・・・
だがその時、「ブロロロー!」というエンジン音が空から鳴り響いてきた。怪人が空を見上げるとそこにあの者の姿があった。




