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エフビーア

 おやっさんとゴウは縛られて大部屋に入れられた。そこには鉱山の人たちがいた。朝から晩まで休憩なしに働かされて、食事も十分に与えられずに皆かなり消耗してぐったりしていた。


「ひどい奴らだ!こんなことをするなんて・・・」

「さっきは失敗したが、今度こそなんとかしなくては・・・」


 ゴウは何かごそごそしていた。すると縄がほどけた。その手には小さなナイフを持っていた。今度はそれでおやっさんの縄を切った。


「用意がいいな。」

「こんなこと、しょっちゅうだからな。さてと・・・」


 ゴウは靴の底を探り、そこから小さな装置を取り出した。


「なんだ?」

「通信機さ。仲間に通じればいいのだが・・・」

「仲間?」


 ゴウはその装置を動かしていたが仲間とは連絡がつかないようだった。


「だめだ。遠すぎて通じない。」

「ゴウ。お前、仲間がいるのか? 一体、お前は何者なんだ?」


 おやっさんが尋ねた。今までの行動からゴウがただのホバーバイクのレーサには思えない。ゴウは辺りを見渡し、真剣な顔をして潜めた声で言った。その様子はまるで別人だ。


「秘密にしてください。俺はエフビーアです。」

「なんだって! エフビーアだって!」


 おやっさんはその言葉を聞いたことがあった。この世界の平和と秩序を守るため、密かに活動しているグループがあると。それがエフビーアだった。その実態も構成員も一切不明。噂では世界の至るところに潜入して目を光らせているという。


「お前が? 本当にお前が?」

「ええ、本当です。我々は秘密裏にジョーカーを追っています。もちろんソウタが奴らと戦っているのも知っています。彼にはアール山の基地を叩くように情報を与えました。」

「そうか。そうだったのか。それで・・・」


 おやっさんは思い返してみると、確かにそれで辻褄が合う。


「この鉱山もジョーカーの手が伸びていると目をつけていました。」


 そこまで言ってゴウはいつもの様子に戻った。


「鉱山を探ろうとここに来たのさ。そうしたらおやじもいたから驚いたぜ。」

「まあ、そうか。それよりも今度こそ、みんなを助けないとな。」

「そう思って今回はこれを使うのさ。」


 ゴウは懐から隠し持っていた筒を取り出した。


「なんだ? それは?」

「まあ、そのうちにわかる。まずはドアのかぎを開けないと。」


 ゴウはまた懐から針金を出した。そしてドアのカギ穴に差し込んで「カチャカチャ」し始めた。


 ◇


 アール山のジョーカーの基地にペロがグレートウルフの姿となって猛スピードで駆けてきたのだ。その様子から尋常ではないことが起きたのは明白だった。俺はすぐに基地の外に出た。

 ペロは臭いで俺たちの居場所がすぐにわかったようだ。すぐに駆けつけてきた。


「どうしたんだ? ペロ!」


 俺はペロに言った。だがペロは話すことはできない。俺を見てもどかしい様子だったが、後から出てきたアリシアをじっと見つめた。するとアリシアはそこに倒れた。どうもアリシアを操って話をするようだ。勇者ノブヒコとミキも外に出てきた。

 アリシアはうつろな目で立ち上がった。


「おやっさんが危ない。」

「おやっさんが! 一体何があった?」

「実は・・・」


 ペロの操られたアリシアが話し始めた。サング山の鉱山をジョーカーが占拠していること。そこにとらわれた人を救おうとしたおやっさんともう一人の男が捕らえられたこと。おやっさんが助けを求めていることなど・・・。それだけ言って疲れたのか、ペロは元の姿になってゴロンと寝てしまった。同時にアリシアも倒れた。


「行くのよ! ラインマスク!」

「スタースクリームで飛ばせば何とかなる! 急げ!」


 ミキと勇者ノブヒコがそう言ってくれた。


「わかった! 後を頼む!」


 俺は駆けていき、「トォーッ!」とジャンプしてスタースクリームにまたがった。そして猛スピードでサング山に向かった。ラインベルトで強い風を受ければみるみる魔法力(マジックポイント)は回復する。パワーはもう十分だ。そこでスターストリームを引き起こして大きくジャンプする。そのまま空中を飛べばさらにスピードが上がっていく。


「おやっさん! すぐに行きます! 間に合ってくれ!」


 俺は祈るような気持だった。


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