捕まる
どれくらい時間が経ったのだろうか、俺は意識を取り戻した。牢に入れられ、体を縛られている。なんとか逃げ出そうとするが力が出ない。魔法力も回復していないから変身もできない。切羽詰まった状況だった。
俺が何とか縄から抜け出そうと体をモゾモゾさせていると、カマキリ怪人がやって来た。俺を捕まえることができてすこぶる上機嫌だ。
「ふふふ。いいざまだな。」
「何を! この牢を抜け出してお前を倒す!」
俺が大声を上げると、カマキリ怪人がニヤリと笑いながら言った。
「ふふふ。威勢ばかりはいいな。俺様が貴様をあの世に送ってやる!」
どうも俺は処刑されるらしい。TVのラインマスクなら「再改造」などと言い出して隙が生まれ、逃げ出すチャンスが出てくるのだが・・・。しかしそれならすぐに殺さなかったのか・・・もったいぶっているのか、それとも奴なりの意図があるのか・・・。
「じゃあ、さっさと殺したらいいだろう!」
俺は開き直って強がりを言ってみた。これで奴の真意が探れるかもしれない。本当ならどうにもならない状況に弱音の一つでも吐きたいのだが、ヒーローとしてはそんなことはできない。すると奴はいい気になって話し始めた。
「ふふふ。せっかくだ。道連れは多い方がいいからな。」
「なに!」
「改造した男には逃げられたし、牢にいた人間もお前の仲間に連れていかれた。この屈辱を晴らさねばならない。」
「何をするつもりだ!」
「『明日、昼の12時、この山の頂上でラインマスクの死刑を執行する』と、この山全体に聞こえるような大音量でスピーカーから流した。きっと仲間が助けに来るだろう。そこを一網打尽にしてやる! すでに多くのスレーバーを配置している。」
多分、ミキは助けに来るだろう。もしかすると勇者ノブヒコやアリシアが後からきて合流しているかもしれない。このカマキリ怪人は周到な罠を仕掛けているはず。このままでは彼らが危険だ。せめて俺が変身出来ればいいのだが・・・。
「ふふふ。貴様の魔法力はもはやない。ラインマスクには変身できない。ふふふ。」
奴はすべて見通している。テレパシーで仲間にメッセージを送ろうとするがこれも妨害されている。俺は仲間が殺されるのを見るしかないのか・・・。
ヒーローをおびき寄せるために人質を取るのは悪の組織の常套手段だが、まさか俺がその人質になるとは思わなかった。みじめな気分だし、負い目を感じてしまう。自分で体験して初めて分かった・・・と思っている場合ではなかった。(何とかしなければ・・・)と気ばかりが焦っていた。
だがこの死刑執行のわなを仕掛けることが奴の命取りになるに決まっている。このような場合、一発逆転でヒーローが勝つに決まっている。TVでは・・・。しかし本当に打開策があるのだろうか?




