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夢を見ない夢追い人  作者: ざきみや
1章 テオ・アベル
6/7

6話 旅立

気づけば這いつくばっていた。


「くっそ」


完璧だった間合いに下手な1歩の甘い踏み込み。

そのひとつのミスが、否、そのひとつのミスで剣聖には充分であった。


「勝者ダグラス・ハーベルト」


周りから見たら普通の決勝戦以上の戦いであり、凄い見世物であった。しかしこの戦いには意味があった。意義があった。


「所詮その程度だ。貴族のバッジは貰っていく」


そう言うとアベルの胸に飾られた貴族のバッジを乱暴に取り、その場を去っていく。それを見送ったアベルも立ち上がろうとするが足に力が入らない。すとん、と尻もちを着いてしまう。そんな様子を見兼ねたのか、観客席から声が投げかけられる。


「アベル。ーー私待ってるから」


そう言った彼女、クレアもそれだけを言い残しその場を去っていく。1度だけでなく、2度敗北した。ただ、もう一度叶うなら、もう一度だけ挑みたい。


ーー落ち込んでる暇はない。


天を見上げ、大きく深呼吸する。そして力を込め、立ち上がる。まだ諦めたわけじゃない、諦めさせられたわけじゃない。諦めが悪い俺だから。もう一度、今一度。




△▼△▼△



「なぁ、ルイス。俺は旅に出るよ」


「あてはあるのかい、相棒くんよ」


正直ない。けど貴族のバッジを失った以上、どちらにしろ実家には帰れない。


「とりあえず3ヶ月後だ。3ヶ月後にあいつらの結婚式が行われる。それに乗り込む」


「僕もついてくよ。アベル一人じゃ心配だ」


「いやそこまでしなくてもーー」


「僕は君の相棒だ。相棒がそばにいて不満かい?」


なんていい友達、否、相棒を持ったのだろうか。こいつには救われてばかりである。


「そばに居てくれや相棒」


落ち込んでる暇はない。こうしてる間にも時間はすぎ、3ヶ月という期限が迫ってくる。


「はい、よろこんで!とりあえず寄り道でもしながらスコット王国の王都に向かおう。王族と剣聖の結婚式だ。きっとそこの王城で行われると僕は思うよ」


「わかった。行こう」


そして3日後。イクサナシ王国の学園を卒業したアベルとルイスは旅立った。

お読みいただきありがとうございます。

短時間で読みやすいよう、1話1000文字程度を目安に作成しております。この先もご愛読いただけると幸いです。

もしよろしければ感想や評価、いいね等をしていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

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