表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

あなたとであったひ

あたしが初めてあなたと出会ったのは一年以上前。


薄暗い店内であたしは笑顔を振りまく。


バイトで始めたラウンジの仕事はあたしに以外と合っていて。

もう、半年は勤めている。


お酒好きだし、年上好きするあたしの容姿と雰囲気。

今時、夜の世界で珍しい黒髪。

今までの恋愛で培ってきた、媚び。

お客さんいわく、若いくせに色気があるらしい。

手でも握って、目を見つめてあげただけでデレデレするんだから、男ってばか。

ごめんね、名前わかんない。

興味ないし。

心は冷笑だけど、誰も気付かない。


本当にあの頃のあたしは、殴り倒くなる位嫌な女だった。

なんのプライドもなかった。

ただお金が欲しかった。


「あやちゃん」

チィママに呼ばれてあたしは、カウンターのお客さんから視線を外した。

「ボックス二番ね。」

チラリとボックスを見ると、ママがついてる。

みたことないお客さん。

知らないお客さん、嫌だな。

なんか若そうだし。

年齢層が高いこのお店では、30代は若い部類になってしまう。

あたしは厨房で一本煙草を吸ってため息をついた。

少し疲れた顔にファンデを叩きこんで、口紅を塗り直す。

それから笑顔を作って、あたしはフロアに出る。

「初めまして-」

ママがお客さんの右側に座っていたから左に座る。

赤霧島か。

チラリとボトルを確認する。

焼酎にしては高いの飲んでるんだな。

「メット、新人のあやちゃん」

メットが名前?あだな?

クエスチョンを押しのけてあたしは笑う。

ネックにはメット中田と書いてある。

多分、社名かな?

「あやです。よろしくお願いしま-す」

ぁ、顔タイプ。

それだけ思ったのを覚えてる。


あたしはお店で誰かを好きになることはないと思ってた。

どんなにタイプでも、あたしは恋には落ちない。

だって、お客さんだから。

面倒はごめんだし。


それが、出会いだった。


あたしはあのお店では殆どメットにつくことはなかった。

最初に挨拶をしただけ。

何か喋ったかも知れないけど、もう覚えていない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ