過去と弟
ーーー
どこだここ。教室?いや、、自室(桜の部屋)だ。
「ねぇ」
「,,,」
「ねぇ、、」
「,,,」
「ねぇってば、、ねぇ、、」
誰だ?この子、、
「ねぇ、、ねぇ!!!」
何?どうしたの?
場所が変わった、、?ここは、、公園?
この子は、もしかして、桜田勝くん?どうしたの、、?
「可哀想ですよ、あいつのこと無視しないであげてください」
何の話?あいつ?誰のこと?というかどうして声が出ないの?
「あの、、なんで無視するんすか?僕とは話してくれるのに、あいつには、、なんでですか。」
「話して何になるわけ?」
?!、わたしっ、こえ、、
「だって!実の弟っすよ!!唯一の血縁じゃないっすか!」
「血が繋がってるから何?」
「だって、、可哀想っすよ、、あいつが!!」
弟。私の弟?この子が本当に桜田勝くんだとしたら、、どうして名前を呼ばないの?いつも弟と勝くんは下の名前で呼んでた。その光景を何度も見たことがある
実は、弟を見た事ないのは嘘。
でも、、正直私は弟の名前が分からない。
と言うか、唯一の血縁??両親は??
「可哀想だから何。2歳年下なだけ、甘えすぎ。」
厳しい言葉だ。これ、、私なのかな??
「だって、、血縁の両親はおらずで、唯一の血縁の姉がこんな冷たい態度の人だなんて!!こいつ報われませんよ!目の前にいて、手の届く範囲にいるのに!!」
「だから?」
勝手に口が動く。ごめんね、勝くん。弟。
「姉ちゃん、、なんで俺を無視するの?」
また、場所が変わった、ここは、、家?リビングか、、
「,,,」
弟の前では何故か言葉は出なかった。いや、勝くんの前でも私が思ってることは出なかった。
「姉ちゃん、、」
「,,,」
「お願いだから返事してよ。俺にも笑いかけてよ。」
ガチャ。
誰か帰ってきたようだ
「ただいま。」
母親だ。
「おかえり、お義母さん」
え??お義母さん、、?いやいや、義理なの?どういうこと?
あれ、またこの違和感。
おかしい
「ただいま。お姉ちゃんに遊んでもらった?」
「え、、あ、もう俺いい歳だし!姉ちゃんに遊んでもらう必要ないし!」
「あ、そっか。昔はお姉ちゃんお姉ちゃんって言って物凄い可愛がってもらってたのに。」
何言ってんの?弟はおじいちゃん達に引き取られて会ったことは無かったはず。
「そうだけどっ!」
あれ、また場所が変わった?いや、、場所は一緒だ。時が違う。
「あ、姉ちゃん、母さん達今日帰んの遅くなるからご飯は適当に済ませてだってさ!だから俺姉ちゃんのために飯作ったんだ!食ってみて!」
「,,,」
ありがとう。とか、言えよ。無言で食べるなよ。何か、なにか言葉を、、
「あ、、後、姉ちゃんが好きなメロンもあるからさ!後で食べよ!」
「,,,」
「,,,う、、ぐ、、」(泣)
え??
「なんでっ、、なんで無視するのっ、、ねぇちゃぁん!!昔の優しい姉ちゃん、にっ、戻ってよぉ!俺だって悲しいのに、、母さんと父さんいなくなってぇ、、なんでなのぉぉぉぉ!!!!」(泣)
さっきから聞くこの「いない」という言葉。
両親のことを指し示してるのは分かる。でも私の両親は義理じゃない。弟のことは基本知らない、実は言うと歳も覚えてない。
「,,,」
おいっ!!言葉かけてやれよ!!
「うわぁぁぁ!!!」
机を蹴って、弟の分のご飯がひっくり返った。
私(?)のご飯も少しこぼれていた。
「待て」
「??、??、え、あ、、ね、ちゃ、、?」
なんでそんな暗い声なんだよ。なんでなんだよ。
「汚い。片付けろ」
「,,,」
無言で片付け始めた。何だこの光景は。
弟は床を拭き。姉は風呂に入ろうとしてる。
「姉ちゃん」
「,,,」
「姉ちゃん。」
「,,,」
「姉ちゃん、、。」
涙混ざりの声が聞こえてくる。
「ねぇ、ちゃん、、」
「煩い」
弟が泣いてるのに。"煩い"で済ますな、何か聞いてやれって、、
これ、自分なんだろうか。昔の、ここに来る前の自分なのかな?忘れてた。そうだったのかもしれない。
「ねえちゃん、、」
「うっさいなぁ。なんなの?」
怒ってるようにそう言った。
「何でなの、なんで無視すんの。俺、姉ちゃんのために、頑張ったのに。姉ちゃんのために、、頑張ってるのに」
「誰が頼んだの。あんたの頑張りとか知らない。煩い。ガキは早く寝れば。」
「2歳しか変わんない!!」
「あっそ。声荒げないで、煩いから」
「姉ちゃん!!」
「,,,チッ」
「なんでなの、、なんで無視すんの、、」
「,,,はぁぁ、私はね?あんたの事が。大嫌いなの。分かった?もういいね?」
「,,,なんで、、俺は姉ちゃんのこと大好きだよ」
「なんで?んなもん知らないよ。」
話して貰えたと思ったらこんなにくそみたいなことしか言えなくて。ご飯作ってくれて、洗濯してくれて、喜びそうなことを考えてくれて、お風呂も沸かしてくれてて、友達と遊びたいはずなのに、頑張って、働いてくれてる。
その感謝を伝えろ。
こんなんじゃ、可哀想なだけだ、、
「父さんと母さんが死んでから、姉ちゃん変だよ、あんなに優しかったのに。どうして?どうしてなの?」
声が高くなってるような気がする。
「,,,無駄。あんたは要らない。」
そう言って、風呂に入った。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
リビングから弟の悲鳴に近い声を上げながら泣いていた。
数分がたったとき。影が見えた。
「姉ちゃん、、メロン置いとくね。俺、もう、寝とくから。」
「,,,」
次の日
「姉ちゃん。おはよ。」
弟の顔は腫れていた。一晩中泣いていたのだろうか、
「姉ちゃん。桜見に行かない?」
「,,,」
「サンドウィッチ作ったんだ!口に合うかわかんないけど食べてみてよ!」
昨日、散々言われたのに弟は元気に、いつも通りにそう言った、
「はぁ、、」
「い、行く?勝もくんだけど、、」
「,,,」
「え、あ、今日学校なの?!弁当どうしよ?!お金渡すからっ、なんか今日だけ買ってきてくんない?今からは作れないし、」
何も受け取らず、外に出る。
「,,,」
ガチャン!
雑に扉が空いた。
「姉ちゃん!!!行ってらっしゃい!!」
「,,,」
家が見えなくなってから、
「行ってきます、、本当に。ごめんね。」
'こんなことしたくない'
え???待っ、
ーーー
「あれ、、」
「サフィー!!大丈夫?!」
「何が?」
「え、覚えてないのか?!急に倒れたから、、」
「ここは、、?」
「暫保室だよ。」
「カドファ買ってきたぞ。」
「起きたなら帰ろうか。今日はもう帰った方が良さそうだし。」
ザンホシツ、、カドファ、、何それ?!
ロンココ亭にて
「ぶっ倒れたァ?!」
ロンが珍しく心配そうにそう言った、まぁあくまで珍しく(笑)
「うん、、」
「マジで?布団を用意してくるからお姉ちゃんはちょっと着替えさしてカドファあるしそれで身体冷やしてあげて。」
「飲ませなくていいのか?」
「無理矢理はダメ。飲ませるなら体起こして自分で。でもって上は向かせずに寝かして、なるべく下でバケツ置いとくから。」
「あ、うん、、」
こういう時のココはものすごく頼りになる。
「ろん、、」
「どうした?苦しいか?」
「布団の用意出来た。」
早すぎでしょ。
「私午後から学校行かなきゃ行けないんだけど、お姉ちゃん任せれる?」
「おう。」
「お腹は空いてる?」
「うぅん、」
「そっか。なら変なもの食べさせちゃダメだよ。どうしてもお腹空かせてたら果物にして」
「イエッサー!」
「じゃあね。」
「行ってらっしゃい」
ガチャ
「んだよ。風邪か?」
「いや、熱もないわ、大袈裟なだけ。ってか、ザンホシツとカドファってなに?」
「カドファってのは、、向こうで言うスポドリみたいな。でもちょっと違う。病気、んー、って言っても治すとかじゃなくて願う的な?それで治って欲しいですよみたいな、後まぁ普通に栄養価が高くて普通に美味しい。」
「へー、、」
カドファを口に運ぶ
「おいしいだろ?それちなみに美味しくなかったら体調悪ぃ、」
「おぇ、まっず。何が美味しいの?ってかなんか言った?」
「お前、無理してたんだな」
「は??」
「カドファは美味しいと健康。不味いと不健康。と判断できるものでもある。」
「,,,先言えよ」
「言うわけない。で、暫保室ってのは暫保の保は、保健室みたいな意味だ、暫は、、知らん。後で調べてくれ。多分って言うか、意味は無い。」
なんで言い方変えるんだよ、、
めんどくせぇ、、
「そりゃそうだろ。」
「え、」
「丸聞こえだバーカ。」
「あ?!」
「あ?」
「あ?」
止めてくれる人がいないため、永遠に続くのであった。