第2話
『1班配置に着きました』
『2班配置に着きました』
『3班配置に着きました』
薄暗い空間に光る多数の液晶画面には、大学の構内の様子が映し出されている。
大学から5キロ離れた、大型のトレーラーの中に、軍隊並みの指揮所があるなんて、隣を歩いている近所の主婦には想像も出来きるはずがない。
「対象の状況を報せよ」
キリッとした女性の声が、薄暗い空間に響く。
『対象、予定通り目標まで移動中』
『―――接近する者ありッ! 2名』
「近付けるな、速やかに排除せよ」
⭐⭐⭐
宝生咲良 咲良は足早に講義室に向かって、構内を歩いていた。
(やっと、会えますね ルナ様)
⭐⭐⭐
「あの子……めちゃくちゃ可愛くね?」
「やばっ!あんな子いたっけ?! 声かけてみようぜ」
遊び慣れていそうな青年二人が、まさに咲良に声をかけようとした瞬間だった。青年二人は力なく膝から崩れ落ちそうになったところを、何処からともなく現れた男たちに支えられ連れていかれてしまった。
端から見れば、突然体調が悪くなった二人を助けた風な感じに見える。
しかし、実際には狙撃による麻酔弾だった。
⭐⭐⭐
『クリア』
『対象、講義室に入りました』
「了解、引き続き監視を厳にしろ」
インカムを置くと、黙って講義室の液晶画面を凝視する、覆面女性。
(お嬢様……頑張って下さいね)