第1章
物凄く更新が遅いと思うので長々と待っていただければー!
――この世界は物語で出来ている。
――生きるのも死ぬのも物語が定め
――勝手に生きるのも、勝手に死ぬのも許されない。
――なら私は、物語が作れない私は、どうすればいいのだろうか?
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「ノーネー!朝よー!起きなさーい!」
「はーい!今行きまーす!」
パタパタと階段を降りリビングの席に座る。
「今日の朝はグラタンよー!美味しそうに出来たでしょー!」
「美味しそう!いただきます!」
ふーふーっと息を吹きかけパクリと食べる。その瞬間に広がる芳醇な香りがまたうまさを引き立てる。
「美味しい!ありがとう、レット叔母さん!」
「いいってことよ!あと私は叔母さんじゃなくてお姉さん、だからね?」
「あはは、ごめんね、レットお姉さん。」
あ、言い忘れてた。
私はノネ。14歳、「無題」の物語の書の持ち主。
物語の書を持っている人はたしか「ストーリーテラー」って呼ばれるんだって。
一定区画の物語を書き換えることが出来て過去も現在も未来も変幻自在。
…なんだけど、私の本にはなにも書けない。試しに落書きとかしてみた時期があるけど消えちゃったんだ。
あ、私がストーリーテラーってことを知ってるのはレット叔母…お姉さんだけ。
レットお…姉さんはお母さんがいなくなってからずっと私を育ててくれた親切な人。血は繋がってない。
いや、書き換えればどうとでもなるけど。肝心のその能力は使えない。
そのせいで森の中に隠れているストーリーテラー専用の学校ではいじめられっ子である。
「大丈夫かい?暗い様子だったけど」
「ふぇ?だ、大丈夫だよ、レット叔母…姉さん。」
暗い顔を隠すように笑顔を浮かべる。それをレットお姉さんはじーっと観察して、満足したかのように離し
「そうかい!では行ってらっしゃい、ノネ。」
「…はい!行ってきます!」
そう言って家を飛び出した。
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森に向かう途中道行く人に声をかけて回る。いつもの恒例行事でせめてみんなには心配させたくないから…
「あ、ノネちゃん!」
アクセサリー屋の叔父さんが手招きして私はそれに気が付き向かい
「はい!なんでしょうか?」
そう言うと左側に花のピン留めを付け頭を撫でられた
「あ、ありがとうございます!」
「あぁ!元気で帰っておいでねー!」
「はーい!では行ってきまーす!」
大きく手を振り森の中に入っていく。
しばらく進んだ先にたった一つの門が見えた。その門に立ち呪文を唱える
「我が名はノネ。「無題」の書のストーリーテラーである。」
門に魔法陣が描かれ、描かれ終わった後門がすうっと消えその中に入っていく。
1歩踏み出した先はキラキラとしたお菓子の学園。ヘンテコな生き物に美しい蝶が楽しそうに踊っている。
…やっぱりすごいなぁ…と改めて感動していると後ろから背中を叩かれ
「よっ、相変わらずボケっとしてるなー!」
「わっ…カドレーくん?」
「おうよ。ペティシエイト・カドレー!参上さ!」
こちらペティシエイト・カドレーくん。
「シンデレラ」のストーリーテラー。
この学校に来て初めてのお友達。陽気で少し…多少…物凄ーく変態の妄想癖な男子。
最初出会った時は南瓜の馬車に轢かれ、また次の日はカドレーくんが階段から落ちてきた。
それで何度かそういうことがありつつも友達となったのである。
…ついでに言うと学校の人気者な為、余計いじめが激しくなるのである。
「よっし、とりあえず行こうぜ。」
「あっ、ちょ、わかってるよー!」
手を引かれて走り出す。…周りにいじめっ子たちがいた。だから手を引いてくれたのだろう。それが少しムカつくところだ。何も考えてなさそうで人一番考えているところが。
「無事ついたみたいだな!」
「そうだけど…ありがとう。」
「友達なんだし当然だろー?素直じゃないやつにはー…こうだー!」
と、カドレーはギュッーっと抱きしめてきた。
…他の人からしたらご褒美なんだろうけど私からしたら嫌がらせでしかない。
そしてホームルームが始まるまで直立不動でその状態をキープし続けたのである。
「はーい、みんなおはようー。欠席はー…なし。お知らせはないよー…じゃあ私は…Zzz」
…反応に困るこの担任はシミカ・ジュミエ先生。
「眠姫」のストーリーテラー。
面倒臭がり屋で四六時中寝てる先生。だが面倒見はいい。
「…あの先生は置いておいて…次の時間は呪文学の時間か。」
呪文学。
魔法には無詠唱魔法と呪文魔法がある。
無詠唱は簡易型、火をつけたり水を出したり、そんな基本的なことができる。
呪文は大魔法などを使う時。それでも魔力の質や量で使えるものは異なってくる。
で、呪文学は呪文の種類や使い方を教えてくれるのだ。大体授業で教えてもらうのは無属性中心かな。一人一人適性が違うから。
「まぁ、大丈夫だろう。いざとなったら俺が助けるからな。」
ウインクして安心させようとしているが余計緊張が増した。その事は秘密である。
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その日の昼。今日の前半を乗りきった私達は屋上で昼食を食べることにした。
「――おーい、聞いてるかー?」
目の前に手を翳して反応を確認しているカドレー。それに驚いて顔を真っ赤にする
「な、何?聞いてるけど。」
即座にそっぽを向いて
「今日も無事に終わったなーって。」
「私にとっては嫌な思い出しかありませんけど。」
そう…呪文の授業。魔法陣の描き方を教わったがそれを誤って発動してしまい机が焦げかけた。故に外に立たされ…
次の魔法実技の授業。一対一の勝負を挑まれ全て惨敗。成績評価Eの称号を得てしまった。
「あはは、まぁ、練習してりゃなんとかなるさ。そんなに落ち込むな。」
ポンポンと背中を叩く、食事中にそれをやられたもんだから吐き出しそうになるのを必死に堪え飲み込む
「っ…はぁ、食事中に背中叩くな!」
「ごめんごめん。悪気はないさ。」
ぐぐぐって睨みつける私にいつも通りの爽やかな笑顔で唆される。
「…次はしないって約束するなら許します。」
「あぁ、いつもありがとな。」
…私は彼の影にいれば安全、彼は私の影で光を薄めてくれるから安全。お互い利害が一致しているだけの関係でしょう。
だから、お互いのことは何も考えていないんだ
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「んー!よっしゃー終わったー!」
「…あとは無事に帰るだけね。」
夕暮れ時。この時が一番危険。
物語を与えられなかったものたちが湧いてでる時間。
物語をくれ、物語をくれと物語を与える存在の元に集う時間。
…そんなことを言われているのに次々と亡者を自身の能力で倒していく生徒達。
1人は楽しそうに。1人は真剣に。
でも、たったひとつだけ言うとするなら、
ただの1人として敵として見ない人はいなかった
日も暮れ、満星時。
門を出たあとふと思ったことを言ってみた
「…ねぇ、カドレー。変な事言うかもしれないけど聞いてくれる?」
「ん?別にいいがー…」
カドレーは返り血を消し本を仕舞う
しばらくの沈黙が流れたあと
「…私、旅に出ようかなって思う。」
「…突然どうした。」
突拍子もなさすぎて流石に頭の心配をされた。
「ここにいてもみんなの迷惑になっちゃうし、何より、少し、みんなのことが怖くなっちゃったから。」
…みんな口を揃えてあの敵からそんな声聞こえないというのだ。
私だけが聞こえて私には何も書かれていない物語の書がある。…この学校ではこの本の書き方までは教えてくれないだろう。
「…お前は馬鹿か?」
すーはーっと深呼吸して吐き出した一言目がそんな言葉だ、そりゃ怒る。
「はぁ!?私の何処が馬鹿だってのよ?」
「前も聞いたが、さっきのあれは『物語が欲しい』って言ったんだろ?
だったら今何の物語も描いていないお前が1番狙われるの。OK?」
…分かってたことだけど。
魔法の腕は没落でなんでも出来る本だって使えていない。そんな状態で襲われたら死は間違いないだろう。
「…私、何も無いんだよ?」
「あぁ、そんなの知っている。」
「何も、返せないかもしれないんだよ?」
「別にいいさ。」
…ただの、光と影の関係。黒と白の関係。
黒は白を必要とし白は黒を必要とした。
ただそれだけの関係。
…でも、光からしたら影は要らない存在。だからずっと一緒にいる必要はない、はず。
「…姫、騎士を1人お召し抱えにはなりませんか?」
「……〜〜〜〜っわかりました!動向を許可します!」
…卑怯だ。騎士は姫あらずして成り立たない。そして、姫もまた騎士がいなければ成り立たない。…まぁ、嫌な気分ではないけれど。それでもやっぱり、負けた気がするのは否めない。
「あぁ、どこまでもついて行くぜ、ノネ姫。」
ニッと微笑み高らかに宣言する。
「ついてこれるものならついてきなさい。」
挑戦を投げかけるように返す。
――私の旅路は真っ白で、何の道もないようなものだけど。
――それでも、それでも進み続けることに意味があると思うから。
――ただ、ただ、自分の芯に問い続けて、人生を進み続けることに意味があると思うから。
――これから歩んでいく。
――これが私の無題の物語だ




