表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/167

95.発見?


「とうとう動き出したか……」


「はい。今のところ計画は順調に事を進めています」

 

 帝国内某所にて。

 皇帝ダウトは不敵な笑みを浮かべ、ガラス張りになっている窓からじっと帝都の景色を眺めていた。


「遂にこの日が来たな。我々、いや我が国の長年の夢を叶える時が」


「ええ。今日は長年待ち望んだ、記念すべき日です」


 近くにいるのはダウトの秘書官であるジョン。

 ダウトとは帝位に就いて以来の仲になる。


「兵たちの様子はどうだ?」


「良好です」


「よろしい。ならば後は、”彼ら”の報告を待つだけか……」


 ダウトは近くの卓上に置いてあったボトルクーラーから赤ワインを取り出すと、グラスに注ぎ込む。

 そしてグラスに入ったワインを一口含むと、再びガラス窓の前に立つ。


「上手くいくでしょうか?」


「それは彼ら次第だ。先の大戦で前ほどの力はないとはいえ、相手は王国だ。一筋縄ではいかないだろうな」


「そう、ですね……」


 ダウトは首だけ後ろを振り返ると、ジョンの方を見た。


「ところで、フラムはどうなったのだ? 一か月以上も報告がないようだが……」


「そのことなのですが、さっき本人から電報が送られてきまして……」


 ……

 ……



「ほう……それは興味深い。いいだろう、奴の好きにさせておけ」


「で、ですが……」


「もし計画を遂行するに当たって不安要素となるようなら、即座に処刑するまでだ。それに、奴を上手く利用する手もある」


「まさか、閣下……」


「全ては我々の理想の為。理想には血が必要なのだ。ならば、誰かが流すほかなかろう」


「……」


「とにかく、お前は部隊の編成に集中しろ。早ければ丑三つ時に出兵させることになるやもしれん。そのことをよく考えておくのだな」


「はっ、仰せのままにダウト閣下」


「もう下がれ。報告は逐一するように」


「心得ております」


 沈黙を続けるジョンにダウトは命令を下す。

 ジョンはその場で一礼すると、部屋から去って行った。


「さぁ、遂に始まる。我々の……復讐劇が!」


 ダウトは再び目線を前方に戻すと、ニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべるのだった。


 


 ♦




「イリアはいたか?」


「いえ……ランスの方はどうでしたか?」


「こっちもダメだ。全然見つからない」


 俺とソフィアは二手に分かれてイリア捜索を実行していた。


 今のところ、収穫はなし。

 時計台で時間を確認してみると、捜索を始めてから一時間が経過していた。


「マズイな。タイムリミットまであと一時間しかないぞ」


「本当に王都内にいるんでしょうか? もしかしたらまだお屋敷の近くに……」


「いや、その可能性は低いと思う。俺の探知魔法に一切、引っかからなかったからな」


 微力な魔力でも相当距離が遠くない限り、引っかかるはず。

 結構遠くの方まで探知の範囲を広げてみたが、反応なしだったから恐らく屋敷の周辺にはいない。


 だからと言って王都にいる確証もない。

 今のところ、探知魔法に反応は――


「――ん、なんだ?」


 突然頭の中に入って来る魔力の波動。

 じわじわと波が押し寄せるかのような感覚が、脳を通じて身体全体に伝わって来る。


 この感覚は……


「ど、どうされたのですかランス?」


「……来てくれ、ソフィア。見つけたかもしれない」


「見つけたって……イリアさんをですか?」


「分からない。でも可能性は高い。とにかく、行くぞ!」


「あっ、は、はい!」


 俺はソフィアの手をぎゅっと握ると、自身の感覚を頼りに走り出す。

 そして辿り着いた先は、前に一度訪れた都内公園だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻冬舎コミックス様より
コミックス4巻発売中!
現在「comicブースト」様にて好評連載中です!
俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件

i801353


↓comicブースト様連載サイト↓
俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件



↓幻冬舎コミックス様紹介サイト↓
俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件



アルファポリス様より
小説2巻発売中!
無能と蔑まれし魔術師、ホワイトパーティーで最強を目指す

i801359


↓アルファポリス様紹介サイト↓
無能と蔑まれし魔法使い、ホワイトパーティーで最強を目指す

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ