89.秘密の部屋
「帰りました~」
屋敷の扉を開け、中に入るとアリシアが出迎えてくれた。
毎度毎度思うけど、何でこうもベストタイミングなお出迎えができるのだろう。
屋敷を出て帰宅するタイミングなんて今まで全部違ったのに、帰って来ると当たり前のように玄関フロアにいる。
本当は外で見張っているんじゃないか? って疑ってしまうほどだ。
「お帰りなさいませ、イリア様、ランス様」
「ただいま、アリシアさん。えっと、ソフィアは……」
「ご安心ください、お話なら全て伺っております」
「そ、そうですか……」
話が早くて助かる……のはいいが、情報早すぎじゃないか?
さっきの会議が終わってからまだ30分くらいしか経っていないのに……
あ、ちなみにソフィアは一度城に帰るとのことで別々になった。
フォルト国王の様子を見にいったのだろう。
本来ならば俺も行かないといけない身分なんだろうけど、親子水入らずの中に赤の他人が入るのもどうかと思い、今回は断念した。
もちろん、必ずお見舞いにはいくつもりだ。
「ところでランス様、イリア様。少しお時間をいただけますか?」
「え、はい。俺は大丈夫ですよ」
「わたしも大丈夫です」
「ありがとうございます。では、こちらへ」
先導するアリシアさんに俺たちは付いていく。
一体なんだろうと思いながら、連れてこられた先はとある部屋の前だった。
ただし、そこは普通の部屋ではない。
「あ、アリシアさん……ここって」
「この屋敷に古くから伝わる開かずの扉です」
開かずの扉。
その名の通り、今まで開けることなくずっと放置されてきた謎の部屋だ。
俺も前々から気になっていた部屋だが、南京錠で頑丈に鍵がかかっており、入り口には開けるべからずという赤文字で書かれた張り紙が張ってあるからか、あまり気にしないようにしていた。
もしかしたら、知ってはいけないようなとんでもない秘密が隠されているかもしれないと思ったからだ。
しかもこの屋敷は王家が保有するもの。
あり得ない話じゃない。
そう思うと、怖くなり、開けようとも思わなかった。
ちなみに俺がここに来る前も開けたことは一度か二度くらいしかないらしく、それも何十年も昔の話とのこと。
アリシアさんは中に何があるのか知っているような感じだが……
「お二人には今からこの部屋に入っていただきます」
「えっ……? いいんですか?」
「はい。”その時”が来たので」
その時……?
一体なんのことだろう?
でもいいのか?
俺たちは王家の人間でもなければ、貴族でもないただの一般人。
そんな輩が王家の秘密を垣間見るようなこと……
ガチャ。
(って、もう扉開けているし!)
アリシアさんは既に南京錠を解除し、扉を開けていた。
中は真っ暗で何も見えない。
「どうぞ、お入りください」
「は、はい……」
「だ、大丈夫なの……?」
いつものようなクールな対応で部屋へのご入場を促すアリシアさん。
俺たちは少し戸惑いながらも、部屋の中へ。
すると、突然照明がピカッと光りだし、部屋全体が明るく照らされる。
そしてその瞬間、俺たちの目の入ってきたのはとんでもないものだった。
「こ、これは……武器?」




