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30.訪問してみました。


 朝鍛錬から時間は進み、夕暮れ時。

 俺とソフィアは夜の王都に繰り出していた。


「やっぱり夜の王都はいいですね。昼とは違う活気もあって」


「同感だ。俺もどっちかというと夜の街の方が好きだな」


 あ、これは別に疚しい意味とかではないぞ?


 単純に夜の街が好きってだけの話。

 実家にいた頃は夜風を当たりによく散歩とかしていた。


 昼間と違う夜の独特な雰囲気が個人的に好きだったからな。


「えーっと、確かこの辺にバーがあるはずだけど……」


 そんな夜の王都へ来て探していたのは一件の酒場(バー)

 

 前にリベルという男に会った時に一枚の紙きれを貰った時のことだ。

 そこに書かれていたのはリベルが率いるパーティーがいつも利用しているらしい酒場(バー)の所在地だった。


(今、彼がいるかどうか分からないけど……)


 とりあえず、これ以外手掛かりはないのでその酒場(バー)に行ってみることに。


「ここだな……」


「なんか結構な大人な雰囲気が出てますね……」


「だな……」


 店の佇まいは如何にも渋い大人が行きそうなそれ。

 大衆酒場とは店前の雰囲気からもう既に違った。


(未成年立ち入り禁止とか言われないだろうな……)


 ソフィアは成人しているからまだしも、俺はまだ未成年。

 入れない可能性だってある。


 ま、その時はその時なんだけど。


「とりあえず入ってみるか」


「は、はい!」


 俺は入り口のドアノブに手をかけると、ソフィアと共に店内へと入るのだった。


 

 ♦



「おお……なんかすげぇな」


「雰囲気が……大人です!」


 入った途端、レトロで大人な雰囲気の溢れる店内が俺たちを迎える。

 外装は全て木造で所々に派手すぎない装飾が施されていた。


 そして店内にはこれまた大人な雰囲気溢れるジャズ調の音楽が流れ、渋いおじさまたちが奥のバーカウンターで優雅に酒を飲んでいた。


(流石はAランク冒険者。酒を飲む場ですらこの有様か……)


 まさに金を有する者だけが入れる聖域みたいなところだった。

 

「いらっしゃいませ」


 と、店内だけで目を奪われていた俺たちに一人のウエイターがこっちに来た。

 

 ウエイターは続けて、


「当店の会員証はお持ちでしょうか?」

 

 と、イカした声色でそう言ってきた。


「え、会員証が必要なんですか?」


「はい。当店は完全会員制ですので、会員証をお持ちでない限り、入店を認めることはできないのです」


「そ、そうなんですか……」


 まさかまさかの会員制!


 まぁこの店内の雰囲気じゃ納得と言えば納得だけど……


(俺たち入れないじゃん!)


 ここまで来てほしいと言っておいて入れないなんて、そんな話があるだろうか?


 いや、もしかしたら店を間違えているのかもしれない。


(確か、例の紙に店の名前が書いてあったな……)


 俺はすぐに紙切れを取り出し、店の名前を調べる。


 名前は【Levan(ルヴァン)】……か。


 名前もなんか高級感出てるな。


「あ、あの~」


「はい?」


「ここのお店の名前ってルヴァンで合ってますよね?」


 店内に入っておいてこんな質問をするのは可笑しいだろうが、一応聞いてみる。

 するとウエイターの人はコクリと頷くと、


「はい。そうでございますが……」


 困惑した顔でそう言った。


(じゃあ、店は間違えていないってことか……)


 ならどうすれば……


(とりあえず、ここに呼ばれたってことを言うしか――)


「――ウエイターさん、そのお客さんは僕たちが呼んだんだ」


 その時。

 店内奥からスタスタと歩いてくる人の影が。


 同時に聞いたことのある声が耳に入って来る。


「り、リベル様……!?」


 様……? しかもリベルって……。


 店内は少し薄暗かったからか、すぐにはその姿を把握することはできなかった。

 だが近づいてくるにつれて姿は徐々に露わになり――あの時に見た金髪が目に入ってきた。


「り、リベル……さん?」


「やぁ、ランスくん。よく来てくれたね」


 現れたのはあの時の金髪イケメン。

 A級冒険者のリベルだった。

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