167.真の計画
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テックコントロールド・イノベイティブ計画。
資料を読み漁ると、そのような言葉が書かれていた。
計画自体は極秘裏に聞いていた。
通称TCI計画と呼ばれるこの計画は帝国元帥のダウトと人体研究チームが極秘裏に進めていたとされるバイオ計画であると。
今回の計画である"真紅の夜〟はこのプロジェクトの実験の一環であるということも。
この目で見たことはないが、王都内に設置された10個の魔法ポータルに封印されていたのはこの計画で生まれた神獣なのは事実だったみたいだ。
まぁ、その辺は既知の話だ。
私が目をつけたのはそこではなかった。
「崇高なる閣下の申し出により王国を対象とした人工化物合成化実験、プロジェクト『フラム』を実施する。これは贄人フラム・レイバーンズを核とした人工化物の進化実験計画である……」
資料にはそのように書かれていた。
なるほど……ヴェルムが意気揚々と言っていたのはそういうことだった。
私は選ばれたのだ。
ダウト閣下の悲願を果たすため為の最高の道具に。
「ふ、ふふ……ホント、哀れよね」
自分が今までしたことを考えれば当然の報いなのかもしれない。
あるいは聖十字魔法師団に入り、ダウトの犬になった時から運命は決まっていたのだろう。
あまりにも哀れすぎて乾いた笑いが出てくる。
「これなら大人しく本国で死刑になる方が良かったかもしれないわね」
最終的に私はより多くの罪のない人間を殺すことになるだろう。
その上、帝国が勝てば王国は帝国の奴隷国家に成り下がる。
「ごめんなさい、みんな……」
別れ際に交わした挨拶が脳裏に浮かび上がってくる。
あの時のみんなの目は決して軽蔑するような眼差しじゃなく、温かなものだった。
多分、今頃は私も救おうとランス辺りが言ってるのでしょうね。
でも、今の私に運命に抗う力は残されていない。
そしてこれは誰にも止めることはできないのだ。
だからこそ、最後はこう望みたい。
私のような愚者には高すぎる望みだけど、バケモノと化した私を殺してほしいと。
「やぁ……君がフラム・レイバーンズくんだね?」
少し高めの声が耳に入ってくる。
スタスタと拷問部屋に入ってきたのは白衣を纏った集団だった。
「貴方は……」
先頭に立つ銀髪の男に私は問うと、胸に手を当て深々と頭を下げた。
「どうも初めまして。私はレイヴ、帝国人工化物研究所の所長を務めている者です。どうぞお見知りおきを……」
人工化物研究所の所長ね……
どうやらお迎えがきたみたいだ。
「ヴェルム殿から粗方お聞きしたと思いますが、ご準備の方はよろしいでしょうか?」
「……ええ、問題ないわ」
そういうとレイヴと名乗る男は腕をバッと開き、煌びやかな目をこちらに向けてきた。
「素晴らしい! では早速行くとしましょう。……我が親愛なる閣下の悲願の為にっ!」
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前書きでお知らせしました告知ですが、この度本作『その最弱冒険者、実は査定不能の規格外~カースト最底辺のG級冒険者ですが、実力を知った周りの人たちが俺を放っておいてくれません~』のコミカライズが決定致しました!
詳細等はまだお伝えできませんが、今後活動報告やXにて告知していきますのでご確認いただけますと嬉しいです!
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これからも当作品含め、作品作りに精を出していきたいと思っておりますので、何卒応援のほどよろしくお願い致します!!




