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132.ポータルの先へ

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「ドロイドさん……！？」

「遅くなってすみません。少々雑兵たちに気を取られてしまいましてね。合流が遅くなってしまいました」

　ドロイドさんは何事もなかったかのようにこの空間に足を踏み入れてくる。

　そして俺たちを見て軽く微笑んでくる。

「あ、あの……ドロイドさん。”彼ら”は……」

「ご安心を。先ほど救急隊員たちが到着して保護していただきましたので」

「そうですか……」

　捕虜になっていた人たちは無事に解放されたとのこと。

　とりあえず最低限の目標は達することができた。

「でもまだ一人残っています。早く救出しなくては……」

　一人……捕虜の部屋に入る前に見た時に連行されていった人か。

　確かこの部屋まで連れていかれてたから、恐らくその人は俺たちが向かうべき場所にいる。

　このポータルの先にある未だ未知なる空間に。

「でもまさかこんなところに巨大ポータル(こんなもの)があるなんて。流石にこれには私も驚きです」

　ドロイドさんは物珍しそうにポータルを眺める。

　やはりこんな場所にこんなのがあるのは可笑しいよな。

　普通ポータルってのは巨大都市の広場とか、遺跡捜査などの探索での移動効率を高めるために用いられるもの。

　だから基本的に人が多い場所でポータルというのはあるものなのだ。

「ま、それは今は置いておくとしまして。彼がこの一帯を仕切るリーダーですか？」

「い、いえ俺たちも実は何も分かってなくて。ポータルに入ろうとしたら突然……」

「なるほど」

　ドロイドさんは俺の話に頷くと方向転換する。

　その先にいたのは敵であるローブの男だった。

「お前、何者だ？　俺のゲートをあっさりと破るなんて……」

「別にそこまでの者じゃないですよ。通りすがりの一般人です」

「一般人がこんなとこに来るか！　ていうか他の連中はどうしたんだ？」

「ああ……彼らなら今おやすみされてますよ。久しぶりにいい運動ができました」

「その様子だと、全滅ってところか？」

「多分ですけどね。あ、ちなみに殺してはいませんのでその辺はご安心を」

「くそっ、舐めた口調しやがって……！」

　ドロイドさんは敵を前にしてもいつもと変わらず平静を保っていた。

　特段殺意や戦闘を望むオーラを出すわけでもなく、本当にいつもと変わらない紳士の姿だった。

　というかあの数を一人で仕留めたって……やっぱ凄いんだなこの人。

「ところでこういう事態になったわけですが、貴方はこれからどうするおつもりで？」

「ふん、決まってんだろ。全員纏めてあの世に送ってやるさ。手段を択ばずともな……」

　そういうと男はいきなり走り出す。

　ポータルに向かって真っすぐと。

「ど、ドロイドさん！」

　俺が逃がすまいと止めようとするが、逆にドロイドさんに止められてしまった。

　そうしている間に、男はポータルの先へと吸い込まれていった。

「ど、ドロイドさん！　なんで……！」

「この方が我々にとって良い方向に事が運ぶからです」

　ドロイドさんは依然として普段と変わらない立ち居振る舞いで俺にそう言ってくる。

　何か考えがあるような感じだ。

　いや多分この人はもう何かを察している。

　この先にあるものが何か……ということなのかを。

　気になるところではあるが、今は黙っておくことにした。

「さぁ、我々も行きましょう。ポータルが閉じる前に」

　先導するドロイドさんの後に続いて。

　俺たちもポータルの中へと飛び込むのであった。