128.暗号式
「これって、ポータルじゃないか……」
「ポータル?」
「巨大な転移装置みたいなものだよ。実物を見るのは俺も初めてだけど」
でもどうしてこんなものが……
普通ポータルってのは大規模なものを動かしたりするのに使うものなんだが……
「このポータルが置いてあるところが、この部屋の最奥みたいです」
「ということはこのポータルを起動させないと先には進めない……」
「そういうことになりますね」
まさかの第二の壁。
最初はこの部屋まで辿りつければいいと思っていたが、そう簡単ではなかった。
だが逆にここまでの防衛網を敷くということはこの先にはよっぽどな何かが眠っているということ。
ドロイドさんの頑張りに報いるためにも、これは意地でもポータルを起動させないといけない。
……と、意気込みは良かったのだが。
「どうなってんだ、これ」
発動するのに、苦戦を強いられていた。
まぁ当然ポータルの起動方法なんて知るわけがないからできるはずもなく、ソフィアもお手上げ状態。
先に進めない事態に陥ってしまった。
「困りましたね。どこか分かりやすくスイッチとかあればいいんですが……」
「ホントな……」
ここで足踏みをくらうとは……
一筋縄ではいかないだろうということは承知の上だったけど……
「あっ、ありました! ランス殿、殿下! こっちに来てください!」
と、その時。
少し離れた場所からブライアンさんが呼ぶ声が聞こえてきた。
俺たちがブライアンさんのところに駆け寄ると、そこにあったのは……
「これって、まさか……」
「恐らくこれがポータルの起動装置です」
ポータルから数メートル離れた脇の方にひっそりと置いてあった謎の装置。
不気味な色を放つ板の上に0~9までの数字の書かれた石板が置いてあった。
そしてそれらの石板をはめ込むような場所が5カ所。
これを見る限り、ポータルの起動方法は……
「まさかの暗号式……だと」
「そのようですね……」
立ちふさがった壁は予想以上に大きかった。
やっと敵の防衛網を掻い潜ったかと思いきや、今度は暗号解読。
つまるところ、数字の書かれた9つの石板から5つを順番通りに並べることでポータルが起動する仕組みになっているのだろう。
「ここまで来て、これはないぜ……」
思わず心の声が漏れてしまう。
だがここまで来て暗号はかなり面倒だ。
当然暗号なんて知るわけがないし、時間もない。
ドロイドさんの様子が気になるところだけど、そろそろ追手がきても可笑しくないし……
「なぁソフィア」
「は、はい?」
「この石板を全て並べるのに、何通りくらいあるんだ?」
「そ、そうですね。はめ込む石板の数からして暗号は五桁の数字だと思うので、それに対して0~9の10通りの組み合わせがあるので……全てやるとなると10万通りくらいになるでしょうか?」
「じゅ、10万!?」
どう考えても全てやるのは無理だ。
というかそんなことをしていては日が暮れてしまう。
(いや、もう考えるのも面倒だ!)
俺は半ばやけくそに適当に石板をピックすると、一つ一つ穴にはめ込んでいく。
だが次の瞬間。
装置が眩い光を放ち、ポータルの方へと流れていった。