127.最奥の部屋
「ドロイドさん!」
「無事ですか! ランスくん、殿下!」
向かってくる敵をものともせず、ドロイドさんは薙ぎ払っていく。
おかげで敵の意識は完全にドロイドさんの方へと集中していた。
「ランスくん、早く奥の部屋へ行ってください! ここは私が引き受けますので!」
「わ、分かりました! ありがとうございます!」
思わぬ展開。
本当は加勢していきたいところだが、これは奥の部屋へ行く大きなチャンスだ。
「ドロイドさんの言う通り、俺たちは先へ進もう!」
「はい!」
体内で滾る魔力を一旦鎮めると、俺たちは最奥の部屋へと走っていく。
「ようやくここまで来たか……」
目的地の屋根裏部屋へと続く扉。
だが、問題はここからだ。
「少し下がっていてください。俺が中の様子を確認しますので」
――トラップ・ディテクション
探知魔法を発動する――が。
「何もない……か」
トラップや爆発物らしきものは検知できなかった。
「どうですか、ランス?」
「いや、トラップはないみたいだ。でも……」
「あの時に聞いた話が引っかかるんですか?」
「ああ。俺はてっきり即死トラップか何かが仕掛けられているのかと思っていたが……」
そうではないみたい。
(なら一体どういう仕掛けが……)
あんな話を聞いた以上、むやみに中へ足を踏み入れるのは危険だ。
あの男が言っていたことがまやかしならいいんだが……
「私が先に中に入って様子を見てきましょうか。もし何もなければ何かしらのシグナルを出しますので」
「お願いできますか?」
「もちろんですよ。私はそのためにいるので」
「すみません。お願いします」
ということでブライアンさんが先に入って様子を見てきてもらうことに。
「では行ってきますね」
ブライアンさんは何の躊躇もなくドアノブに手をかけると、剣を構えつつ中へと入っていった。
周りの様子を確認しつつも、薄暗い道を少しずつ歩んでいく。
そして少し経ってから、行く先に一点の光が。
ブライアンさんの言っていたシグナルだ。
「異常はないみたいだな。いこうソフィア」
俺たちも部屋の中へ。
中は一本道になっているらしく、光も等間隔に松明が設置されているだけで外から見る以上に暗かった。
少し進むとブライアンさんが俺たちを待ってくれていた。
「この先も少し調べてみましたが、特に異常はありませんでした」
「そうですか……」
じゃああの話は一体……
「ですが、一つだけ気になるものを見つけまして……」
「気になるもの……?」
それはこの道を少し進んだところにあった。
「これは……」
進んだ先にあったのは巨大なポータルが異様な光を放ちながら、聳え立っていた。