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110.10か所の謎

 

 宣戦布告。

 それは帝国と王国との全面戦争を意味する。


 かつての大戦でも両国は特にいがみ合ってきたが、今は戦争をしない故の条文が書かれた条約に両国とも調印している。


 もし帝国が戦争を始めるというのならば、それは条約に違反する行為となる。

 前の大戦からまだそこまで年月が経っていないため、他の列強諸国も昨今の国際情勢に敏感な中でこの一手を打ってきたのはとんでもないことだ。


(一体、帝国はなにを考えているのやら……)


「ん、どうかしましたかランスくん?」


「あ、いえ。何でもないです。すみません」


 少し考えて事をしてしまっていたところをドロイドさんに指摘される。 

 まさか俺が国のことを本気で考えることになるなんて……


 大半はソフィアの影響だろうけど、自分の変わり映えに驚きを隠せない。


「では先ほどおっしゃっていただいた情報を整理しますが、本当に例の計画は予定通りに行われると?」


「そうみたいです。確固たる確証はありませんが、その刻印を分析したところ、そのような情報が……」


 あの後。

 俺はイリアが解読してくれた情報をこの場で全て開示した。

 少しの過不足もなく、今自分が持っている情報全てを。

 

 すると、アルバートさんがあることについて反応を示した。


「にしても、魔刻印か。これまた古典的なものが出てきたな」


「ご存じなんですか?」


「ああ。魔刻印は元々帝国が連絡手段の一つとして生み出した特殊な術式だ。かつての戦争でも伝令兵や敵軍の兵士に魔刻印を施し、敵国に機密が漏れないように情報伝達をしていたという説がある。今では術式技術の発達によって色々なタイプが存在するようだが、帝国が機密としている術式な為にそれ関連の情報は帝国にしかない。もちろん刻印の分析も帝国の、しかも術式を熟知する一部の人間しかできない」


「なるほど……」


 そんな裏話があったなんて……


 あくまで表面的な情報しかなかったのも、そのためか。


 いや、でも待てよ。


 もしアルバートさんが話が本当なら、あの魔刻印は他の誰かと情報伝達をするために施されたものということになる。


 王都内に潜伏する仲間に情報を共有するために。


 そして、その刻印を分析するには術式に熟知している者しかできない。


(まさか、な……)


 一瞬だけ、嫌な憶測が脳裏を過った。

 いくらなんでもそれはあり得ない。


 ……そう信じたい。


「でもそうなると、一番注視しないといけないのはその10か所が何を意味するのか……ですね」


「アジトなら一か所は無くなった。もしその10か所がそれを示すなら、残りは9か所になるが……」


「でも時系列的にその10か所がアジトを示唆しているという可能性は低いと私は考えます。アジトの調査をしたのはもう二日ほど前ですよね? それなら9か所と伝えればいいのでは……?」


「じゃあ、この10か所は他の何かを示しているということですか?」


「私はそう考えています」


 一体何を意味しているのだろうか?

 

 そもそも場所はどこなのか?


 考えても考えても、余計に思考のループにハマっていく。


(何か手掛かりは……いや、待て。一つだけあるぞ!)


 前に誘拐事件の調査に出た時にふと疑問に思った、あることだ。

 

 俺はすぐに二人の注目を集めると、


「アルバートさん、ドロイドさん。一つ心当たりがあるのですが、聞いてもらえますか?」


 そう二人に言った。

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