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11.魔法披露


 さて、そういうことでみんなに魔法を見せることになりました。

 魔物の共同調査にきたつもりが、まさかまさかの魔法お披露目会に。


 正直困惑しまくっていますが、ヘイトが凄いので仕方なく見せることになった。

 

 でも……


「魔法を見せろって言われてもなぁ……」


 何の魔法を見せればいいのやら。

 でもあの『紅蓮の女神』の頼みとあれば、断るわけにもいかない。


「とりあえず適当に……あっ!」


 と、その時、ふといいことを思いついた。


「いい機会だから例の魔法を試してみるか……」


 例の魔法と言うのは一言で言えば”オリジナル”。

 要は様々な魔法の術式を組み合わせて一つの魔法を作ろうと考え、実践しているものだ。


 魔法っていうのは種類ごとにメリットとデメリットが分かれている。

 どんな時でも対応できる万能な魔法ってのは今、この世にある莫大な数の魔法の中でもほんの一握りしかない。


 去年、俺はGランク生活から脱却するために数多くの魔法や魔法知識を学んだ。

 そして色々な側面から魔法を勉強していて思ったのは予想していたよりもそういった魔法の存在がなかったこと。

 

 ならば!


 ”色々なメリットだけを切り取った新しい魔法を作ってみればいいじゃないか!”


 と、思ったわけ。

 

 最初は我ながらぶっ飛んだ考えだぜ……とか思っていたが、それが案外難しくなかった。

 試行錯誤を繰り返し、術式結合の最適解を次々と生み出した。


 そして数多もの実験を繰り返し、いくつかオリジナルの魔法を完成させることができた。


 その中の一種をこれから見せる。


「よし、じゃあこの魔法をやってみるか」


 俺はゆっくりと手を前に翳す。


「お、とうとう始まるか」


「一体どんな魔法が飛び出すのだ……?」


 周りの注目の度合いが一気に強くなる。

 

 そんな注目などもろともせずに俺は術式を発動。

 ある魔法を放った。



「≪インフォリュート・フレア≫!」



 爆炎をあげ、猛進する魔法。

 木々をなぎ倒し、再び前方数キロ先まで更地に変える。


 あ、ちなみにこれは炎属性と風属性の魔法を組み合わせたものだ。


「ば、バカなっ! あそこまでの威力を持つ魔法を無詠唱だと!?」


「でもあんな魔法みたことないな。確かにとんでもない威力であるのは間違いないんだが……」


 ざわつく観衆たち。

 俺は魔法を詠唱すると、すぐに皆の元へと戻った。


「どうでしたか? 自分の魔法は」


「流石はランス殿だ。素晴らしい魔法だったぞ」


「私もあのような魔法は初めて見た。このババアが絶賛する理由がよく分かった」


「誰がババアだ。あ?」


「あ、あはは……」


 とりあえず皆、大絶賛。

 拍手までして称えてくれた。


 そして、例の伯爵とやらも目の色を変えて、


「す、素晴らしい! まさかここまでの魔法を扱える御人がいたとは! 是非とも我が家の護衛魔術師になってほしいほどの逸材だ! どうだ? 金ならいくらでも払うから我が家に来ないか?」


 ……と、豪快なまでの手のひら返しを炸裂させる。

 だがすぐにレイムさんが止めに行った。


「すまないな、伯爵殿。彼にはもうソフィア王女殿下という先客がいてだな。ランス殿は今、彼女のモノなんだ」


「わたしのモノじゃないですよ、レイム! ランスは――」


「そうでございましたか! これはこれは失敬。王女殿下という先客がいたのであれば仕方ないですな」


「だーかーらっ!」


 珍しくソフィアが取り乱している。

 でも何とかさっきまでのいざこざは取り除けたようだ。


「それにしてもランス殿、今のはなんていう名の魔法なのだ? 見たことないものだったが……」


 レイムさんがそう聞いてくる。

 俺は解説を添えて、返答をした。


「さっきのは≪インフォリュート・フレア≫っていうオリジナルの魔法ですよ」


「お、オリジナル?」


「はい。俺が独自に術式を結合させて生み出した魔法のことです。さっきの≪インフォリュート・フレア≫はある炎属性の魔法と風属性の魔法の術式を組み合わせて作ったものなんですよ」


 比較的威力が強い炎属性の魔法と術式発動から発生までのレスポンスが早い特徴を持つ風属性の魔法をモンタージュさせて作ったのがさっきの魔法の正体。

 

 高威力かつ発生の早い魔法があったらいいなと考えた結果、出来た魔法だ。


「そ、そんなことができるのか? レイムよ」


「い、いや……普通はできない。二つの術式を結合し、一つにまとめ上げるなど概念外れもいいとこだ」


「確かに。まさに規格外、ですね……」


「が、概念外れ……」


 俺にとって魔法は感覚やイメージで発動させるという意識が強い。


 もちろん座学で学んだ知識を応用して魔法を使う人もいる。

 これが現代の魔術師の基本形といえよう。


 でも俺は他の人間と少し違った。というか特殊だった。

 

 かつて名門校と言われた学院に在籍していた時に周りの人間と比較して感じたある種のギャップだ。


「ランス殿、もう一つ頼みたいことがあるのだが良いか?」


「え、ああはい。なんでしょうか?」


 レイムさんからもう一つ頼みごとがあるらしい。

 今度は何だろうと耳を傾けると、とんでもない言葉が出てきた。


「この頼みはランス殿に時間がある時でいい。この私に……その術式結合のやり方をご教授願えないだろうか?」


「あ~そういうことなら……って、えっ!? いまなんと?」


「教えてほしいのだ。その”オリジナル”とやらの作り方を……」


 え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?


 まさかの一言に驚愕。

 俺は今、あの大戦の英雄に教えを請われたのだ。

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[一言] 規格外 ですなw 心がついていけるか?w
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