108.大集合
「うわっ、もうこんなに集まっているのか……」
「すごい人ですね。これ全部冒険者の方でしょうか?」
王都に入り、ギルドへ続く道へ歩いていくと早速人だかりを見つけた。
武装しているところを見ると、皆冒険者みたい。
今は緊急事態宣言に伴って、不要な外出を避けるよう国が呼びかけている。
その影響もあって一般都民はあまり見かけないため、その人だかりが余計に目立っていた。
それにしても……
「これだけの冒険者を集めるとは流石はギルマスってところだな」
「ですね。見たところ、他の地方から来た方もいらっしゃるみたいです」
確かに見ただけでこの辺の人間じゃないことが分かる者もいた。
国の一大事ということで、かなり広範囲に渡って募集をかけたのだろう。
それに集合時間までまだ時間があるということは、これよりもっと集まってくる可能性があるということ。
この光景を見ると、改めて今の現状の深刻さが身に染みて伝わって来る。
「とりあえずまだ時間もあるし、ドロイドさんのところに行こうか」
「そうですね。例の事もお伝えしないといけないですし」
ということで。
俺たちはイリアから貰った情報を伝えるべく、ギルドの中へ。
ギルドの中でも冒険者たちのコミュニティが点々としていた。
本来ならば、閉鎖するところだろうけど、外に溢れるのを防ぐために一時的に解放したのだろう。
見渡せば上の階にある酒場までにも大勢の冒険者で溢れていた。
俺たちは受付へ行き、前のようにドロイドさんとの面会を求めていると。
「お、ランス殿ではないか」
「あ、アルバートさん!」
スタスタと歩いてくる大柄な男。
全身を鎧で包み、完全武装したアルバートさんが声をかけてきた。
「君たちもドロイドに用か?」
「はい。新たな情報が手に入ったので」
「おお、それはちょうどいい。私もある情報を伝えに此処に来たのだ。出陣までに伝えねばと思ってな」
「出陣……? どういうことですか?」
アルバートさんの姿を見て、何となく察していたけど、まさか……
「実は……いや、ここで話すのは止めよう。続きは上でしよう」
「は、はい……」
アルバートさんはそういうと俺たちの面会手続きまで一緒にしてくれた。
「よし、行くぞ」
今回は受付嬢の案内はなしで。
アルバートさんが先頭を歩き、最上階まで行く。
それからしばらくはあまり会話はなかった。
しかし最上階に着き、マスタールームへと続く長い廊下を歩いている中。
ようやくアルバートさんが口を開き、話し始めた。
「さっきの続きなんだが、実は今朝国の諜報部から一報があったのだ」
「それは……?」
恐る恐る聞いてみる。
するとアルバートさんは顔を顰め、険しい表情のまま一言言った。
「……帝国から、我が国に対する宣戦布告の通達が来たそうだ」