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異世界14日目 警備隊本部?

「ん〜、こ……こ……はどこ……?」


 私は目を覚まし、まだボヤケている視界で周りを確認する。古びた建物、窓もカーテンと言えないボロ切れが付いている。ベットの近くには、人影が……。私が目を凝らしてその人を確認すると、マリナさんだった。


「マリ……ナ……さ……ゴホッ ゴホッ」


 私の咳込みで気付いたのか、窓の外を見ていたマリナさんが私の方を向いて、直ぐに駆け寄ってくれた。


「アリスちゃん!気が付いたのね!ちょっと待ってて!はい、これ飲んで」


 そう言って渡されたのが、コップに入った水だった。私はマリナさんの手を借りて、身体を起こすと一気にコップの中身を飲み干した。



ゴクッ ゴクッ ゴクッ ふぅ〜〜



「まだ飲む?」



コクッ



 まだ頭が働いていなくて、私は頷きだけで水をもう一杯要求した。


「はい、今度はゆっくり飲みなさい」


「ありがとうございます」



ゴクッ ゴクンッ



 私はそれだけ言ってコップを半分まで飲んだ。だんだんと目の焦点があってきて、頭も働き出した。



(ここは、教会の私の部屋だ。マスト隊長ちゃんと運んでくれたんだ)



「マリナさん!お水、ありがとう御座います」


「もう!心配したんだから!また7日間も起きなくて……」


「7日……どおりで喉がカラカラだったんですね」


「……それで?倒れるまで働かせた場所はどこなの?」


「ん?」


 言っている意味が分からなくて、首を傾げているとマリナさんが説明してくれた。


「ユウキくんから"泊まり込みで3日間お手伝いしに行くからご飯要らない"って伝言したわよね?」



(あぁ〜、確かにそんな設定で森に行ったんだった。忘れてたよ)



コクッ



「そのお手伝いした場所を教えなさい!こんな子供を倒れるまで使うなんて!一言文句を言いに行かないと!」


「えっ……」


 私の為に怒ってくれるのは嬉しいけど、そこを追求されるとイタイ・・・。


「あちこち歩いたから、道覚えてない……」


「そうなのね……。これからは、お手伝いしに行く時は、私もついて行って、ちゃんと居場所を確認するからね」


「……はい」


 反省している風に下を向きながら返事をする。それから、思い出した事を聞いてみる。


「私はどうやってここに?」


「隊長さんが連れてきてくれたのよ。地べたに倒れていたって……」


 地べた……間違いではないけど、もっと良い言い方なかったのかな?私が納得いってない顔をしているとマリナさんが手を頭に置いて撫でてくれた。


「もう身体が大丈夫そうなら、ご飯食べに行く?その後、隊長さんにお礼を言いに行きましょう?」


「うん!食べる!」


 私は、元気に返事をして手元にある水を飲み干し、ベットから飛び出した。


「マリナさん!早く早く〜」


 さっさと扉の所まで行き、マリナさんを急かす。ご飯の事を考えたら、お腹の空き具合がもうヤバイ!



グゥ〜〜〜〜!



(あぁ〜、7日分の空腹がぁ〜〜。呪いでこんなにしょっちゅう倒れてたら私、栄養が足りなさ過ぎて大きくなれないんじゃないかな?それか、餓死するか)



 頭に浮かんだ考えを、振り払って食堂へ行く。もう朝ご飯が済んだ後だったらしく、残り物のスープとパンを出してくれた。まぁ〜、いつもの食事と変わらないって事だけど・・・。


 ついでにサスケも呼んで魔力を与える。前回の事を踏まえて、私がまた倒れても大丈夫な様に、森で沢山魔力をあげといたので、今回は噛みついて来ることはなかった。勝手に出てこなくて良かったぁ。これからも、多めに与えよう。


 質素な食事だけど7日ぶりの食事だったので美味しくいただきました。食べ終わったので、隊長の所へお礼を言いに行こうとしたら、マリナさんも一緒に行くと言う。


「さぁ、アリスちゃん一緒にお礼を言いに行きましょうね」


「えっ!私1人でも大丈夫ですよ?すぐそこですし……」


「1人ではダメよ!最近街では人が失踪してるって噂なのよ!それに、アリスちゃんの保護者として、お礼を言わなきゃ行けないのよ」


「……はい」


 私は1人で行くのを諦めて、マリナさんと一緒にマスト隊長の所へ行く事にした。なのに、方角が変だ。


「あれ?マリナさん。隊長の所に行くんじゃないの?こっちは、西の詰め所とは反対の方向だよ?」


「そうよ。隊長さんはいつも、警備隊の本部にいるのよ。たまに見回りとして、各詰め所に顔を出しているだけだから、会いたいなら本部に行かないとね」


「そうだったんですか。本部って何処にあるのですか?」


「警備隊本部は、街の北の方……貴族街の入り口にあるわ」


「貴族街の入り口?なんでそんな所にあるのですか?」


「貴族様の所に不審者が行くのを防ぐ為よ。だから貴族街に行くには、"警備隊の本部"と言う名の関所?を通らないと行けないのよ」


「そうなんですね」


 そのままマリナさんと他愛ない話しや街並みを見ながら、隊長さんのいる本部へと歩いて行った。


「うわぁ〜」


 目の前には、きらびやかな大きな門があり、そのお隣には、学校の校舎を貴族風にしました!って言うような、豪華な建物が建っていた。



(なんて親しみがもてない雰囲気の建物だろう。これじゃあ街の人は、何かあっても安易に駆け込んで来れないよね)



 私が残念な建物の感想を考えている間に、マリナさんは、門の所に立っている門番さんと話していた。


「すみません、マスト隊長とお会いしたいのですが、取り次いで貰えますか?私はウィズホルン教会のマリナと申します」


「どういったご用件でしょうか?」


「先日マスト隊長に、この子を助けて頂いたのでそのお礼をと……」


「……そうですか。確認をしてきますので、少々お待ちください。おい、ちょっと隊長の所に行ってくるからここを頼む」


「はい!」


 門番は3名いて、そのうちの1人。マリナさんと話していた人が、他の人にここを任せて建物の中に消えていった。暫くすると戻ってきて、私達を建物に入れてくれる。


「お待たせしてすみません。どうぞお入りください。隊長室までご案内します」


「「ありがとう御座います」」


 案内をされながら建物の中を観察する。すれ違うのは男の人ばかりで、みんなマリナさんを一度は振り返っている。警備隊は男所帯なのか……。その割には建物内は綺麗に清掃されていて、全然男臭さはない。


「こちらです」



コンコンッ



「お客様をお連れしました」


「入れ」



ガチャッ



 『案内ありがとう御座います』とお礼を言って、開けてもらった扉をマリナさんと潜ると、そこには沢山の書類が乗っかっている大きな机があり、そこにマスト隊長がいた。


「お連れしました!それでは隊長仕事に戻ります」


「あーー……、ちょっと待て、ついでにカイルを呼んできてくれ」


「分かりました。それでは失礼します」


 今度こそ門番さんは一礼して部屋から出ていった。


「2人ともこちらへどうぞ」


 そう言って部屋にある来客用ソファーを勧められた。マスト隊長もこちらにやってきて、私達の向かいに座った。



(ん?マスト隊長足を少し庇ってる?もしかして、森で怪我した?)



 ちょっと少し引っかかった事を考えていたら、話が始まってしまった。しまった聞くタイミングを逃してしまった。


「隊長さんにお礼を申し上げたくきました。隊長さんのお陰でアリスちゃんも、この通り元気になりました。倒れていたこの子を教会まで運んでいただきありがとう御座います」


「マスト隊長が助けてくれたと聞きました!ありがとう御座います」


 マリナさんがお礼言った後を継いで、私もお礼を言い頭を下げた。そんな私を見ていたマスト隊長は、訝しげな顔をしていた。なんだよ、私が倒れたのは嘘じゃないじゃん。


「いやいや、警備隊隊長として当たり前の事をしたまでですので……。あっ、事件性があると大変だから、少し質問をさせて貰うね。なんであそこで倒れていたのかな?なにがあったのか覚えている?」



(げっ!心配なフリして、この話題を掘り下げて来たよ!もうお礼言ったんだから帰してくれよ〜)



 私は咄嗟に、すみませんという顔を作り、マリナさんに話した内容を伝える事にした。


「3日間住み込みのお手伝いをしていたのですが、終わった後の帰り道で、疲れて倒れてしまったみたいです」


「・・・・それは酷いな。こんな子供を、そんなになるまで働かせるとは!何処で手伝いしていたのかな?」


「あちこち歩かされたので場所は覚えていません」


「・・・・それじゃあ仕方ないな。手伝いを言ってきた相手の名前とか、どんな人相だったとか、覚えている事を教えて欲しい」



(……いい加減、この無駄な取り調べ止めて欲しいんだけど・・・・)



 その思いを伝える為に、マスト隊長を睨んでいるのに、全く伝わらない。真剣な顔で、私の話しを聞いてくる。



(いや、あれは……伝わっているけど止める気がないな。くそ〜、意地悪〜)



「名前は確かマークって言っていたけど……もしかしたら、本当は違う名前かも知れません。見た目は……茶髪で肩まで髪があり、体格は凄くガッチリしてました。目の色も茶色で年齢は30代ぐらいだったと思います」


 っと、マスト隊長を見ながら言ってやった。私の視線を追って、今いった特徴が自分の事を言ってると分かったらしく、引きつった顔をしていた。


 私は、ふふふ……ざまぁ〜。と、勝ち誇った笑顔を返してやった。


「・・・・そうか。色々と情報をありがとう。君もお手伝いするのは良いけど、ちゃんと相手をみて選びなさい」


「はーい」



コンコンッ



「遅くなりました。カイルです」


「入れ」



ガチャッ



「失礼します。隊長何かご用で………」


 部屋に入ってきてカイルさんは、私の姿を視界に収めると、目が飛び出すんじゃないかってくらい開いて、固まってしまった。



近々続きも更新します!

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