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閑話 森に出れるかのカイル視点

あけましておめでとうございます!


遅くなってすみません

ーーアリスが森に出れないか試した日 カイル視点



 いつも通りの朝を迎えて、いつも通りに夜番の人達と、詰め所の見張りを交代しようと、担当の西の詰め所にやって来た。早朝過ぎてまだ辺りは薄暗いのに、詰め所はいつも通りの列が出来ていた。その行列を見ながら……。さぁ、今日も1日頑張るぞ!と気合いを入れる。


ガチャッ


「おはようございます!交代です。何か引き継ぎありますか?」


「特にはないな」


「分かりました。では、外の人達と交代してきます」


「おう。今日も沢山並んでたから、頑張れよ」


「はい!」


ガチャッ


 詰め所内に居た、夜番の人との簡単な引き継ぎを終えて、受付の人と交代をする為に外に出た途端それは聞こえてきた。


きゃーーーー


「さすがゲノムさん!結構跳びましたね!」


「あらら〜、退けと言われたらさっさと退かないと」


「おい!お前何してんだ!」


「怒らないでよー。ゲノムは、お兄さんのお仕事の邪魔をしてたから、退かしただけだよー?さっさと手続きしてくれるー?」


「ハハハ、違いない!感謝しろよ〜」


 そんな声がいきなり聞こえて、交代して直ぐに面倒事かぁ〜。っと思いながら、受付に近づいて行く。


「こいつら……何をいい加減な「おはようございます。交代ですけど、何かありまし・・・・・・アリスちゃん?!」


 仲間に声をかけながら、さっと目で状況を確認していたら、目の端に顔見知りの子が倒れていてビックリした。急いで駆け寄って安否を確認する。


 あの騒いでる奴等に何かされたのか。腕にかなりの擦り傷が出来ていた。何が起こってこうなったのか、分からないけど治療をする為に、急いでアリスちゃんを抱きかかえて、詰め所内に運ぶ。


「そこに座ってて、確かこの辺に薬箱があったはずだから・・・少し痛いけど我慢してね」


 アリスちゃんを取り敢えず椅子に座らせて、棚にあった薬箱と、樽に入っていた置き水を少し持って行く。近くにあったタオルを濡らして、汚れを落とし、軟膏を塗って包帯を巻いて、腕の治療完了。


「これで、腕は良し!でも、かなり辛そうだね。後は何処を・・・・これは!!」


 治療をしたのに、まだ前屈みで苦しそうにしていたので、他にも怪我をしているのかと思い、身体を調べたら腹部に凄い痣があった。


(これは……)


バサッ


「カイルさん!女性の服を許可なく、いきなりめくるのは良く無い事です!」


「そんなこと言ってる場合じゃあ無いだろ!その怪我は・・・「何でも無いです!大丈夫ですから!見間違えですよ。ちょっと部屋から出て行って貰えませんか?また呼びますから」


「何を言っ 「良いから!早く!3秒以内に出て行って下さい!じゃないと、マリナさんにカイルさんは、女性の服を許可なく脱がす変態だと言いますよ」


「なっ、それは!でも・・・」


「3、2、1・・「速いな!?分かった分かったから!」


バタンッ


 取り敢えず、アリスちゃんを落ち着かせる為に一度部屋を出る。手当をする為に傷を確認しただけなのに、かなりの勢いで怒られてしまった。子供とはいえ女の子、断り無しに服をめくってしまったのは悪かったと思うけど、あの痣は………。


(一瞬だったけど、あの痣の色やアリスちゃんの辛そうな顔色からすると、良くてヒビ……悪いと骨折してるかもしれない……)


 あの痣を、そう判断するとカイルの顔色も悪くなってくる。ヒビ位なら、暫く安静にしていれば治るけど、骨折は魔法で治さないと回復までかなりかかる。アリスちゃんは教会で保護されてるからまだ良いけど、貧困層だとそれが原因で命に関わることもある。


ガチャッ


 容態が心配で、扉の直ぐ横で呼ばれるのを待っていたら、自ら扉から出てきた。


「どうした?もういいのか?」


「はい!カイルさんに手当してもらったので、もう大丈夫です!まだ朝ご飯食べてなくて、お腹が空いたので教会に帰っても良いですか?」


 何をしていたのか分からないけど、さっきよりは全然顔色も良いし、しっかりと歩いている。ん?あの痣は見間違いか?


「本当に大丈夫なのか?途中で倒れると行けないから、教会まで送って行くよ。ちょっと待ってて」


「はーい」


 遅番の人には悪いけど、もう少しやっててもらって、さっき怪我した子を家まで送ってくる事を同僚に伝えた。みんな騒動の事は知ってるから、快く送り出してくれた。


「さぁ、行こうか」


 どうしてもさっきの腹部の痣が気になって、平気か?大丈夫か?と、何度も確認をした。見た目的は大丈夫そうなんだけど……?


「あの人達は、どうなったの?」


「彼らは捕まえたよ。警備隊の前で住民に暴力を振るったからね。今日1日は牢屋ですごしてもらう」


「ふ〜ん、そうなんだ」


 あんな目に会ったから、彼等に対して怯えていると思ったけど案外普通で驚いた。そろそろ教会が見えてくる。


「あら?アリスちゃん、カイルさんといたのね。カイルさん、おはようございます」


「おっ、おはようございます。マリナさん!」


(!!まさか、マリナさんに会えるなんて!)


「あら、アリスちゃん腕の所どうしたの?」


「朝、詰め所で並んでいた冒険者に絡まれたらしく、それでこんな怪我を・・・」


 詳しい事はまだ分からないけど、会話や状況からすると、こんな感じだったんだろう。帰ったら確認しないとな。


「でも、カイルさんにちゃんと手当して貰ったので大丈夫です。マリナさんお腹すきました」


「そうね。カイルさん、わざわざ送って頂いてありがとうございます。アリスちゃん行きますよ」


「カイルさん!ありがとうございました。またね〜」


ダッ


 2人が見えなくなったので、詰め所に走って帰る。夜番の人に残業させてしまっているので、アリスちゃんを無事に送り届けた後、急いで詰め所へ戻った。


「ただいま戻りました。遅くなってすみませんでした」


「いいよいいよ。あの子大丈夫だったか?」


「はい。腕の擦り傷は処置しました」


「腹部の方は大丈夫だったのか?モロに入っていたけど・・・・」


「(やっぱり)・・・・・何があったんですか?」


「あの子供が街の外に出たいと言うので、保護者が居ないと無理だと話していたら、並んでた冒険者に絡まれて、お腹を蹴り飛ばされてしまったんだ」


「なっ!」


(なんて理不尽!って言うか意味が分からない!)


 自分が明らかに混乱していると、説明してくれた同僚が、分かる分かると頷いている。


「こちらもいきなり過ぎて、直ぐに対応出来なかった」


「彼等は何で、そんな事を?」


「話を聞いたら、"邪魔だったからどかした"と言っていた」


「っつ!いくら何でも!」


「質の悪い冒険者もいるからな。彼等には気を付けろ」


「………はい。お疲れ様でした」


(隊長への報告は、自分からも直接しにいこう。知っている子だし、ちょっと気になる事もあるからなぁ)


 朝一番から大変な事があったけど、遅番の人との引き継ぎも無事に終わり交代をする。終わったら、宿舎の隊長室に報告するのを忘れずに・・・。



ーー夜 宿舎 隊長室


コンコンッ


「西の詰め所担当のカイルです。隊長居られますか?」


「入れ」


ガチャッ


「失礼します」


「何かあったか?」


「朝のうちに西の詰め所から報告があったと思うんですけど、冒険者の揉め事の件で・・・」


「あぁ……子供が冒険者に蹴られたってやつか?彼等は、牢屋で反省中と聞いたが?」


「はい、その事なんですが………。その蹴られた子供はこの間、詰め所に来たアリスちゃんだったんです」


「……なに?」


「話によると、街の外に出る方法を詰め所の受付で聞いてる時に、冒険者に絡まれて蹴られたらしいです」


「・・・」


 隊長も知ってる人物と言う事で、報告したんだけど険しい顔で考え出した。


「それで……怪我の治療は自分がしたんですが……どうにも腑に落ちない事が………」


「どういう事だ?」


「1番目立った腕の擦り傷の治療の後、他の怪我を探したんですが、その時に腹部にかなりの痣を発見しまして、治療をしようとしたのですが気のせいだと言われて、部屋を少しの間追い出されました」


「見間違いだったのか?」


「教会まで送って行った時は、全然普通だったので、自分も見間違いだと思ったのですが、夜番の人に詳細を聞いたら"モロに腹部に蹴りが入っていた"と言ってました」


「・・・・分かった。この話は預かろう。カイルも、この話は周りにしない様に!報告ご苦労だった」


「はい。失礼しました」


バタンッ


 一応、隊長への報告が終わったのでこのまま、食堂で食事を済ませて自室に戻る。ベッドの上でアリスちゃんの怪我の心配をしながら眠りにつく。


 明日からこの少女のせいで、隊長室に何度も報告に行かなきゃならなくなるのを、まだ知らずに・・・・。


風邪ひきました・・・。

1週間更新が延びます。すみませんm(_ _)m

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