異世界13日目 森で意外な人と遭遇
遅くなってすみません!
少し長くなりましたm(_ _)m
ガァーガァー
(ん〜?)
バサバサバサッ・・・
(五月蝿いな〜)
ガァーガァーガァー
「今度は何〜?ふわぁ〜ぁ」
少し離れた所から、昨日とはまた違った騒々しさが聞こえてきた。起きて周りを確認する。まだ辺りは薄暗く暫くして、ようやく頭が覚醒してくる。
「まだ早朝じゃん。騒がしいのは……あっちか……また罠の所なんだけど・・・」
今回は人の声が聞こえなかったので、ゆっくりと掛かった獲物を見に行く。騒がしかったから複数の魔物が、罠の辺りにいると見越して、探知とサーチを使いながら静かに近づいて行く。
ガァーガァー
バサバサバサッ・・・
(ん?あれは?見たことない鳥だな)
罠に近づくと、チラホラと鳥が飛びまわってるのが見えてきた。私は早速『サーチと看破』を使って調べて見る事にする。
ハイエナドリ Lv8 ・・・魔力 2.9
突っつく・エアーカッター
(・・・エアーカッター?この鳥、魔法を使ってくるの!?)
慎重に罠が見える所まで近づくと、事件現場の如く凄惨な状況になっていた。罠に掛かっていたのは多分ウルフだと思うけど、もう後ろ半分ぐらいしか胴体が残っていなかった。
(失敗した〜!罠に掛かった獲物は、他の魔物に食べられない用に、ある程度の高さまで行くようにしてたのに!まさか上から来るとは・・・)
大きさはホーンラビットと変わらないぐらいあって、見た目はカラスのようだった。色はグレーと黒が混ざっているけど、どう見てもカラスだと思った。『探知』で改めて数を確認したら、20羽ちょいここにいるらしい。
今まで見たことないから(と言っても異世界での森歴はまだ、10日程だけど・・・)、出来るだけゲットしておきたいし、魔物が魔法を使うのも見てみたい。
魔物は空も飛べるし、大きさもそんなに大きくないので、エアーアローで小さい頭を狙って仕留める方法は止めて、違う手を考える。
魔力をかなり使ってしまうけど、ジャイアントボアやクリムツ?を倒した時みたいに、ウォーターボールで囲んで、窒息死させる方法で倒そうと思う。数だけ合わせて、範囲は大雑把に・・・。
『ウォーターボール』✕探知したハイエナドリ分
かなりざっくりとしたウォーターボールの数を指定したら、ちゃんと発動してくれた。発動したウォーターボールを見ると、うまく頭だけを覆っているのもあれば、身体全てを覆っているのもあった。これだけの数をいっぺんに囲んでるから、ある程度は仕方ないけど、我ながら雑だなって思う。
ザッ ザッ ザザッ
「うわっ!危なっ!」
クリムツみたいに、息が絶えるのを待っていたら、頭だけ覆っている奴が訳も分からず、羽根をバタつかせて、手当り次第にエアーカッターを放ってきた。頭をウォーターボールで覆っているから、呪文とかを唱えてる訳じゃ無いのに魔法が飛んでくる。
(あれは……全ての魔物が無詠唱で魔法を出せるのが普通なのか、あの魔物が特殊なのか分からないなぁ)
ザッ ザッ ザザッ
「この場所から少し離れようかな」
罠の近くの茂みで、魔物による魔法を観察していたけど、イマイチよく分からなかった。もう少し数がいなければ、直接戦闘を挑んで検証しても良かったんだけど・・・。それこそ、1匹とか2匹ぐらいなら・・・。
少し離れた安全な所で、先に朝食を取ることにする。私は固いパンと串焼きを食べて、サスケには魔力のご飯をあげる。
(今日は来た道を戻るだけだから、殆ど戦闘しなくて済みそうだ)
『ステータス』
アリス :(仮)ソフィア・クローク LV38
身体能力 最優 鬼 93%
全種魔法 最優
HP: 3400 / 3400 MP: 12050 / 12650
ヴィルホルンの加護【常時MPで回復】
言語共通翻訳・鑑定・看破・MP自動回復・鬼の怨み
さっきの鳥の魔物を狩ったからか、少しパーセンテージが上がっていたけど、大丈夫だろう。そろそろ戻って見てみますか。
罠の所に戻るとさっきとはうってかわって静かだった。罠の周辺に沢山さっきの鳥が落ちて死んでいた。
「サスケ、回収してきて」
「チチチ・・・」
サスケに回収して貰った鳥を確認したら22匹もいた。遭遇率が低そうなので、こんだけゲットできた事に今日の満足感は非常に高い。さぁサファリスタに帰ろう。
『前方探知&ヘイスト』
・
・
・
・
昼までに2日かけてきた距離の半分ぐらいまで来た。もう少し行くと、昨日彼らと会った所の辺りになる。
この辺で少し休んで昼食にする。メニューは、固いパンと干し肉、コリンの実にした。今日の夜には街に戻る予定なので、コリンの実がまた手に入りにくくなる。なので食い納めの意味も込めて今、食べておく事にした。
サクッ
(やっぱり、コリンの実は瑞々しいし、適度な甘さで美味しい)
私は食後のデザートを食べながら、サスケにもご飯を与えている。実際、ここに来るまでの間の戦闘は5・6回程度しかなく、どれもホーンラビットばかりだった。なので、疲れてはいないと思うけど、一応私と同じ食事の時に、ご飯を与える様にしている。
(この調子なら、私の足でも夕方までには街に着く予定だね)
いくらヘイストを使っていても、足の歩幅は変わらないので、大して速くない。早く大人になりたい。食事を早々と終えて、街へ向かって歩き出す。
『探知&ヘイスト』
少し行ったところに、魔物の反応が1つあったので、ついでに狩っていこうと近づいて行く。
ブラーン ブラーン ・・・・
「やられた・・・」
なぜもっと慎重に行かなかったのかと、魔物の反応だけで正体が分からなかった事に何故疑問を持たなかったのかと・・・。私は今、木に宙ぶらりんになっている。
『看破』
トレント Lv15 巻きつき・ドレイン
魔物の姿が見えないからって、安易に近づきこうなりました。どうしよう・・・。
「ってか、森の中に木の魔物ってズルいと思う!」
どうやってこの状況を抜け出すかって、考えながら文句を言う。私は殆ど何も感じないけど、さっきステータスを確認したら地味に魔力を抜かれてた。私はMP自動回復があるから困らないけど、これがドレインか。
(森の中で火は駄目だし、風魔法も大木には効果がイマイチだし、打撃でいくには土魔法かな?こういう時に、よく切れる武器とか欲しいよね。街に戻って魔物が売れたら、買いに行こう。まずは帰らないとね)
『ストーンハン「おいっ!お譲ちゃん平気か!?」
私が魔法を使う前に現れたのは、なんと!マスト隊長だった。剣を構えて、颯爽と出てきた。
「マスト隊長なんでここに!?」
「良かった。まだ、生きてるみたいだな。すぐ助けてやるから待ってろ!それにしても、こんな所にトレントが居るなんてな……」
剣を構えたマスト隊長を見ていたら、何か魔法を使ったのか、少しぼやけて見える。そのまま見ていたら、いきなり此方に走り込んできて、剣を両手で一閃し、そのまま身体を捻って二閃目を放った。
ガッ バキッ ズドンッ
「わっ!」
一閃目で木を倒して、ニ閃目で私を捕まえていた蔦を切って、落ちる私をキャッチしてくれた。
「大丈夫か?」
「はい!マスト隊長のお陰で助かりました。ありがとうございます」
「お嬢ちゃんがまだ生きてて良かったよ。何故かこの辺魔物が少なかったけど、そのお陰でもあるのかな。無事で良かった。さぁ、街に帰るぞ」
使った剣を器用に仕舞いながら、そう言って私を片腕に乗せたまま歩き出した。流石鍛えてるだけあって余裕だね。
「あの魔物は?」
「あれか?倒したからもう恐くないぞ!あれはトレントって言って、木に化けて近づいた生き物を捕まえて、生気を捕食していく魔物だ」
説明ご苦労。私は、あのままにしていくのかと思って聞いたんだけど、子供が魔物に襲われて、怯えてると思ったのか、安心させるようにちゃんと説明された。
「あのままでいいの?」
「あのトレントか?良い素材になるから本当は持って帰りたいが、今回は俺1人で来たから勿体無いが置いて行くかな」
立ち止まって、少し名残り惜しそうにトレントを見ていたので、助けてくれた御礼をしようと思って声をかける。
「そんなに良い物なら、助けてくれた御礼に運びますよ」
「運ぶって、お嬢ちゃんがかい?」
「はい!ていうか、私じゃなくてこの子ですがね。サスケ!」
「ん?なんだ、その魔物は・・・どこに居た?」
私のフードから出てきたサスケに、そんなに驚かずに話しかけてくる。そして、さり気なく剣に手を添えていつでも抜けるようにしていた。流石隊長。
「サスケって言います。サスケ!あれ回収してきて」
「チチチ・・・」
スッ……
「なっ!?空間魔法だと……」
「サスケの事内緒でお願いしますね。助けてくれたから、貴重な素材を運ぶ為にサスケの能力を明かしただけですから。詰め所近くまで運びますから、後は上手く誤魔化して部下たちを呼んで運ばせて下さい」
「そいつは何ていう魔物だ?害はないのか?」
「種族は分かりません。けど、何も害は無いですよ。物を出すと仕舞うしかしません」
「攻撃は?それこそ、こんな貴重なもんなら持って行かれるだろう?」
「しません。この子は私から離れないので大丈夫です」
「いや、そんな事言っても……「離れないので大丈夫です」
理解してくれたのか、それ以上何も言わなくなってしまって、微妙な空気になってしまった。
「さぁ!街に戻りましょう。この子は安全ですから」
マスト隊長は納得いかない顔で黙って歩き出した。何か考えてるのかな?じゃあ、周りの警戒は私がしとこう。
(『探知』)
「マスト隊長はなんでここに?魔物狩りですか?」
「んな訳ねぇ!!はぁ〜〜〜」
ただ普通に質問しただけなのに、なんか凄いため息吐かれた・・・。
「そう言えば、お嬢ちゃんの仲間はどこに居るんだ?」
「仲間?サスケの事?」
「サスケって、さっきの魔物の事か?」
「そうだけど?」
「他には居ないのか?」
「?」
(聞かれてる事が分からない。私は1人で来たんだけど・・・。仲間はサスケの事じゃないの?)
「はぁ〜〜〜〜〜」
首を傾げて、話しの続きを待っていると、さっきより長いため息を吐かれた。何度も何度も失礼な!
「お嬢ちゃん、他の冒険者が心配するから、1人で行動はするんじゃない」
「冒険者が心配って……誰ですか?まさか、ゲノムって人がいる所の人達ですか?」
(私を心配するような人達じゃあ無かったと思うんだけど……)
「そいつ等じゃない」
「ですよねー!彼らは街に戻りました?」
「その日のうちにな。戻って来た時にお嬢ちゃんが居ないから、その事に気付いたカイルが質問しまくってたけど、"はぐれた"しか聞けなかったみたいだ」
(あらら……カイルさんには、悪い事しちゃったな。かなり心配かけちゃった)
「なんか、すみません……」
「一応聞くが、本当にはぐれたのか?」
「はい。そうです。はぐれました」
「・・・そうか」
また変な沈黙が流れた。何か考えているみたいだけど、変に聞くと藪蛇になりそうだから放っておく。
「お嬢ちゃんを心配してた冒険者は、男女4人組の新米の冒険者達だ」
「そう言えば森で会いました!無事に街に戻ったんですね」
「昨日の夕方ぐらいに戻って来たらしい。その時に詰め所で、アリスって子供が帰って来てるのか聞いて行ったみたいだ。その時もカイルが担当していて、お嬢ちゃんを知っているあいつが"まだだ"と答えたら、彼等かなり心配をしていたみたいだぞ」
「えっ!そんなに?森でちょっと会っただけなのに・・・」
「それでもだ。部下の話だと、門が閉まるまで1人づつ代わりばんこに詰め所に来てたらしいぞ。そいつ等を見兼ねて、今日休みだった俺が会ったと言う場所を彼等から聞いて、探しに来たんだ」
「手間と心配をかけて、すみませんでした……。戻ったら彼等にも謝ります」
「そうしろっと、そろそろ詰め所に近くなってきたぞ」
流石、大人の歩幅!普通に喋りながら、歩いていただけで、詰め所近くまでもう着いてしまうとは!子供の足にヘイストをかけるのとは、全然違う速さだ。
「じゃあ、さっきのトレントこの辺りに出しますよ」
「おっ、おう」
「サスケ!ここにトレント出して」
ドンッ
少し浮いた位置から出してしまったのか振動が起こった。
「あっ、部下への説明お願いしますね」
「あ、あぁ……」
「マスト隊長しっかりして下さい!頼みま・・・・」
トレントを出した事で、呆けていたマスト隊長を現実に呼び戻してる時に、ウルフの反応がヒットした。まだまだ遠いけど、どんどん距離がつまってくる。ヤバい・・・
「マスト隊長!子供1人抱えたままでウルフに襲われたら、何匹ぐらいなら勝てますか?」
「いきなりどうした?」
「いいから、早く答えて下さい」
「子供を抱えての戦闘なら・・・安全を考えて3匹かな」
「分かりました。もう少ししたらウルフが沢山来るので、来たら私が魔法を使って数を減らしますので、後はお願いします!それと、私がダウンしたら教会に運んで、マリナさんに前回と同じって事を伝えて下さい!」
「なんか色々と訳が分からないんだが・・・」
「私が倒れたら教会に運んでくれればいいです!そろそろウルフが来ます!」
「なんで、そんな事が分かる?」
ガサッ ガサッ ガササ・・・
探知した感じだと20匹近くヒットしていた。私達はウルフに囲まれていき、マスト隊長も初めの物音で即、臨戦態勢になっていた、戦闘の邪魔にならない様に、私は一度下に降ろしてもらった。
「こいつら、いつの間に!お嬢ちゃんの言う通りだ」
ある程度囲まれて、ウルフ達も足が止まったぐらいから、私は集中して出来るだけ多くのウルフの場所を把握する。
(「サスケ!倒した魔物の回収お願いね。トレントはそのままで・・・」)
「マスト隊長!さっきのお願いしますね!」
『アースニードル』『エアーカッター』
ギャウンッ ガッ
ドサッ
「お嬢ちゃん!大丈夫か!?」
色んな音が聞こえる中、私はブラックアウトした。次に目覚めた時には、教会の自分の部屋に居た。
年末は忙しいので、次回3週間後に更新します!