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異世界12日目 罠にかかった獲物とは・・・

ガサッ


「ん?これはなんっだぁ〜〜!うわ〜〜〜助けてくれ〜〜〜!」


「ちょっと!何してるのよ!」


「下ろしてくれ〜〜」


「待っててー!今下ろすからー」


「ちょっと待って、これは人が仕掛けた物みたいだよ。近くに誰かが居るかも知れなっ……うわ〜〜!」


ドサッ


「いてて……落とし穴!みんな!周りに気を付けて!まだ何かあるかも知れないから!」


「なっ!リサーナ、私が周りを見とくから、あいつを下ろして・・・・」


「わかったー。ちょっと待っててねー」



がやがや・・・・


(五月蝿いなぁ)


 私は、この騒音で寝ていられなかったので、起きて何があったのか確認する。声は昨日仕掛けた罠の辺りから聞こえていた。


(ヤバイ!私の獲物が他の魔物に盗られる!)


『探知&サーチ』


 魔法を使ったけど、全然魔物の反応が無い。でも、凄い音はしたので急いで罠の所に向かうと惨状が起こっていた。群れを狙った罠だったのに、予想外な群れ(グループ)が掛かってしまっていた。


(まさか人が掛かるなんて……。下ろして謝らないと!)


 私は地上に降りて、ゆっくりと惨状に近づいて行く。これから聴取もあると思うので『探知』を使ったままにする。安全の為にね・・・。


「あの〜、私のせいですみません……」


スッ

スチャッ



 私が声をかけた瞬間、無事な女性2人が戦闘態勢に入って、睨みつけてきた。


「あなたは?こんな所で何をしているの?」


 弓を背負っている女性が短剣を構えながら、話しかけてきた。これ以上刺激しない様に両手を上げて、その場に止まる。


「私はサファリスタから来ました!仲間が依頼の魔物を狩ってる間、その魔物用の罠の見張りを命じられたのですが・・・・まさか、お兄さん達が掛かるとは・・・・すみませんでした」


 説明口調になってしまったけど仕方ない。私が悪いし、後から色々聞かれる方が面倒だ・・・。


・・・・・カチャッ


「分かったわ。もういいわよ、頭を上げて」


 私が頭を下げ続けていると、そんな言葉が返ってきた。なんとか、敵意が無いと分かってくれたみたいだ。


「下ろせますか?」


「大丈夫よ。リサーナ、下ろしちゃって」


「はーい」


 無理だったら手伝おうと女性達の所へ行く。返事をした、もう1人の女性は杖を構えていたので、たぶん魔法使いだ。


『我が拒むものを数多の風で切り刻めウインドカッター』


・・・・・・・マジか


 謎の呪文の結果、ウインドカッターらしきものが飛んでいき、仲間が掛かっている罠の蔦を切り刻んで仲間を落とした。


ドスン!


「いてて……もっと優しく下ろしてくれよ〜」


「ごめんねー」


「元はと言えば、あんたがノコノコ罠にかかるから、いけないんでしょ!その位の痛み、罰だと思いなさい!リサーナも謝らなくていいのよ!」


「俺のせいかよ!」


「いつも、そうでしょう!もう少し慎重に行動してよ!あの時だって大量のウルフに追われて……お陰で死ぬかと思ったわよ」


 この世界で初めての魔法をみて、まさかの出来事に放心している間。3人は……いや、2人は言い争いをしていた。


「お〜い、僕も出してくれ〜」


 落とし穴から声が聞こえた。そう言えば、もう1人落ちてたよね。忘れてた・・・。


「あっ、メイソンごめん忘れてた。ほら、マテオ引っ張り上げてよ」


「悪い!メイソンいま上げるから、俺の手に捕まれ」


 そう言って穴に手を伸ばすと、手が届いたのか、ちゃんと引き上げていた。私が手伝う程では無かったみたい。よかった・・・。


 改めて、罠に掛けてしまった2人の所に行って謝る。


「本当すみませんでした」


「怪我もないし大丈夫だよ」


「俺もなんとも無いから、気にするな」


「はい……。ありがとうございます」


「ところで君……、あっ!自己紹介がまだだったね。僕達は『スタバの希望』って言うチームなんだ。僕はメイソン。そっちは右からリサーナ・アメリア・メテ「おい!メイソン!今、メテオって言おうとしたか?俺はマテオだ!毎回、お約束のように間違えるなよ」


「メテオでも良いじゃない?いつも隕石みたいに止まらないで、突っ込んで行くんだから、ピッタリよ」


「いつもですか?」


「そうですねー。メテオのせいでこの間ー、ウルフ10匹ぐらいに追われてー、死ぬかと思ったー」


「あの時ね!本当にもう無理だと思ったわ」


「でも、いま無事と言う事は全部倒したからですよね?」


「いや、結局みんなで街に向かって必死に逃げて、途中で警備隊の人と女の人が助けてくれたんだ」


(あれ?何か私が、知ってるような話だな・・・)


「私達を先に行かせて、足止めをしてくれたのよ。なんとか街に着いて、詰め所の警備隊に森であった事を話して、救出チームが向かおうとした時に、2人は無事に帰ってきたみたいなのよ」


「ん?確認してないんですか?」


「俺達は詰め所の中で休息と言う名の質問をされてたんだよ。後、お説教な。やってらんね〜」


「結局、外の歓声と部屋に入ってきた警備の人の話しで無事って分かったんだ」


「それは良かったですね」

(これ、私がサファリスタに来た時っぽいな)


「本当よ!私達のせいで帰って来なかったってなってたら冒険者辞めてたわ」


「後日、お二人には改めて御礼にいきました」


「あんな思いは二度とごめんだから、少しは考えてから動いて!」


「悪かったって、ただ今回のは仕方ないだろ!街からずっと魔物も魔物の形跡もなくて、やっと何かが食べた跡が残っていたから近付いただけだ」


「それで罠に掛かったんですね・・・。止まれない・・・待てない・・・・待てないマテオさんですね!名前覚えました」


「「「ハハハハハ」」」 (爆笑)


「良いわね。それ!これからは、それで行きましょう」


「待てないマテオかー、ピッタリだねー」


「メテオより、こっちの方が面白いし覚えやすいね。今度からこれを使うよ。クククッ・・・」


「おいおい!止めてくれよ!まだメテオの方がマシだった!」


 私が冗談でそんな風に言ったら、かなりのウケをとってしまった。まぁ、さっきみたいにギスギスしてるよりは良いだろう。犠牲ご苦労……マテオ……。


「メイソンお兄さん、リサーナお姉さん、アメリアお姉さん、待てないマテオさん。私はアリスって言います。よろしくお願いします」


「アリスちゃん。よろしく」


「リサーナ聞いた!?"アメリアお姉さん"だって!私一人っ子だったから、妹が出来たみたいで嬉しい!」


「ア……アメリア……落ち着いてー、そんなに……揺さぶらないでー」


 メイソンさんと握手している後ろで、アメリアさんがリサーナさんの肩を激しく揺さぶっている光景が目に入った。誰か、止めてあげて……。


「なんで俺だけ、あの呼び方なんだよ」


 和やかな場所に、1人だけ険悪なオーラを出しながら私を睨みつけてくる。


(理由を聞かれてもなぁ・・・・)


「・・・・ノリ?」


ザッ


「ノリか……まぁ元々俺の行動が……でもな……」


 私の答えに落ち込んだのか。膝と手をついて、何かをブツブツ言い始めた。怖い・・・。


「元気出して下さいよ。マテオお兄さん!じゃないと、キノコが生えてきますよ」


(はぁ〜。この人達、本当に冒険者でやっていけるのかな?今は私が警戒してるけど、こんな魔物がうろつく森で、こんな無防備は駄目だろう・・・ん?この反応は・・・)


「メイソンさん、私と変わってマテオさんを慰めてあげてください。私はちょっと、用を足しに行きたいので・・・」


「分かった。マテオは任せて」


 その言葉を聞いて、私は見られないように草木の中に入ったと共に『ヘイスト』をかけ、さっき反応があった所へ急いで向かう。


 300mぐらいの所に、ゴブリンが3匹来ていたので、『ウォーターボール』で3匹とも顔を覆い、仲間を呼べない状態にしてから、サクッと『ウインドカッター』で首を落とす。


「全て回収よろしく、サスケ」


 さっさと用を終わらせて、さっきいた草木まで戻る。直ぐに帰ってきたから怪しまれてはいないと思うけど・・・。


「すみませんでした。マテオお兄さん元気になりましたか?」


 戻ったら、マテオさんもアメリアさんも普通に戻っていたので安心する。だいぶここで長居し過ぎたし、そろそろ本題を話して、私も狩りに戻りたい。


「皆さんは、どうして此処に?何を狩りに来たんですか?」


「僕達はホーンラビットを狩りに来たんだけど、いつもは直ぐに遭遇するのに、今日は全然なんだよね。思ったより、森の奥まで来ちゃったし、どうしようかと話てる時に、こいつが"何だあれ?"とか言って罠にかかった」


(あぁ、これ完全に私のせいだな。私が昨日、街からここまでキレイに魔物全て狩ったから、この人達こんな奥まで来ちゃったのか・・・仕方ない『探知&サーチ』)


「ホーンラビットなら、もう少し戻って、この方角を1kmだったかな?行くと確か居ましたよ!(つがい)なのか2匹いました」


「本当か!?よし、そいつ等が移動しない内に行ってみよう!お前はどうする?俺達と来て、街で仲間を待ってるか?」


「いえ、多分もうすぐ帰って来ると思うのでここで待ちます」


「1人で大丈夫?」


「ご存知の通り、この辺には魔物が居ないみたいですから大丈夫です。仲間が帰ってきたら、街に戻りますので、街でまたお会いしましょう」


「分かったわ。くれぐれも気をつけてね」


「行ってらっしゃい〜」


 ようやく彼らと離れる事が出来た。な・の・で私は私で、今日の行動を開始する。まずは、ご飯からだ。起きて直ぐの出来事だったから、食べてないし、長く話をしたからもうお昼近い、かなりお腹がペコペコだ。


 私は、また木に登り、朝食&昼食を取ることにする。メニューは固いパンと串焼き2本とコリンの実にした。がっつり食べて、午後はどんどん狩っていこう。サスケのご飯も忘れずに・・・。


 食事を終えて、罠の所へ戻る。まだ使えそうだったので蔦を回収して、落とし穴の穴を魔法で埋める。準備が出来たので、遅くなったけど2日目の狩りを始める。森の奥に向かって・・・。


『探知&サーチ』


            ・

            ・

            ・

            ・



(ふぅ〜、狩った狩った♪)


 夕方になり始めたので、狩りを止めて、罠の仕掛けられる所と寝床を探す。今度は落とし穴は仕掛けない予定だ。朝みたいに人がもし、罠に掛かってしまって、2人も戦力が無くなってしまったら危ないからである。


(罠のセットよし!今日はここで休もう)


 私は木に登り、夕飯の準備をする。準備と言っても出すだけなので、特に何もしないんだけど・・・。メニューは、固いパンと干し肉にした。塩分が欲しい・・・。


 相変わらず固すぎるけど、ひと仕事終えた後のご飯は何でも美味しい。私のご飯を終えて、サスケにも食事を与える。その間に『ステータス』の確認をする。


アリス :(仮)ソフィア・クローク LV37


身体能力 最優     鬼 89%

全種魔法 最優


HP: 3350 / 3350 MP: 12150 / 12550


ヴィルホルンの加護【常時MPで回復】

言語共通翻訳・鑑定・看破・MP自動回復・鬼の怨み


(だいぶ鬼のパーセンテージが貯まってるけど、明日は帰るだけだから、大丈夫かな。帰ったら魔物の解体をカミューさんに依頼しないと・・・)


 ステータス確認を終えて、明日のやる事も決めたら、サスケにまたコリンの実をお願いする。


「サスケ、コリンの実を採ってきて下さい」


ザッ


 サスケが動き出したのを確認して、今日狩った魔物の確認をしながら、サスケを待つ事にする。


 狼52匹、兎68匹、蛇25匹、ミミズ110匹、カタツムリ123匹、ゴブリン48匹、カエル25匹、イノシシ1頭をゲットした。


 イノシシも1頭なら何とか狩れるけど、かなりズタボロにしてしまうのが難点だ。パワーが足りないから仕方ないけど・・・。


(この森の魔物狩り尽くしたんじゃないかな?)


 多少不安にはなったけど、過ぎた事は仕方ない。これで暫く街から出なくてもいいと思えば、罪悪感は無い。


ガサガサッ


 ちょうどサスケが戻ってきたので、眠りに入る。明日は街へ帰ろう。


「サスケ、おやすみ」


次回2週間後に更新します!

『森で意外な人と遭遇』よろしくお願いします!

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